
医学部入試問題分析

日本医科大学 【2025年度 物理】
基本情報試験時間:2科目120分/問題数:大問3題
分析担当坂本 剛士
分析担当坂本 剛士
出題内容・難易度
| 大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 |
| Ⅰ | (1)非等速円運動(力学) (2)万有引力(力学) |
解答のみ | (1)やや易 (2)易 |
| Ⅱ | (1)点電荷(電磁気) (2)導体球殻(電磁気) |
解答のみ | (1)易 (2)標準 |
| Ⅲ | 熱力学サイクルと熱効率(熱力学) | 解答のみ | 易 |
問題分析
Ⅰ. (1)非等速円運動に関する問題。力学的エネルギー保存則と向心方向の運動方程式を連立して解く典型的な基本問題である。計算もさほど煩雑ではないので、確実に得点したい。「最高点で小球に働く垂直抗力が0となるような最下点の初速の値」はよく問われる設定であるので、その値を覚えていた受験生にとっては計算時間を短縮できたであろう。
(2)万有引力に関する問題。質量Mの恒星を中心とする惑星Aと惑星Bの2つの運動方程式を立てて、それら2つの式を比較するだけで解けるので、かなり易しい設定である。計算量も少なくミスも起きにくいことから、この問題はかなり正答率が高くなることが予想される。
(2)万有引力に関する問題。質量Mの恒星を中心とする惑星Aと惑星Bの2つの運動方程式を立てて、それら2つの式を比較するだけで解けるので、かなり易しい設定である。計算量も少なくミスも起きにくいことから、この問題はかなり正答率が高くなることが予想される。
Ⅱ. (1)点電荷に関する問題。与えられた図1のグラフの縦軸が電位であるので、小球を坂道に向かって転がす力学のイメージをもって解き進めることができる。(ア)(イ)のいずれの設問も非保存力が仕事をしていないことから、力学的エネルギー保存則を用いればよい。(ウ)は等加速度運動をする物体の時間を求める問題だが、与えられたvーxグラフを元にv―tグラフ(速度と時間のグラフ)を描くことで比較的スムーズに解答に辿り着けるであろう。
(2)金属球殻に関する問題。「ある地点の電場の強さは、その地点を取り囲む閉曲面を考えたとき、そこより内側にある総電荷の出す電気力線の単位面積あたりの本数で決まる」という知識があれば金属球殻の問題は解きやすくなるであろう。この定理は必ず覚えておきたい。(エ)はその知識があれば即答できる。(オ)は導体内の電場であるから0である。
球殻内の電場は点電荷の作り出す電場と等しく、導体内では電場は0になる。導体の外側は導体内に電荷が蓄えられていないことから、再び中心にある点電荷の作り出す電場と等しくなる。このように球殻全体としては電位の概形は一様ではなくなる。しかし、(カ)(キ)で問われているのは球殻の外側における点電荷の運動であるので、中心にある1つの点電荷が作り出す電場による影響だけを考えればよい。このことからエネルギー保存の式の中身は典型問題を解くときと同じ形になるので、電気力線の様子が見えていなくてもたまたま正解を出せた受験生は少なくないであろう。
(2)金属球殻に関する問題。「ある地点の電場の強さは、その地点を取り囲む閉曲面を考えたとき、そこより内側にある総電荷の出す電気力線の単位面積あたりの本数で決まる」という知識があれば金属球殻の問題は解きやすくなるであろう。この定理は必ず覚えておきたい。(エ)はその知識があれば即答できる。(オ)は導体内の電場であるから0である。
球殻内の電場は点電荷の作り出す電場と等しく、導体内では電場は0になる。導体の外側は導体内に電荷が蓄えられていないことから、再び中心にある点電荷の作り出す電場と等しくなる。このように球殻全体としては電位の概形は一様ではなくなる。しかし、(カ)(キ)で問われているのは球殻の外側における点電荷の運動であるので、中心にある1つの点電荷が作り出す電場による影響だけを考えればよい。このことからエネルギー保存の式の中身は典型問題を解くときと同じ形になるので、電気力線の様子が見えていなくてもたまたま正解を出せた受験生は少なくないであろう。
Ⅲ. 熱力学サイクル及び熱効率に関する問題。(ア)(イ)(オ)に関しては熱サイクルの基本公式に当てはめるだけで容易に求められる。温度は与えられていないので、PV表示の方の公式を用いた方がより早く計算できる。(エ)は熱力学第一法則を用いればよい。
(ウ)は断熱変化におけるポアソンの式を用いればよい。問題文に与えられた数値が一見汚く見えるが、この問で解答が整数となるように工夫されている。(カ)は熱効率に関する問題。熱効率の式は「正味の仕事/吸収した熱量」が有名であるが、それだけではなく「1ー放出した熱量/吸収した熱量」の式も知っておくべきである。この問では後者の式を使うとより早く計算できる。
(ウ)は断熱変化におけるポアソンの式を用いればよい。問題文に与えられた数値が一見汚く見えるが、この問で解答が整数となるように工夫されている。(カ)は熱効率に関する問題。熱効率の式は「正味の仕事/吸収した熱量」が有名であるが、それだけではなく「1ー放出した熱量/吸収した熱量」の式も知っておくべきである。この問では後者の式を使うとより早く計算できる。
総評
2021年までは大問4題で構成されていたが2022年以降は大問3題となっており、本年も大問3題の構成となった。第Ⅰ問は典型基本問題が出題され、計算量も少なめ。基本に忠実に落ち着いて計算できれば完答できるであろう。第Ⅱ問(1)一様電場の中を運動する点電荷の問題も基本問題であり、数値も加速度・質量ともに1.0と1桁の整数となるような設定であったので、計算もしやすくこの問題も完答できた受験生は多かったであろう。(2)の(カ)(キ)の2問に関しては電気力線の様子から電位がどのように決まるかわからないとつまずいてしまうであろう。第Ⅲ問も第Ⅰ問と同様に典型基本問題で問題自体はかなり易しい。ただ解答が3桁の分数となるので、計算結果に自信が持てない受験生は多かったであろう。例年物理は易しい問題を出題するが、本年はさらに易化した印象である。本学の物理では「標準的な問題を短時間で確実に正答を出す力」が求められている。本番を想定した「実戦形式の演習」をどれだけ積むかが重要であろう。
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