
最難関校合格を勝ち取る 中学受験の「国語」勉強法
National Language Study Tips for Top Junior High School Entrance Exams
国語は、「勉強しなくてもできる」「勉強しても伸びない」「中学受験で差がつくのは算数だから、そこまで懸命に対策しなくてもよい」など、多くの誤解にさらされている教科です。
まず、知識分野である「語彙」は暗記が必要ですから、意識的に勉強しなければできるようになりません。「勉強しなくてもできる」は間違いです。
また、国語の読解問題には体系的な「読み方」と「解き方」がありますから、語彙と同じように意識的に勉強していけば得点力は必ず伸びます。「勉強しても伸びない」も間違いです。
さらには、最難関校受験生は算数の対策を完璧に仕上げてくる一方、国語の対策で油断している子もいるので、国語で高得点をとることができればとても有利です。したがって、「そこまで懸命に対策しなくてもよい」も大きな誤解なのです。
ここでは、最難関校合格に近づく国語の勉強法を取り上げます。

【中学受験の「国語」勉強法③】国語の「入試問題」への取り組み方
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以下では、「最難関校合格を勝ち取る 中学受験の『国語』勉強法_『国語が苦手』な原因はココにある」の記事で述べた内容を踏まえたうえで、苦手な状態を克服し国語力を最難関校合格レベルまで高めるために進めていくべき勉強法について説明していきます。
入試対策の「助走」
「黙読」はスピード勝負
ここでは、入試問題演習を始めていくために必要な「助走」の方法を説明していきます。
「最難関校合格を勝ち取る 中学受験の『国語』勉強法_国語の攻略に必要な『基礎学力の習得』」の記事では、「音読」の重要性を説明しました。しかし、模試にしても入試にしても、その場で「音読」することは許されません。実際の試験会場で可能なのは、声を出さずに読むという「黙読」のみです。
この「黙読」につき、注意点があります。それは、「速く読む」ことを心がけてほしいということです。
多くの子どもが、文章を黙読する際に、心の中で音読しています。子どもたちは、音読によって、文章内容をゆっくり、ていねいに理解しようとします。その姿勢は、「時間を気にせずに読んでもよい」という条件が与えられているとしたら申し分ありません。しかし、模試や入試では、そのようなやり方はNGです。「速く」読めなければ、試験時間内に解き終わらないからです。
近年の最難関校入試では、文章の長文化が顕著です。入試問題の文章には、筆者が書いた文章である「本文」と、出題者がつけた文章である「設問」があります。本文を読みつつ設問も解かなければならないことを考慮すると、1分あたり約500~600字のペースで読めなければとうてい間に合いません。
読解スピードを上げる「タイムトライアル」のトレーニング
最難関校入試に対応するためには、ふだんの勉強でも入試本番を想定し、自分が理解できるギリギリのスピードで文章を読み取っていく訓練が必要です。
そこで、時間を計り所定の時間内に読む「タイムトライアル」というトレーニングを取り入れてみましょう。具体的にいうと、本文を3分で読み、この時間内に読み取れた内容に関する設問に1分間で答えるという練習です。
はじめのうちは、3分以内に本文を読むのはとても難しいはずです。子どもは、設問に答える際に、本文を読み直して内容を確認したいという欲求にかられます。しかし、スピード重視のトレーニングですから、本文に戻る時間的余裕はないと考えてください。
「最難関校合格を勝ち取る 中学受験の『国語』勉強法_国語の攻略に必要な『基礎学力の習得』」の記事でお伝えしたとおり、1分間で読むべき分量は約500~600字ですから、3分間ではだいたい1500~1600字分読めなければなりません。初めのうちは、ほとんどの子がこのような感覚なしで解かざるをえません。しかし、トレーニングを重ねていくうちに、どの子もそのスピードに慣れていき、だんだん「このくらいのスピードで読めばいい」「設問に答えればいい」という感覚がつかめてきます。
入試対策の「跳躍」
設問は、絶えず本文と見比べながら解く
「最難関校合格を勝ち取る 中学受験の『国語』勉強法_『国語が苦手』な原因はココにある」の記事で述べたとおり、問題演習を行う際に大切なのは「明確な根拠を踏まえて客観的に解く」という姿勢です。
国語の入試問題は、受験生自身の意見や考えは求めていません。うっかり自分の主観を交えて答えようものなら、「それってあなたの感想ですよね」とはじき返されてしまいます。設問で尋ねられていることの根拠は、すべて本文から探さなければならないのです。
答えを出す際に本文の内容から離れることがないよう、設問は絶えず本文と見比べながら解いていきましょう。
設問と本文は何度も往復する
最難関校の入試問題における出題量は膨大です。「この言葉の意味がわからない」「筆者が何を言おうとしているのかつかめない」など思考が途中で停止してしまうと、試験時間内に文章を読みきれない、あるいは設問を解ききれないという事態が生じかねません。
