
最難関校合格を勝ち取る 中学受験の「社会科」勉強法
Social Studies Tips for Top Junior High School Entrance Exams
最難関校の入試では、知識があることを前提として解く「資料問題」「正誤問題」「記述問題」などの出題形式が主流です。また、知識を試す場合でも、近年起きた出来事を取り上げる「時事問題」や、高校入試や大学入試と見紛うばかりの高度な内容などが出てきます。このような手ごわい出題で合格点をとるには、どのような対策が必要なのでしょうか。ここでは、その秘けつをお話しします。

【中学受験の「社会科」勉強法③】合格点をとるために必要な「設問形式別対策」の方法
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ここからは、中学受験社会科の出題形式別対策として、さらに具体的な勉強法をお話しします。
「資料問題」対策
グラフ中で数値が大きく変化している箇所は要チェック
「社会科の攻略に大切な『知識』と『イメージ』」の記事で触れたとおり、社会科の「資料問題」には、定番パターンに当てはまらない初見の統計がよく出てきます。統計の形態として最も多いのは「グラフ」です。「グラフ」には、「円グラフ」「棒グラフ」「折れ線グラフ」などがあります。「資料問題」攻略のカギは、解くために必要な情報をこれらの「グラフ」からどれだけ読み取れるかどうかにあります。
グラフの読み取りでよくねらわれるのは、数値が大きく変化している箇所です。このような箇所はたいてい、とてもよく目立ちます。また、解答のカギとなる情報をしばしば含みます。見つけたら、目印をつけたり、気づいたことについてメモをとったりして、視覚的な記録を残しておきましょう。
「資料問題」で高得点がとれない理由はコレ
「資料問題」については、うまく解けない原因が1人ひとり大きく異なります。たとえば、以下のとおりです。
- 問題をただ目で追っているだけで、手を動かして読んでいない
- 問題を読む際にメモをとっていない
- グラフ中の目立つ箇所にチェックを入れていない
- グラフの目盛りを読み違えている
- そもそもグラフの縦軸と横軸の意味がわかっていない
- グラフのどこに目をつければよいのかがわかっていない
「資料問題」対策では、これらの「つまずき箇所」を自覚し、それぞれに当てはまる弱点を克服していきましょう。
「正誤問題」対策
「語句の定義」と「ルール」をチェックし、「ウソつき箇所」を見抜く
「正誤問題」は、正しい情報と誤りの情報を見比べさせたうえで正解の選択肢を答えさせるという設問形式です。選択肢には、一見しただけでは正しい情報だと誤解してしまうような「ウソつき箇所」が巧妙に仕組まれています。
「ウソつき箇所」のチェックポイントは2つあります。1つ目は「語句の定義」、2つ目は「ウソの種類」です。
正誤問題の選択肢には、ある特定の用語が表している意味や内容そのものの誤りが含まれます。「語句の定義」をチェックする必要があるのは、このような「定義のウソ」をはじくためです。
選択肢の「ウソの種類」にはいくつかのパターンがあります。上で挙げた「定義のウソ」以外ですと、たとえば「時代のウソ」「別の用語へのすり替えのウソ」「目的・理由・原因・結果のウソ」などです。正誤問題を解くためは、選択肢に含まれる箇所が「ウソの種類」のどれに該当するのかを見破らなければなりません。
選択肢の吟味では、「正解の理由」と「不正解の理由」を明確化する
多くの受験生が「正誤問題」を、「なんとなく○っぽい」「よくわからないけれど×だろう」など、直感だけで解いています。これでは出題者の思うツボ。正答率は上がりません。
「正誤問題」を解く際には、一つひとつの選択肢をじっくり吟味してください。それぞれの選択肢には必ず「正解である理由」「不正解である理由」が含まれているからです。
問題演習では、「正解である理由」「不正解である理由」をそれぞれノートに書き出し、復習時に何度も読み返してください。このように、自分が解いたプロセスを記録し復習時に反復することは、これから新たに解いていくこととなる問題の正答率を高めます。「なんとなく」ではなく「明らかに」解くことをめざし、トレーニングを重ねていきましょう。
「時事問題」対策
メイン内容と関連づけて理解する
中学入試にはしばしば、近年起きた出来事を取り上げる「時事問題」が出題されます。
「時事問題」は、単独の設問として出てくるケースはさほど多くなく、メインとなる内容との関連から問われるケースのほうが一般的です。たとえば、国際政治の大きなトピックである「ロシアのウクライナ侵攻」であれば、用語そのものが問われるケースよりも、日本・ロシアの「外交史」など、ほかのテーマとの関連から出題されるケースのほうが多いのです。
