医学部入試問題分析

順天堂大学 【2025年度 物理】

順天堂大学 【2025年度 物理】

基本情報試験時間:2科目120分/問題数:大問2題
分析担当中村 達郎
出題内容・難易度
大問 出題内容 出題形式 難易度
第1問 小問集合、剛体のつり合い、円運動、正弦波の式、屈折、気体の定圧変化、電荷による電場 選択式 易~標準
第2問 力学(単振動) 選択式 標準
第3問 熱力学、原子(分子運動論、光子) 選択式 易~標準
電磁気学(電磁誘導) 記述式 標準
問題分析
Ⅰ. 第1問/小問数9題。例年に比べ1、2題多く、第1問通過までに時間を費やしてしまった人も多いのではないか。時間がかかりそうな問題をとばし、時間を節約しよう。問2、問3、問6は馴染みの基本問題。確実に正答したい。ここでは残りの問いをみてみる。問1では求められている値にピンポイントで迫りたい。張力の水平成分は求められていない。水平成分が出てこない鉛直方向のつり合い、棒の上端におけるモーメントのつり合いに目をつけると処理が速かっただろう。ただし、この問1がとばし第1候補か。問4は謎。波の速さを求めると5.67となり解答欄に正答がない!本番では相当焦るだろう。設問を読み返すと他の問いが「正しいものを選べ」であるのに対してこちらは「最も近い値を選べ」。やや気持ち悪いが指示に従って近い値を選ぼう。問5は仕事量が温度Tで与えられていた。珍しいと思う。落ち着いてPΔV=nRΔTと変換して考えていこう。あとは単原子分子理想気体の定圧変化なので5:3:2の比が使える。
第2問/抵抗力fが与えられているので見た目ほど難しくない。単振動では復元力の式から、復元力の比例定数、振動中心を読み取ること、またその運動イメージを描くことが重要だが、まさにそこを問う問題が問1(c)。問2は等加速度運動をする弾丸と単振動する木片の速度が等しくなったことに注目。木片の速度は(c)で求めた位置を微分すればよい。問3は物体系の運動量変化と力積の関係。問4は逆位相の位置に移動するまでの時間を求められている。弾丸と木片、一体となった単振動の半周期分である。
第3問/前半Aの分子運動論は教科書レベル。Bで光子が登場してからは繊細な処理が必要とされる。起きやすい間違いはAで求めた式の運動エネルギーを単純にhfと置き換えるもの。(ただしこの間違いは解答欄に適解がないので気づくとは思うが…。)波として情報が与えられているものを粒子のように扱うときには注意が必要。古典と言われる物理学を学んできた私たちが光子を扱うときは、自分で判断するのではなく、変換公式に忠実に対応したい。そこを丁寧に扱えばあとはとくに問題ないと思われる。
Ⅱ. 電磁誘導。導線が斜めに配置されている以外は、磁場中を導体棒が運動するよくある設定。しかし、問い方は順天堂大学らしい。微小変化の和が0になることから、その土台となる値の和が一定値になることを利用する考え方である。過去問をやりこんでいればお馴染みの題材だと思うし、誘導も丁寧なので読みこなせたと期待する。問4(a)は、原点と位置xを比較。(b)は「x座標は一定となる」の読み。もちろん静止しているということ。(c)はエネルギー保存則。他の問題ができなくても、ここだけで得点できる問題だった。
総評
難度は例年並みか。時間が足りないのもいつものこと。本年度はⅠの第2問、第3問、Ⅱ、それぞれの大問が比較的解きやすい。Ⅰの小問集合にあまり時間を使わず、余裕をもって各大問に臨めば得点しやすかったのではないか。鍵となるのは過去問演習だろう。時間配分も微小変化の扱いもそう。不慣れな受験者が考え込む時間はない。過去問を7、8年分、それも2回ずつくらい解いておきたい。そうすると、問題文から出題意図が読み取りやすくなり、とばす問題の選択にも迷いがなくなるのではないか。ただし、その前提として物理用語を正確に使え、「名問の森」レベルの問題集を解きなれている人でないと順天堂大学の過去問演習は難航するだろうことも付け加えておく。

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