
医学部入試問題分析

順天堂大学 【2025年度 化学】
基本情報試験時間:2科目120分/問題数:大問4題
分析担当曽川 潤
分析担当曽川 潤
出題内容・難易度
| 大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 | |
| Ⅰ | 1 | 小問集合: 半減期、コロイド、極性、油脂、単分子膜、遷移元素、溶解度積 |
マーク式 | やや易~標準 |
| 2 | 有機: ペプチド中のアミノ酸の同定 |
マーク式 | 標準 | |
| 3 | 理論・有機: 二価の弱酸の電離平衡・アミノ酸の電離平衡 |
マーク式 | 標準~難 | |
| Ⅱ | 理論: モール法による塩化物イオンの定量 |
記述式 | 標準~やや難 | |
問題分析
Ⅰ. 1. 例年と同様に小問集合が出題された。14Cによる年代測定法・油脂のヨウ素価・ステアリン酸の単分子膜によるアボガドロ定数の導出といった典型的な計算問題が問われ、難易度はやや易しい~標準である。そのため、合格するためには完答が求められる大問であった。来年度にむけた対策としては、自治医科大学が同難易度の小問集合を出題するため活用できる。
2. ペプチド中のアミノ酸の同定がテーマの大問であった。リード文と図を複合して読解する必要があった。問1(b)はアミノ酸中のN原子数、問2(b)はアミノ酸中のC原子数についてそれぞれ場合分けをして分子量を求めることでアミノ酸を決定できる。問3(c)ではペプチドⅢのアミノ酸の配列順序が分かっており、分子内に対称面もないため、不斉炭素原子の数に注目して立体異性体数を求めればいい。全般的な難易度は医学部入試としては標準的であり、ミスなくかつ手早く解答することが求められた。
3. 二価の弱酸及びアミノ酸の電離平衡に関する問題であった。難易度が標準から難の小問が混在するため、解答しにくい。全問に手を出してしまい時間を浪費してしまった受験生も多かったのではないだろうか。演習経験がある小問を見極め、まずは部分点を確保するという工夫が求められた。具体的には、問1(a)、 (c)、 (d)、 問2(a)、 (c)(ⅱ)は読解を含め標準問題であり取るべき問題であった。逆に、問2(b)はリード文と図3から[HZ]=[+H3N-Y-COO–]+[H2N-Y-COOH]とできることを着想する必要があり、問2(c)(ⅰ)、(ⅲ)はリード文のKIVはKⅢより充分に小さいよりKⅢ≒KⅠと近似できることに気付くことが求められるので、手が止まったら即座に一旦保留か捨て問としたかった。
2. ペプチド中のアミノ酸の同定がテーマの大問であった。リード文と図を複合して読解する必要があった。問1(b)はアミノ酸中のN原子数、問2(b)はアミノ酸中のC原子数についてそれぞれ場合分けをして分子量を求めることでアミノ酸を決定できる。問3(c)ではペプチドⅢのアミノ酸の配列順序が分かっており、分子内に対称面もないため、不斉炭素原子の数に注目して立体異性体数を求めればいい。全般的な難易度は医学部入試としては標準的であり、ミスなくかつ手早く解答することが求められた。
3. 二価の弱酸及びアミノ酸の電離平衡に関する問題であった。難易度が標準から難の小問が混在するため、解答しにくい。全問に手を出してしまい時間を浪費してしまった受験生も多かったのではないだろうか。演習経験がある小問を見極め、まずは部分点を確保するという工夫が求められた。具体的には、問1(a)、 (c)、 (d)、 問2(a)、 (c)(ⅱ)は読解を含め標準問題であり取るべき問題であった。逆に、問2(b)はリード文と図3から[HZ]=[+H3N-Y-COO–]+[H2N-Y-COOH]とできることを着想する必要があり、問2(c)(ⅰ)、(ⅲ)はリード文のKIVはKⅢより充分に小さいよりKⅢ≒KⅠと近似できることに気付くことが求められるので、手が止まったら即座に一旦保留か捨て問としたかった。
Ⅱ. 医学部に頻出のモール法が問われた。問4はpCl(=-log[Cl–])と硝酸銀水溶液の液量の滴定曲線を作図するという目新しい問題でありやや難しいが、pHと滴下量の滴定曲線という基礎知識が応用できることに気付けば解答できる。また、問6は終点と当量点は同じという条件が分かりづらく難易度はやや高いが、[Ag+]≒[Cl–]を考察できれば計算できる。この2つの小問を除けば、標準的な難易度の大問であった。
総評
問題数は本年度が小問34問と昨年度の33問と同程度であった。全般的な難易度も本年度は昨年度と同程度であったものの、本年度はⅠ-3で高難易度の小問が散在していたため昨年度より取るべき問題の見極めがやや難しかった。制限時間内に取るべき問題を選択して解答しきる練習をどれだけ積めていたかが得点率に影響したと考える。本年度の化学の一次試験合格ラインは70%程度と予想する。
本学の化学の要点は、解答すべき問題の判断と制限時間内の処理にある。従って、本学の対策としては3点が重要である。1点目に高い基礎力を養う、2点目に難関校を中心に出題される発展的なテーマについても演習経験をしっかり積む、3点目に難易度がバラバラの小問から取るべき問題を見極めるトレーニングを繰り返すである。本年度の入試内容を鑑みると、これらの中でも3点目の取るべき問題の見極めと処理が特に重要と言える。東京大学・防衛医科大学・東京慈恵会医科大学などの高難易度の問題も出題する大学の過去問を活用し、傾向対策を行うと良いだろう。ただし、これらのいわゆる化学が難しい学校の問題に挑戦するには、基礎力・応用力という土台をしっかり作る必要があることも忘れないでほしい。
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