「時事問題」対策用の教材がたくさん出ています。それらに取り組む際には、いま目の前で解いている内容がこれまでに習ってきたこととどのように結びつくかを、強く意識しましょう。このように、時事的な内容に「関連知識・背景知識」を肉づけしていくという方法は、「時事問題」を単独で勉強するよりもはるかに効果的です。
「論述問題」対策
問題文の「条件」と「要求」をおさえる
「論述問題」は、受験生自身に文章で答案を書かせるスタイルの出題です。「論述問題」では、答案を書き始める前に、「問題文」にもとづいて2つの情報を整理する必要があります。1つ目は「問題文」の「条件」、2つ目は「問題文」の「要求」です。
「条件」は、「問題文」中に示される事象・出来事が起きた「理由」を表します。一方、「要求」は、その「理由」を生み出した「背景」を表します。「問題文」、および「条件」「要求」の関係は、問題文←問題文中に示される事象・出来事が起きた「理由」(=条件)←その「理由」を生み出した「背景」(=要求)です。「論述問題」では、「問題文」の「条件」を書くだけでは指定字数が埋まらない場合があります。その際には、「条件」だけでなく「要求」まで書く、もしくは「条件」と「要求」の両方を書くことによって、指定字数に近づけなければなりません。
ちょっとややこしいので、以下に挙げた具体例によって「問題文」「条件」「要求」の関係を確認してみましょう。この「論述問題」では、「条件」と「要求」の両方を書いてしまうと指定字数がオーバーしてしまいます。しかし、もし「条件」しか書かなかったら、80字が埋まりません。そのため、この「論述問題」の 答 としては、「要求」のみを書くこととなります。
「問題文」「条件」「要求」の例:「日本における高度経済成長終焉(しゅうえん)の理由」
- 問題文:「日本の高度経済成長はなぜ1970年代初めに終わったのですか。80字程度で説明しなさい」
↑日本の高度経済成長が終わった「理由」 - 条件:「第1次オイル・ショックが起きたから」
↑第1次オイル・ショックが起きた「背景」 - 要求:「中東戦争をきっかけとして石油輸出国機構が原油価格を引き上げたことにより、その当時、原油の輸入を石油輸出国機構の加盟国に頼っていた日本の経済成長が止まったから」〔78字〕答
*くわしい説明:イスラエルとアラブ諸国が衝突した第4次中東戦争で不利になったアラブ諸国が、石油輸出国機構(OPEC;オペック)経由で原油価格を約70%引き上げた(=第1次オイル・ショック)。その結果、原油をサウジアラビア・アラブ首長国連邦・イランなどの石油輸出国機構加盟国からの輸入に依存してきた日本では、原油高騰の影響によって、1950年代半ばから続いた年平均10%前後の経済成長(=高度経済成長)が途切れた。
問題演習では、このように「問題文」にもとづく情報を「条件」と「要求」に分け、それぞれをノートに書き取っていきましょう。このようなトレーニングを積んでいくと、問題文の読み取りスピードが格段に高まり、得点力も向上していきます。
メリハリをつけて問題文を読み、「情報処理能力」を高める
「論述問題」を苦手とする受験生には、2つの共通点があります。1つ目は「知識不足」、2つ目は「情報処理能力不足」です。
最難関校を志望するような受験生であれば、基礎はたいていひと通り固めています。したがって、ここでの「知識不足」とは、「基本知識の欠如」ではなく、「知識どうしのつながり」の理解不足、さらにいうと「関連知識・背景知識」の理解不足を意味します。「知識不足」を克服するためには、つながっている一連の内容を正確に把握していくことが必要です。
「情報処理能力不足」とは、先ほどの話にからめていうと、「『条件』と『要求』に分けて考えることができない」という状態をさします。受験生には、この状態に陥っている子たちがたくさんいます。
「情報処理能力不足」は、問題文を、重要な情報と些末な情報に区別せず読んでしまっていることに起因します。入試の問題文は、大切な情報とそうでない情報がないまぜになった状態で長々と書かれる傾向にあります。論述問題の演習には、長い問題文の中から重要な情報だけ読み取っていくという姿勢で臨みましょう。
情報処理能力不足を克服するためには、ひたすらトレーニングを積んで論述問題に慣れていくしかありません。論述問題の演習を通じて、メリハリをつけた読み方、および情報の取捨選択方法を体に染み込ませていきましょう。
まとめ

最難関校入試に頻出の「論述問題」を攻略するには、「情報の整理」と「情報の取捨選択」が重要です。演習には、問題文中から読み取れた情報を必要なものと不要なものに分け、必要な情報だけを答案に反映していくという姿勢で臨みましょう。
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