医学部入試問題分析

順天堂大学 【2025年度 数学】

順天堂大学 【2025年度 数学】

基本情報試験時間:70分/問題数:大問3題
分析担当増子 拓哉
出題内容・難易度
大問 出題内容 出題形式 難易度
(1) BⅡ 数列・指数対数 (等比数列・級数・指数不等式) マーク形式
(2) C ベクトル (四面体・動点の存在範囲) マーク形式 易~標準
(3) Ⅱ 式と証明・複素数と高次方程式 (恒等式・相反方程式) マーク形式 やや易
(4) ⅠⅢ 集合と論理・極限 (必要十分条件の判定) マーク形式 やや易
Ⅱ 微分 (3次関数の決定) マーク形式 やや易
Ⅲ  積分 (積分漸化式・数学的帰納法・定積分と級数) 記述形式 標準
問題分析
Ⅰ. (1)等比数列と指数不等式の融合問題である。常用対数の値がヒントとしてあるため式変形で困ることはないであろう。途中に無限級数の和の計算も含まれていたが、かなり基本的な内容であった。
(2)空間ベクトルの分解および動点の存在範囲の問題である。始点を揃えたり内分公式を使ったりといった基本的な動きだけでほとんどの空欄を埋めることができる。最終問題では存在範囲の知識が必要で、変数s,tの範囲から平行四辺形を描くことに気付かなければならない。一見領域のイメージがしにくい設定であるが冷静に処理したい。
(3)与えられた4次方程式を相反方程式(係数が左右対称の方程式)に帰着させて解く問題である。式変形の仕方にはすべて指示があり、その通りに代入していくだけで求値できる。相反方程式を一度経験していれば最後まで取り切れる内容である。
(4)必要・十分条件の判定が4つ出題された。4つ中3つは数ⅠAの内容で、数式⇔グラフの言い換えや合同式の利用など、使える技があれば全て軽い計算で終えることができる。残り1つは数Ⅲの極限の内容で、教科書にある定理そのものであった。これは考察せずとも結果を覚えておきたい。
Ⅱ. 通る点や接点から3次関数を決定していく問題。1つ目は丁寧な誘導があり展開するだけで解る。2つ目、3つ目も「接点は重解として出てくる」というよく使う定理のみで完答を狙える。展開作業が多いため、計算の正確さとスピードが重要。
Ⅲ. 定積分と級数に関する複合問題であった。具体的にはtanの定積分、数学的帰納法、定積分の不等式評価、はさみうちの原理といった多くの要素が含まれている。tanの積分漸化式を経験していれば帰納法証明もスムーズに進められたであろう。最終問題も導くべき値は提示され、使うべき不等式も与えられているため考えやすい構成になっている。また今回登場した級数はメルカトル級数という有名テーマで、2022年の聖マリアンナ医科大や2023年の大阪大などでも出題されている。
総評
【難易度と量】大問3題でマークシート形式が2題、記述形式が1題という例年通りの大枠である。ただし大問Ⅰの小問集合が4テーマとなり昨年度までと比べて1テーマ増えた(2021年は4テーマ)。難易度は丁寧な誘導が多いことから易化したといえ、基本・標準問題で8~9割を占めている。計算量はやや増え、解き切るには80分ほど必要なボリュームである。大問Ⅰで15問中12~13問を取り、大問Ⅱは完答、大問Ⅲは(2)の途中までは埋め、全体で75%ほどの得点を目指したい。
【出題分野】本年度は数Ⅰ~Ⅲでバランスよく出題された。今まで数ⅠAの比重はかなり小さめであったが、本年度は必要十分条件のところで多めに登場した。昨年度に引き続き「和(級数)の計算」が多く、昨年度は5問分、本年度は4問分出ている。昨年度珍しく姿を消した「空間図形」も本年度では復活している。また、大問Ⅲは従来の証明問題の形に戻った。(昨年度はほぼ求値問題。)数Cの複素数平面・式と曲線が2年連続で出題されていないのも特徴といえる。
【対策】基本・標準問題のみで合格ラインを越えられることを踏まえると、瞬発的に解法を引き出し、十分な計算速度でミスなく解けるよう問題集で反復練習をすることが重要である。数年前までは黄金比やパップスギュルダンの定理など、やや応用的な知識があればすぐ求まるような問題も含まれていたが、近年は中々見られない。複雑な問題に対しては丁寧な誘導が付き、後半はそれを自力で解かせる形式がここ3年間で多く見られる。共通テスト形式の演習も多く入れて誘導に乗る力を付けておくと良い。また、高得点勝負になることから、空間図形や論証など、差が付きやすいテーマで思考訓練を積む必要もある

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