入試問題は、最終的には素早くさばけるようになる必要があります。しかし、受験勉強を始めたばかりの段階では、入試問題をそのように「高速処理」することは不可能です。受験勉強開始期では、「速く」解くことよりも、「正確に」解くことをめざしましょう。答えを出すまでに時間がかかってもかまいません。この時期には、設問と本文を何度も往復する、という姿勢を徹底してください。そうしていくうちに、大量の情報が速く・正確に扱えるようになっていきます。
以上の内容を踏まえて、入試対策の「助走」段階から「跳躍」段階への移行に必要な心がまえを集約するならば、「自分がどう考えるかではなく、本文にどう書いてあるかをいつも意識して設問に答える」とまとめられます。
段階的な学習計画
子どもを成長させる「未知との遭遇」
設問を解く前提は「本文内容の理解」にあります。低学年の学習では、不足している語彙をインプットしていくだけでなく、文章中に出てくる、子ども自身が経験したことのない事柄を1つずつ確認していきましょう。読解の「経験値」は、そのような「未知との遭遇」によって高まっていきます。また、こういう「未体験ゾーン」への突入は、子どもの精神的成長をうながします。
入試問題には、小5からチャレンジ可能
低学年から学年が上がっていくと、より高度な学習が求められます。読まなければならない文章の分量が増えるとともに、出題される文章のレベルも上がっていきます。
しかし、「読み方」「解き方」に関する「型」は、低学年から何も変わりません。とにかく「自分がどう考えるかではなく、本文にどう書いてあるかをいつも意識して設問に答える」ことを徹底するのみです。
じつは、国語の入試問題は、5年生からでも部分的に触れていくことが可能です。算数・理科・社会という他教科であれば習っていない単元の問題が出てしまうとまったく点数がとれませんが、国語については、5年生の時点で入試問題にアタックしても何の支障もなく解ける場合があります。
答案作成には「戦略」を立てて臨む
5年生・6年生の学習では、読解の「経験値」を高めていくという点だけでなく、答案作成力を高めていくという点も意識しましょう。記述問題で合格点レベルの答案を書くためには本文内容と設問内容の理解が不可欠ですが、それらを理解することとハイスコアを出せることは別問題です。記述問題で高得点をとるためには、高い実力だけでなく、答案作成の「戦略」も必要だからです。「戦略」とは、以下のような観点をさします。
- 限られた試験時間の中で記述問題にどれだけの時間をかけるか
- 解答用紙スペースから、書くべき答案の分量をどう割り出すか
- 指定字数の情報から、答案に含めるべき本文引用の割合をどう決めるか
このような作戦を加味しながら、模試や過去問などで場数を踏むことによって答案作成力を向上させていきましょう。
設問が難しい場合には、本文は易しめであることが多い
近年の中学受験国語には、非常に難しい文章が多数出題されています。入試問題に使われた文章の筆者自身が解けなかったというエピソードもあるように、大人が解こうとしても手ごわい難問が当たり前のように出てきます。ましてや、11・12歳の子どもたちがスラスラ解くことは困難だと思います。
ただし、一般的には、本文が非常に難しい問題では、設問は比較的やさしめに設定される傾向にあります。また、反対に、設問がとても難しい問題では、比較的読みやすい本文が出題される場合が多いのです。
このように、入試問題ではしばしば、本文と設問の間で難易度が調整されます。本文と設問の第一印象で「これは難しい問題だ」「こんなの解けない」などと即断し、問題に向かう気力を喪失させてはなりません。めげずに解き進めていくと、本文か設問のどちらかは案外抵抗なく処理できることに気づくはずです。途中であきらめず、忍耐強く入試問題に取り組む姿勢を貫いていきましょう。
志望校特有の出題対策には、典型パターンの演習を終えてから入る
一般的な中学受験生であれば、自身が志望する学校の「過去問演習」には、6年生の夏から本格的に入っていくこととなります。
志望校の「過去問演習」では、典型的な設問パターンだけでなく、志望校特有の「クセが強い」出題スタイルにも慣れていく必要があります。たとえば、独立した小問の中で知識系問題を出す学校があります。あるいは約200字という、大学入試の小論文解答顔負けのテーマ作文が出てくる学校もあります。なかには、小学範囲を飛び越して中学履修内容を出題する学校まで存在します。志望校の特徴が色濃く反映されているこのようなタイプの過去問については、個別対策が不可欠です。
もっとも、典型的な設問パターンで点数を落としているとすれば、個別対策どころではありません。そのような場合には、個別対策は後回しでかまわないので、まずはオーソドックスな問題演習を優先しましょう。典型パターン演習と個別対策については、前者でなるべく早い時期に約7~8割解ける状態にまで高めてから後者に入っていく、という流れが自然です。これは、他教科の「過去問演習」にも応用可能な考え方です。
まとめ

多くの受験生が、入試問題のあまりのボリュームに圧倒されます。もっとも、このような出題であっても、最終的には「速く」解けなければなりません。しかし、受験勉強の開始段階では、それよりも「正確に」処理できるようになることを優先してください。トレーニングを進めていくと、速さと正確さの両方が身についていきます。
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