医学部入試問題分析

慶應義塾大学 【2025年度 生物】

慶應義塾大学 【2025年度 生物】

基本情報試験時間:2科目120分/問題数:大問3題
分析担当吉山 茂
出題内容・難易度
大問 出題内容 出題形式 難易度
ネンジュモに関する問題 説明記述・グラフ描図・計算問題 やや易
ABO血液型についての問題 語句記述・説明記述・描図説明 標準
ミオシンの速度についての問題 語句記述・説明記述・考察記述 標準
問題分析
Ⅰ. 細胞接着についての語句挿入から光合成と窒素同化の問題、そして細胞間の物質輸送と単細胞・多細胞の仕組みの違いなどを、ネンジュモを中心に流れるように説明している問題。図が大きく使われ、話題もテンポが良いので問題は広い範囲を見直す必要がなく、解きやすくなっている。説明記述が多く、昨年同様グラフ描図も出題されているが、これも難易度は高くなく、処理のスピードが問われるものになっている。
Ⅱ. ABO血液型をテーマにした問題。免疫、遺伝子、酵素反応とここでも流れるように問題を構成している。描図の問題なども出されているが、いずれの問題も誘導がしっかりとしており、答えに行きつきやすいものとなっている。それでも記述量はある程度多く、スピードとの勝負になるであろう。
Ⅲ. 2012年から行われたミオシンの速度と植物成長システムについての研究を題材にした問題。リード文や実験が丁寧に述べられており、どのような目的でどのような実験を行ったかは容易にイメージできる。最後の問題が類推を求めるものであり少し難易度は高いが、それ以外は問題の流れに沿って記述できる問題であった。
総評
大問が3題で記述問題が多く、実験をメインにした構成は例年と同様であるが、グラフ描図や描図問題など「ビジュアル化」がより顕著となったように、昨年同様「解きやすさ」を感じた問題構成であった。テーマとしてはかつての「ヘビ毒について」や「粘菌の生活環」など見たことがない受験生が多いと思われるテーマは出現せず、「新書的」な教養よりも「問題集的」な知識が先行した印象が残った。流れに乗って実験の結果を処理していくという形は慶應らしい感じであり、説明記述も最後以外は問われているものがはっきりしていて記述しやすいものとなった。
慶應といえば菌類・細菌類ということで今年は何を…と期待したのだが、今年はネンジュモ。光合成や多細胞への進化などに絡めており例年に比べると格段に読みやすくなっていた。それでも出題が続くこの分野は来年度以降も引き続き「教科書以上」の知識を備えておく必要があるであろう。
このレベルの入試において、記述問題についての処理のスピードは必須である。それでも東大や東京科学大(東京医科歯科大)に比べると「解きやすい」印象はあるので、問題集などで早いうちから基本を定着させておいて上記の国公立の記述量にも対応できるスピードを養っておく必要がある。また、生物は「新しく積み重なっていく」学問であり、他の理系科目に比べて情報のアップデートが必要になってくる。最新の大学入試の生物の問題でまだ見たことがなかったテーマに触れながら、時には新書などで新しい教養をインプットする必要がある。特に「遺伝子」「免疫」「菌類・細菌類」はこの大学では必須になってくる。

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