中学入試に出る理科実験

science-experiment

近年、中学入試の理科では、身のまわりの物事の仕組みについて考え、もっている知識と相互に紐づけていく取り組みが求められています。「どうして?」という日常の素朴な疑問を大事にすること、実験・観察に関連した出題に対応できるような学習を進めておくことが大切です。
このコーナーでは、実際に中学入試で出題された問題に触れながら、ご家庭で取り組める簡単な実験を紹介します。

【中学入試に出る理科実験⑥】科学の力で超カンタン!マカロンづくりの実験

【中学入試に出る理科実験⑥】科学の力で超カンタン!マカロンづくりの実験

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近年の中学入試では、単に知識を問うだけでなく、身のまわりの現象を科学的に捉える力が問われています。
今回は、おうちでマカロンづくりを楽しみながら「熱の伝わり方」や「タンパク質の性質」などを学びます。

とても繊細なお菓子
マカロンとは?

マカロンは天候や気温に左右されやすく、つくるのが難しいお菓子と言われています。
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表面はなめらかでつやがあり、外はぱりっと、生地の中はフワフワしています。マカロンの下部にはピエ(足)がでています。

[一般的なつくり方]

  1. ①固めのメレンゲをつくる
  2. ②生地をマカロナージュ
    (混ぜながら泡の量を調節してなじませる)
  3. ③生地を絞り出して乾燥
  4. ④生地をオーブンで焼く

科学的根拠に基づく“超カンタン”レシピ紹介

●面倒なマカロナージュが不要!
タンパク質の性質を生かして強く均一な大きさの泡のメレンゲをつくることにより、生地全体の泡の大きさを揃えることができます。
●生地の乾燥作業が不要!
高温から低温へ流れる熱の性質を利用し、熱風で生地を焼きながら乾燥させるので、気温や湿度の微調整が必要な乾燥作業が不要です。

用意するもの
[マカロン6~8個分]

  • 卵白…………………………… 1個分
  • 粉糖……………………………… 25g
  • アーモンドプードル… ………… 35g
  • グラニュー糖…………………… 35g
  • お湯……………………………… 1L
  • ボウル……………………………… 3個
  • シリコンべら
  • 透明ビニル袋
  • 段ボール
  • クッキングシート
  • オーブントースター
  • 電動泡立て器

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卵白を半分に分けます。卵白の半分とグラニュー糖を混ぜ、泡立てます。お湯を入れたボウルで温めることでタンパク質の性質を生かした強いメレンゲを作ります。

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卵白の残りの半分をアーモンドプードル、粉糖としっかり混ぜてなじませます。混ぜるだけでちょうどよい泡の量の生地ができるのでマカロナージュが不要です。

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クッキングシートの上に、角を切り落としたビニル袋で生地を絞り出します。ふつうはこの後、1時間程度、生地を乾燥させますが、今回は焼きながら乾燥させるので不要です。

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下に熱が通り過ぎないよう段ボールをしき、150度に熱したオーブントースターの扉を開けて焼きます。内側(高温)から外側(低温)へ移動する熱風で、乾燥と焼成を行います。

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ある程度焼けたらアルミホイルをかぶせて上からの熱を遮り、下から熱を通します。するとマカロンの底から生地が逃げ出してピエ(足)ができます。

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2枚を重ね合わせ、クリームなどを挟んで完成。2日ほど冷蔵するとなじみます。上面は熱風で乾燥してなめらか。下面からはピエが出ています。中は半生のようにフワフワです。

~失敗作コレクション~

実験→失敗→考察の繰り返しこそが科学! なぜうまくいかなかったのか原因を考えよう。

ツノが出た
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5月17日 | 雨 | 湿度70%
湿度が高いため水分( 卵白) を減らして焼いてみたら、ツノが出たまま固まってしまった。

ぺったんこになった
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5月19日 | くもり | 湿度67%
水分( 卵白) を増やしたところ、今度はふくらまずぺったんこのマカロンになってしまった。

割れてしまった
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5月25日 | 晴れ | 湿度61%
ふくらんだ後、表面が割れてしまった。生地の泡が多く、中に空洞ができたことが原因。

ピエが不十分
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5月26日 | くもり | 湿度63%
ピエ(足) が十分に出ていない。下からの熱が足りなかったのが原因と考えられる。

中身がからっぽに

5月31日 | 雨 | 湿度70%
表面にツヤがなく、内部が空洞に。乾燥不足と、メレンゲの泡をつぶしすぎたのが原因。

【実験まとめ】

さまざまな結果から条件を整理し、考察させる問題は、中学入試でもよく出題されます。今回のマカロンづくりでは、材料の分量、作り方の順番、作業の時間、その日の天気・温度・湿度など、さまざまな条件の違いで失敗と成功が分かれました。条件を変えながら、仮説を立てて実験し、その結果を考察するという作業は、まさに科学そのものです。日頃から身の回りの現象に対して「なぜだろう」と知的好奇心をもって取り組む姿勢を身につけましょう。

■実験監修

TOMASサイエンス教室 矢野 仁(やの ひとし)先生
TOMASの教室で理科実験プログラムを開催している。子どもたちの「なぜ?」「ふしぎ!」を引き出す問題発見型のプログラムに定評がある。

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