順天堂大学
基本情報
試験時間:80分/問題数:大問5題
分析担当
渡邉 哲史

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 長文読解 
[同義語選択、内容一致]
選択 標準
2 長文読解 
[同義語選択、内容一致、文補充]
選択 標準
3 長文読解 
[同義語選択、内容一致、文補充]
選択 標準
4 長文読解 
[同義語選択、内容一致]
選択
5 英作文 エッセイ文作成 記述 標準

問題分析

  1. 例年通りインタビュー形式の長文。ハリーポッターの作者として有名なJ.K.Rowlingに、彼女が行っている慈善事業についてインタビューした記事が題材であった。文中の語義を問うものと内容一致文選択という設問構成は昨年と全く同じ。どのような質問にどう答えているのか、Question-Answer(主張)を把握していく読解が求められる
  2. Telemedicine(医師と患者が距離を隔てたところでインターネットを使い診療を行う遠隔医療)をテーマとする文章が題材。設問は同義語選択と段落主旨を問うものが中心であり例年同様の構成。例年の段落補充ではなく、1文の補充が出題されているものの、求められていることは同じであり、段落主旨との一致、論展開という視点から適切な場所を選択。
  3. 相手の表情から心情を分析する力に関する考察がテーマ。大問2と同じ設問構成であり、同義語選択、段落主旨を問うものが中心。導入部分(1~2段落)がやや抽象的であり、慌ててしまった受験生も多かっただろうが、4段落以降、話題をふって実験の話という、主張+論証というパターンが続くため、結果的には主旨がつかみやすいものであった。
  4. 目標を立てること、それを書き出すことのメリットを述べた文章が題材。他の大問と比べて文章が短く取り組みやすい。設問構成は同義語選択、段落主旨を問うものが中心。空所文補充の出題はなく、英文量、問題構成的に、この大問4で時間的余裕をつくることが出来たであろう。
  5. 生徒の学力に影響を与える要因、本人自身や他者の影響の程度について意見文を書く。昨年同様、書くべきテーマを与える前に、導入、主張、結論を明記し、テーマを知らない人が読んでも何についての話なのかが分かるようにという書くべき文章のスタイルを指定している。語彙、文法の正確さはもちろんのこと、文章構成、論理構造の適切さ、完成度が評価される。

総評

インタビュー形式の文章を含め、論説調の長文問題が4つ、それぞれ15分ペースでの処理が求められる。昨年度は内容把握が難しい文章がやや多かったものの、本年度は例年通りか、やや易しい文章が題材であった。文中下線部の同義語選択と、パラグラフ主旨分析が中心となる構成は例年通り。順天堂大学が求めているのが内容把握力、論旨把握力であることは間違いない。語義問題や文補充型の問題も、その1文、空所前後の1文の精読はもちろん、パラグラフ主旨に注目し、その理解度が求められていると判断したい。レベルの高い論旨把握力を習得するためには、1文を訳すことをいかに速く正確にできるかがまずはスタートライン。英文を正確に訳すことはできて当然としなければならない。その上で文章としての流れ、各段落の主旨を速く正確に把握する力が求められる。パラグラフごとに主旨は1つ。各文は、譲歩や論証や主張といった役割をもっている。訳すことよりも、その役割に注目して文章の論理構造を捉えていくことが必要。語彙・文法に基づく正確な訳出力を早期に仕上げ、論理力を鍛える読解練習を重ねたい。
英作文も昨年度、問題文に書かれた評価基準が本年も明記されており、長文同様、文章としての完成度が求められている。文法が正しければよいのではなく、文章構成、論展開をしっかりつくることが出来るように練習しなければならない。