試験時間:2科目100分/問題数:大問3題
吉山 茂
出題内容・難易度
大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 |
---|---|---|---|
1 | DNAと コドンについて |
語句挿入・説明記述・ 計算問題 |
やや易 |
2 | ウニの受精と 初期発生 |
語句挿入・説明記述・ 記号選択 |
やや易 |
3 | ABO血液型 について |
語句挿入・計算問題・ 理由記述 |
やや易 |
問題分析
- DNAについての基本的な問題。100字記述が1問あるが、流れの中で予想できる考察問題であり、基本的には平易。時間的にも負担のあるものではなく、大きな差がつかないものになった。
- ウニの受精についての基本的な問題。これも問題集などでよく見かけるものであり、記述問題はグラフの読み取りではあるものの予想がついたものである。問題集などでの「やりこみ」がポイントとなった問題になった。
- ABO血液型についての問題。40字記述は少々答えづらいが、他のものは極めて一般的。輸血の際に凝集が起こらない確率、各血液型の遺伝子頻度が計算問題として出されているが、一般的なものでありそれほど苦労しない。ここでも時間が大きくかかる問題は含まれておらず、日々の演習がそのまま結果につながった印象である。
総評
100字記述が3問と150字前後の記述が4問あった昨年に比べるとぐっと記述量が減った印象。内容についても推測を行うものが1つ、実験の考察が2つと一般的なものであることから受験生の負担は大きく減った。
千葉大学は5つの大問から医学部は3問を選択する仕組みであり、それ故に生態系、個体群、進化・系統、植物などの分野は大きく出題頻度が低下しており、遺伝子、細胞、代謝、動物生理、発生に集中している。また、「問題集的」な実験や問題がほとんどであり、問題文も短いことから、該当範囲に対して問題集で実験を伴ったものをどこまでやりこんだかがそのまま合否を決めることになりそう。また、本年の場合、時間的にも制限時間いっぱいに使う必要もないために、もう一方の科目に対しての時間的なアドバンテージも作ることが可能である。問題文もそれほど長くなく、スムーズに解けた印象がある。
「理系標準問題集」(駿台文庫)などの標準的な問題集をとにかくやりこむことが合格への最短距離になる。100字から150字の記述はやはり私立では珍しい「国公立」特有のものであるので、私立との併願を行うものはうまくバランスをとって対策する必要がある。ただ、記述も含めて極めて「問題集的」であるので、私立医学部の過去問に頼らずに問題集ベースでの学習を行うことが大切になってくる。
昨年が難易度はそれほど高くないものの150字前後の記述が増えたように、今後も記述問題や計算問題の分量で難易度を操作する可能性がある。その2つ以外は満点を取れるように準備をしておいて、記述は最大200字まで、計算は遺伝を中心にやや範囲を広げて対策を行い、「問題集的」なものでの苦手をなくしておくことが大切である。生物選択者は生物でそれほど大きな失点はしない、満点を取ってもそれほどアドバンテージがないと思って「失点をしない」学習を行っていくことが必要である。