
医学部入試問題分析

東京慈恵会医科大学 【2025年度 生物】
基本情報試験時間:2科目120分/問題数:大問4題
分析担当吉山 茂
分析担当吉山 茂
出題内容・難易度
| 大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 |
| 1 | 糖代謝について | 語句挿入・説明記述・考察記述 | やや易 |
| 2 | 光合成について | 語句挿入・説明記述・考察記述 | やや易 |
| 3 | 動物の行動について | 語句挿入・説明記述・考察記述 | 標準 |
| 4 | 個体群について | 記号選択・理由記述・グラフ描図 | やや易 |
問題分析
- 今回はグルコースの代謝についての問題が大問1に置かれた。簡単な計算、そして記述問題が続くが、問題文やグラフは簡素で自分の知識を動員してある程度自力で記述する問題が中心であった。既習のものであるのでそれほど難しくはないが、自分の言葉で記述することに対する慣れが差になった印象。
- 前半は進化・系統を意識した光合成色素の問題、後半は光呼吸を踏まえたカルビンベンソン回路と光合成速度と問題自体は標準的である。ここでも問題文に頼らない記述が多く、自分の中での知識のストックが大きく差になる部分である。
- 線虫の走化性の実験を考察する問題。軽い計算問題のあとは「動物の行動」についての考察を行う記述が続いた。きわめて国公立的であり、この単元は知識重視で進めるのが私立医学部の定石であったので、考察の練習を積んでいないとてこずったことが予想される。
- 生態系についての問題。グラフの読み取りがメインであるがグラフ自身は見慣れたものであったのでかなり解きやすい印象がある。記述問題も一般的な説明記述であるので、スムーズに解き進められたと思う。
総評
前半は代謝と動物生理が頻出であり、それに発生と遺伝子発現や遺伝が加わり、複雑な計算や遺伝子の塩基配列の読み取りで時間がかかる、後半は生態系や植物もちらほらという構成がいつもの慈恵医科のイメージである。今回は最初に恒常性、そして進化を絡めた光合成と続き、かつての計算や塩基配列の読み取りといった「時間のかかる」問題が今年度はなかった。しかし、説明中心ではあるが記述問題が多く、難易度の割にはハードな内容に結果としてなった印象である。それでも「問題集的」で過去に問題集などで取り組んだことのある問題が続き、記憶をたどって作業を行うという感じで進められたのは例年通りである。ただ、リード文やグラフなどからわかることを手掛かりに自分の知識をフル動員して説明する問題や、結果の理由を述べる問題が多いので、常に「自分の言葉」で説明する練習をする必要があるだろう。
このような「問題集的」な問題の集大成で「自分の言葉」を必要とするものはまず問題とその解釈のストックを作り上げる必要がある。「理系標準問題集」(駿台文庫)や「合格177問」(東進ブックス)などの標準的な問題を集めた問題集を題材ごと暗記できるようにしっかりとこなしておく必要がある。その上で国公立の上位校の過去問などで「自分の言葉で説明する」という訓練が必要になってくる。私立医学部ではこのような「理由や考察の記述」を求める大学は上位のいくつかに限られるため、私立医学部受験をメインにする場合と国公立受験をメインにする場合では大きく受け止め方が変わるであろう。私立医学部受験の生徒は知識重視で進めてその最後の仕上げとして慈恵の過去問に臨むというスタンスになり、国公立志望の生徒は「記述の練習の一つ」という扱いになるであろう。
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