
医学部入試問題分析

順天堂大学 【2025年度 生物】
基本情報試験時間:2科目120分/問題数:大問2題
分析担当勝亦 征太郎
分析担当勝亦 征太郎
出題内容・難易度
| 大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 | |
| Ⅰ | 1 | バイオームの分布 (世界のバイオーム、日本のバイオーム、垂直分布) |
マーク式 | やや易 |
| 2 | 両生類の発生 (中胚葉誘導、神経誘導、眼の形成、胚葉から分化する器官) |
マーク式 | やや易 | |
| 3 | 昆虫の眼の色に関する遺伝問題 (独立と連鎖、伴性遺伝) |
マーク式 | 難 | |
| Ⅱ | 栄養段階と有機物の収支 (物質収支、エネルギー効率、生態ピラミッド) |
記述式 | 標準 | |
問題分析
Ⅰ. 1. 世界および日本のバイオームに関する問題。受験生がよく目にする「年平均気温と年平均降水量のグラフ」や「本州中部にみられる垂直分布の図」を思い出し、その場でスムーズに描けたかどうかが鍵となった。これらのグラフや図はバイオームに関する問題の中でも出題頻度が高く、試験中に再現することは決して無理な要求ではない。したがって、事前に正確に描けるよう練習しておくことが、得点を大きく左右したと考えられる。
2. 両生類の発生に関する問題。ほぼすべての内容が教科書に記載されている知識そのままであり、加えて解きやすい形式での出題だったため、短時間での完答を目指したい。その中で、問1の(4)ではニューコープの実験に関する知識に引きずられて誤答しないよう注意が必要である。また、問2の(9)は唯一細かい知識が問われる設問だが、「外部からの刺激を受容する」という観点から外胚葉を選び、その中でもできるだけ表面近くで受容することを考えれば「表皮」という選択が妥当だろう。さすがに感覚プラコードの存在まで正確に把握している受験生は少なく、大学で動物発生学を専門的に学んだ再受験生の一部に限られるだろう。
3. ある昆虫を用いた交配実験に関する遺伝問題。今年の問題の中で、圧倒的に時間を要する問題だった。リード文から連鎖の可能性や伴性遺伝の可能性が示唆されているが、3種類の対立遺伝子に加え、X染色体上の遺伝子まで考慮する必要があるため、難易度は高い。まず、実験結果をもとに各遺伝子座の染色体上の位置を特定していくが、完全に絞り込むことはできず、試行錯誤が必要となる場面も多い。その後も気を抜けず、遺伝問題の解法を駆使しながら、配偶子の作成と掛け合わせを繰り返す作業が続く。ミスなく正解に到達するためには、類題を圧倒的な量こなし、技術と経験を積むことが不可欠である。1週間ほど前に実施された近畿大学の入試でも同様の問題が出題されており、受験後にしっかりと問題分析をしていた受験生は有利だったかもしれない。
2. 両生類の発生に関する問題。ほぼすべての内容が教科書に記載されている知識そのままであり、加えて解きやすい形式での出題だったため、短時間での完答を目指したい。その中で、問1の(4)ではニューコープの実験に関する知識に引きずられて誤答しないよう注意が必要である。また、問2の(9)は唯一細かい知識が問われる設問だが、「外部からの刺激を受容する」という観点から外胚葉を選び、その中でもできるだけ表面近くで受容することを考えれば「表皮」という選択が妥当だろう。さすがに感覚プラコードの存在まで正確に把握している受験生は少なく、大学で動物発生学を専門的に学んだ再受験生の一部に限られるだろう。
3. ある昆虫を用いた交配実験に関する遺伝問題。今年の問題の中で、圧倒的に時間を要する問題だった。リード文から連鎖の可能性や伴性遺伝の可能性が示唆されているが、3種類の対立遺伝子に加え、X染色体上の遺伝子まで考慮する必要があるため、難易度は高い。まず、実験結果をもとに各遺伝子座の染色体上の位置を特定していくが、完全に絞り込むことはできず、試行錯誤が必要となる場面も多い。その後も気を抜けず、遺伝問題の解法を駆使しながら、配偶子の作成と掛け合わせを繰り返す作業が続く。ミスなく正解に到達するためには、類題を圧倒的な量こなし、技術と経験を積むことが不可欠である。1週間ほど前に実施された近畿大学の入試でも同様の問題が出題されており、受験後にしっかりと問題分析をしていた受験生は有利だったかもしれない。
Ⅱ. 生態系における各栄養段階の有機物の収支についての問題。学習時に全体像を素早くつかみ、図を難なく覚えていた受験生とっては、完答が十分に狙える問題だった。しかし、この図の暗記を苦手とする受験生も多く、学習時に理解が不十分だった場合、試験中に後悔したことだろう。得点差がつきやすい大問といえる。問1の段階ではBとDを区別できないため、一見すると呼吸量と成長量のどちらでも正解になりそうだが、問2ではBとDをそのまま使って値を求める必要があるため、ここで明確に区別することが求められる。この判断の鍵となるのが、「通常、生物のエネルギー収支では、呼吸量>成長量となる」という原則である。特定の条件下では例外もある(例:植物プランクトンのプルーム期では呼吸量と成長量が逆転する)が、これは特殊なケースであり、本問では考慮する必要はない。したがって、Bは呼吸量、Dは成長量と判断するのが自然である。ここを見抜ければ、あとは四則演算をミスなくこなすことが求められるのみであり、計算精度が得点を左右する問題だった。
総評
出題形式に大きな変更はない。例年焦点となる大問Ⅱは、一昨年度や昨年度と同様に問われている内容が理解しやすかった。全体としては例年通り、正しい知識の定着度や多様な問題の演習経験が問われる構成だったが、今年はそれに加え、遺伝計算やエネルギー量の計算といった計算問題を通じて、処理能力も試された。合否を分けたのは、大問Ⅰ-1・2および大問Ⅱでどれだけ早く正確に得点を重ねられたか、そして差のついた大問Ⅰ-3で粘り強く試行錯誤できたかという点である。しかし、その背景にあるのは「当たり前のレベルをどれだけ引き上げてきたか」であり、今年も特別な能力を必要とする問題ではなかった。これまでの誠実な学習の積み重ねが問われた試験であった。
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