
さきよみ中学受験

大学で進む入試のオンライン化と中学受験
総合型選抜で始まるオンライン面接
新型コロナウイルス感染症を予防する観点から、オンラインによる入試を導入する大学が続々と現れています。
文部科学省は6月19日付で、全国の教育委員会に「令和3年度大学入学者選抜実施要綱」を通知、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜における、ICTの活用を明記したからです。
そこでは、「オンラインによる個別面接やプレゼンテーション」「大学の授業へのオンライン参加とレポートの作成」「実技動画の提出」「小論文等や入学後の学修計画書、大学入学希望理由書等の提出」が例示されています。
明治大学文学部では、11月末の自己推薦特別入試の二次選考でオンラインによる口頭試問を行うと発表しました。
口頭試問はビデオ会議アプリ「Zoom」を使い、事前にミーティングIDとパスワードを送付、試験日にアクセスします。
オンライン口頭試問を受けるにあたっての環境整備の費用などは自己負担で、原則として高校または自宅で受験することとし、友人宅やネットカフェなどでの受験はふさわしくないとして禁止しています。また、オンライン口頭試問の撮影や録画、録音行為も禁止しています。
麗澤大学は、総合型選抜(課題プレゼン型)の入試で、全学部共通でオンラインのみでの受験を可能にしています。ICT機器がない場合は審査のうえ、Wi-Fiルーターやノートパソコンの貸し出しも行います。
経済学部では、入試に活用できる「SDGs/2020 高校生ソーシャルビジネスコンテスト」を開催し、高校2、3年生がグループでエントリーし、企画書の提出とプレゼンテーションをZoomで行います。その内容や結果は、入試で提出する課題レポートに活用することを認めています。
これらがコロナ対応をしている先端的な入試の姿です。
もちろん、すべての大学でオンライン入試が行われるわけではありません。
毎年約50万人が受験する冬の「大学入学共通テスト」(旧センター試験)は、紙ベースで行われます。
しかし、多くの大学では、すでにオンライン授業が導入されていることもあり、オンラインによる学習環境が整ってきました。
夏休みに行う大学の説明会や体験受講もオンライン化が進んでいますから、必然的に入試にもオンラインの流れが来ているのです。
学力検査をメインとしない入試では、来年度以降に導入が進み、今の小学生が大学入試を迎えるころには当たり前になっている可能性が非常に高いといえます。
オンライン入試に強い受験生とは
実は、入試のオンライン化は私立中学入試でも始まっています。
時期が早く小規模で、個別性の高い「帰国生入試」や「編入試験」などから導入する学校が出てきています。
算数、国語、理科、社会などの学力検査を中心とした一般入試で、オンライン化が進むのはまだ先のことになりそうですが、大学入試と比べて受験の規模が小さい私立中学入試の場合、思いのほか早く実現するかもしれません。
では、こうした時代に向けて必要な力とは何でしょうか。
面接などの入試でオンライン化が進むと、これまで対面で行っていたコミュニケーションが、チャットやメール、テレビ会議などのコミュニケーションに変わります。
対面なら、話し方や見た目の雰囲気で相手が察してくれることもあったでしょう。
しかし、オンラインではそうしたことがありません。限られた画面越しでも相手に伝わる話し方や学習成果を提示する力が求められます。
その前提となるパソコンや良好な通信環境の確保、受験にふさわしい部屋を整えることも必要になってくるでしょう。
小学生の今からできる準備としては、オンラインの学校説明会や個別相談会に進んで参加してみる、オンラインでの実験教室などに自分から参加して積極的に質問をする、家族や友達とオンラインで何かをやってみる体験をする、などの機会を保護者が意識して作っていく必要があります。
入試のオンライン化は、新型コロナの影響がなくても、本来進んでいくと思われていたことでした。それが目に見える半ば強制的な形で移行が始まっています。
今後、あらゆる学校で入試の新しいスタイルを取り入れる模索が始まり、それに順応した者が、合格に近くなる可能性が出てきました。
ICT環境がないために受験生が不利益を被らないよう、当面はオンライン以外の方法を準備するなど、学校側からの配慮はあるでしょう。導入当初は学校側も初めての経験ですから、未熟な面もあるかもしれません。
しかし、一度開いてしまったパンドラの箱のふたは、元には戻りません。今後数年で、オンラインによる入試は洗練されていきます。
受験生やそのご家族は、オンラインを意識した情報収集を身に付けるだけでなく、オンラインで情報発信できる力、入試のすべてをオンラインで乗り切るぐらいの構えでいたほうがよいでしょう。
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