
医学部入試問題分析

日本医科大学 【2025年度 生物】
基本情報試験時間:2科目120分/問題数:大問3題
分析担当吉山 茂
分析担当吉山 茂
出題内容・難易度
| 大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 |
| Ⅰ | 生物の進化と生態系について | 記号選択、計算問題、事象整序 | 標準 |
| Ⅱ | 筋収縮について | 記号選択、語句記述、事象整序 | 易 |
| Ⅲ | カイコガのRNA干渉とボルバキア共生による性決定について | 記号選択、理由記述 | やや難 |
問題分析
Ⅰ. 進化全般の説明の語句挿入のあと遺伝子頻度についての計算問題が前半。後半は群れについてのグラフの読み取りのあと、個体群密度の計算問題が続く。基本的なものが続いている。
Ⅱ. 筋収縮についての基本的な知識問題。運動ニューロンの過程の整序、「あっているものすべて選ぶ」記号選択なども出題されたがいずれも難易度は低く、満点を狙っていきたい。
Ⅲ. カイコガの性決定をRNA干渉に絡めた問題。前半はRNA干渉による発現と性決定について、後半はボルバキア感染による「オス殺し」がおきる現象(タンパク質の名前はOSCAR【オス狩る】)の説明を扱った。いずれも約10年前に発表された現象であり、この数年の「RNA」研究の進化に合わせた問題となっている。問題形式は例年通り実験考察の記号選択中心で、最後の問題についてのみ理由の記述問題が出題された。扱ったテーマがRNAであるだけに近年のRNA干渉などの話題に触れていないと問題の大枠をつかみづらい問題であった。
総評
国公立を見据えた首都圏受験生と私立上位校を狙う受験生が交錯する最初となることが多い日本医科大学。数学や英語の本格的な記述に対して、理科特に生物は前半の知識重視の問題、後半の考察問題という形式が国公立とは大きく異なり、日本医科大学の形式にフィットする必要がある。難易度がそれほど高くないだけにしっかりと高得点を取りたい。
単元的に細胞・代謝・恒常性・遺伝子が中心で、植物や生態系はほとんど出題されず、進化については小問の中で必ず出されていたが近年大問に近い形式で出題されている、というのが例年であったが、今年度は生態系で大問の半分を占めており、難易度は高くないものの面くらった生徒はいたと思われる。問題形式はこれまで同様、記号中心で一部は「すべて選ぶ」という個数を指定しないものであること、説明記述はなく、[Ⅲ]で理由記述が1つあっただけであるという部分はいつもと同様であった。選んで順序通りに並べる、という問題も同様であったが、計算問題が増えて時間的に少し気にかかった生徒もいたと思われる。「日医ならでは」の実験考察も実験を限定した考察は2問だけで、すべての実験を見渡した中での考察であり、実験ごとに進む「流れ」をつかんでおくことが大切である。
このように問題形式・出題範囲がほぼ一定で過去問による演習が最も効果的になる大学では大学にフォーカスした学習が効果的である。特に「考察」についてはマーキングやメモの取り方などに関して「指導者の方法」と「受験生の方法」が一致する必要がある。受験生自身、どの指導者・テキストの考察方法が実際の試験場での自分の動きにフィットしているかを早いうちに見つけておくことが必要になってくる。
また、この2年のノーベル賞がRNA関連であることを踏まえてRNA干渉をタイムリーに対策している受験生はまさしく「してやったり」の試験であったであろう。実際、[Ⅲ]の前半部分は過去に金沢大学などで出題されており、事前に「知っておく」ことは可能であった。このような「タイムリーな」題材についての対策を行うことも変化が目まぐるしい生物の世界では必須である。常に新しいテーマ、新しい入試問題などに触れる機会を多くして、アンテナを張っておきたい。
オススメ記事
記事一覧
お近くのTOMASを見学してみませんか?
マンツーマン授業のようすや教室の雰囲気を見学してみませんか?
校舎見学はいつでも大歓迎。お近くの校舎をお気軽にのぞいてみてくださいね。








