試験時間:2科目100分/問題数:大問3題
吉山 茂
出題内容・難易度
大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 |
---|---|---|---|
1 | トリプトファンオペロンと半保存的複製 | 語句挿入・説明記述 ・理由記述 |
やや易 |
2 | 体温調節と薬物依存について | 語句挿入・説明記述 ・記号選択 |
やや易 |
3 | 植物の光受容体について | 語句記述・描図 ・説明記述 |
やや易 |
問題分析
- トリプトファンオペロンの発現制御と塩基の変異について、それぞれ160字の記述が出題された。160字という長さで「何を書くか」ということがポイントになる。半保存的複製の計算問題もあり、難易度自体は標準的だがそれなりに時間がかかる問題となった。
- 大問1とは一転、40字・60字・60字の説明記述が出題。こちらは逆に「コンパクトにまとめる」ことがテーマになる。リード文が会話形式で読みやすいが、その分余分な情報も多くなり、「自分の知識」に頼る部分も大きくなっている。
- フィトクロムをメインにした光受容体についての実験考察。実験自体の考察は極めてコンパクトであり、基本的には知識の記述・選択が中心になっている。120字の説明記述があるがこちらは「ちょうどいい」長さになっている。
総評
40字から160字までの記述が6問と昨年に比べて記述量が減少した。計算も半保存的複製の計算と極めて軽いものであり、全体的に平易な印象を受けた。例年よりも実験考察や計算によるものが少なく知識の説明など知識に頼った印象。「書く」ことに時間はかかるものの、「考える」時間は大きく省くことができた構成である。
千葉大学は5つの大問から医学部は3題を指定する仕組みであり、それ故に生態系、個体群、進化・系統、植物などの分野は大きく出題頻度が低下しているのだが、今年は植物の分野が選択されており、これらの単元を完全に無視はできない。また、遺伝子、細胞、代謝、動物生理、発生の単元は頻出になるのであるが、今年もここから2題が出題と大きなウェイトを占めた。また、「問題集的」な実験や問題がほとんどであり、問題文も短いことから、該当範囲に対して問題集でどこまで「知っておく」かがそのまま合否に関わってくる。特に今年は考察よりも知識に拠っていたことからより「知っている」ことが重要であった。
そのためには「理系標準問題集」(駿台文庫)などいかにも「問題集的」な問題を集めたものをきちんとやりこむことがまず必要になってくる。まずは「見たことがある」ことが大事になるので問題パターンごとにしっかりと覚えこんでいくことが求められる。100字前後の説明記述に対応させながら「生物問題集合格177問」(東進ブックス)や「体系生物」(教学社)などを2周目に取り入れるなどの工夫を行って、記述と問題パターンのインプットに集中したい。理科は2科目で設定されているので生物を早く済ますことができればそのまま他科目の時間に充てられる。これらのタイムマネジメント面でも「覚えて出す」という学習の徹底が求められる。「新書的」で最新の論文からの引用などの教科書や問題集を越えたものはほとんど出題されず、まさしく学習量が問われる問題であり、努力の成果がそのまま反映される。
記述は説明記述が中心であり、その長さは今年も40字から160字とバラエティに富んでいた。この部分が最も時間を取られる部分でもあるだけにいかに「説明記述」を字数ごとで素早く分けて書くことができるかがポイントになる。一つの問題に出会ってもその問題の字数だけでなく自ら60字、120字など他の字数のパターンを作って、字数ごとの違いを体感的に学んでいくことが大切である。