例年通りの出題で、大問1題(第3～6問[第1・2問は他学科用])、120点満点で構成されている。英文の総語数は約1,850語で、この数年大きな増減はない。ただし、英文のレベルは例年よりも平易である。テーマは、「培養肉が人間の健康と地球環境に与える影響」である。このような食に関する問題は、本学でよく出題される。「現代の稲作における問題とその解決策」(2024)、「電子レンジ調理の安全性」(2022)、「朝食を摂るべきか」(2020)、「卵の健康への影響」(2018)、「塩分摂取量は減らすべきか」(2015)がその例である。これは「医食同源」を重視する本学の方針に基づくものであろう。実際に、「食から未来を創造～医食同源から超健康を考える～」というテーマのシンポジウムも2024年に開催されている。これは「医食同源による持続的な健康社会の実現」を目指すものである。ところで、培養肉に関しては、医学部での出題はなく、他学部でも日本女子大学(人間社会・国際文化)2024で出されただけである。このように馴染みがない問題に立ち向かうためには、医療だけでなく環境や国際関係などの社会問題に対する幅広い教養を持ち合わせておきたい。なお、設問の難易度は第6問の論旨要約を除けば全般的に標準的である。とは言え、総語数が多いので、速読はもとより多読的訓練が必要である。要は、本学のレベルにもなれば、逐語的に日本語に置き換えるのではなく、述べられていることを全体として捉えていかなければならない。特に、第6問はその力を集約的に問うものである。本学の合否は、この論旨要約の訓練にかかっていると言える。