順天堂大学
基本情報
試験時間:理科2科目あわせて120分/問題数:大問2題
分析担当
太田 寛

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 1 生物の環境応答 (筋肉) マーク
形式
標準
2 生物の環境応答 (植物ホルモン) マーク
形式
標準~やや難
3 生物の集団 (生態系の物質循環:窒素循環) マーク
形式
標準
2 生殖と発生 (染色体、遺伝) 記述式 標準~やや難

問題分析

    1. 骨格筋に関する知識問題。筋肉の形態、収縮の仕組み、代謝と多岐にわたる知識を問うている。トロポニンとトロポミオシンの違いや、T管など細かい内容にも注目して普段から学習しているかがポイントとなる。
    2. 植物ホルモンに関する問題。問1の名称と働きに関する表完成の問題は、他の分野でも順天がよく使う出題形式。ヒントとなる内容をしっかり見つけて、素早く解答を作成する必要がある。アブシシン酸によりエチレンが誘導されることに注目できると解答が作りやすい。(4)の研究史については多くの生徒が悩む(もしくは捨てた)問題であろう。黒沢英一の漢字が栄一になっていることに気がついたであろうか。問2のカルスがどのように分化するかは、オーキシンが発根促進を行うことから考えると答えられる。
    3. 生態系の窒素循環と植物の窒素同化については、融合された問題がよく出題される。硝化菌、窒素固定細菌のはたらきはしっかり理解したうえで記憶しておきたい。窒素同化における窒素同化産物は頻出である。ケトグルタル酸が有機酸であり、クエン酸回路の物質と同じものであることを素早く判断したい。
  1. 前半は染色体とその分配に関する基礎問題で、半ばからは遺伝計算を中心とした問題。近年、遺伝は教科書の記述から大きく減ったが、昨年あたりから出題が増えている。基礎的な問題はもちろんのこと、医学部受験では標準より少し上までの問題はすらすら解ける必要がある。問4では独立や、連鎖F2などはすぐに見抜けたと思うが、完全連鎖はどうであろうか。見抜くことができなかった受験生もいるかもしれない。問5で差がついたであろうが、落ち着いて考えて、配偶子分離比さえ出せれば、さほど大変な問題ではない。

総評

細かい知識まで普段から丁寧に学習したかが勝敗を決めたと思われる。トロポミオシンとトロポニンの役割の違いは、近年様々な私立医学部で問われるようになった。名称の暗記だけではなく、はたらき、仕組み等をしっかり理解したうえで記憶することが重要となる。遺伝計算は近年出題が増加している。通常の独立、連鎖、伴性遺伝だけではなく、X染色体不活性などの現象、集団遺伝等、関連する分野の演習を積んでおく必要がある。図説等で確認しながら、継続的で地道な学習を積み重ねることが合格の鍵であろう。