東京医科歯科大学
基本情報
試験時間:90分/問題数:大問1題
分析担当
糸川 健

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
3 内容一致 選択 やや易
4 英問英答 論述 標準
5 和訳 論述
6 内容説明 論述

問題分析

  1. T/F問題。24問。ほとんどは素直な問題であるが、一部判断に迷う問題もある。どうしてもわからない問題には時間を掛け過ぎないことも大切。本文自体がとても長いので、数段落読む毎に解答するなど、効率的に解きたい。8割の正答率が目標。
  2. 英問英答問題。3問。本文に関する英語の質問に対して、10~25語の英語で答える。受験生自身の言葉でまとめ直して完全文で答えることが要求されており、基本的な英作文力が要求されている。1)に見られるresults、2)に見られるargumentsという複数形から、解答内容も複数の項目を含むことに気づく注意力も、得点を大きく左右する。
  3. 下線部和訳問題。2問。(ア)(イ)ともに構文的な難しさは皆無であり、ケアレスミスは許されない。「和訳の日本語としての自然さ」で点差がつく可能性があり、日頃から神経の行き届いた読みやすい和訳を心掛けているかどうかが試されている。(ア)を「それでも、その研究の小さい規模は、その可能な長期的な利点についてさらなる研究が必要であることを意味している。」と機械的に訳した答案と、「それでも、その研究の規模は小さかったので、その考えられる長期的な利点についてさらなる研究が必要となる。」のように採点者に読みやすく訳した答案との間で点差が開くということである。
  4. 説明問題。1問。制限字数は日本語で400字(360字以上が目標)。最大の関門と言ってよい。あらかじめ設問文で、「見つけるべき情報」と「キーワード」をチェックしておき、本文を読む中で該当箇所をマークし、それを手際よく、しかも採点者が読みやすい構成で文章にまとめる。枝葉末節の情報に気を取られることなく、絶対に外せない情報を答案に盛り込むことを旨としよう。解答作成に時間は掛かるが、当然配点も最大だと予想される(全配点の3分の1くらいか?)。

総評

例年通り超長文1題のみの出題であり(本年は本文語数が1,800語強)、設問形式も例年通りであった。昨年に引き続き、長文自体は比較的読みやすかった。近年、本学の長文には語注が一切つかなくなってしまったが、難単語に動じることなく、本文の概要を的確に把握できるタフな心構えの受験生が求められていると考えるべきだろう。「やや専門的で長大な科学系・医療系の文章の概要を掴む英語力」と「本文理解を的確な英語および日本語で書き表す表現力」を求める本学の出題姿勢は本年も踏襲されており、その点を踏まえた学力の構築が受験生には望まれる。
最近は比較的読みやすい長文が出題されているが、だからと言って全ての設問が本学受験生の誰もが高得点を容易に取れるものではなく、解答力を十分に磨いておかなければならない。ゆっくりでもいいので正確に英文を読める力(3)、自然で読みやすい和訳を書ける力(4)、文法的に正しい英文を書ける力(5)、そして求められている情報を検索して制限字数内にまとめる力(6)をそれぞれ培っていくことが、本学受験生の課題である。秋以降は、本学の過去問を10年分以上は解くことも強く薦めたい。
なお、本学で例年1,000語を優に超える超長文が出るからといって、いわゆる「速読」は一切不要である。「80語/分」のペースで読めれば、本年の長文は25分程で読み終えることができるのだから。―More haste, less speed.(急がば回れ)