
医学部入試問題分析

昭和大学 【2025年度 英語】
基本情報試験時間:2科目140分/問題数:大問3題
分析担当小出 信夫
分析担当小出 信夫
出題内容・難易度
| 大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 |
| 1 | 文法・語彙・会話文(15題) | 選択式 | 標準 |
| 2 | 読解(総合問題4題) | 選択式と記述式 | 標準 |
| 3 | 読解(総合問題6題) | 選択式と記述式 | やや難 |
問題分析
- 例年通りの出題で、文法7題、語彙7題、会話文1題で構成されている。多くは基本的な問題だが、難度が高い問題も含まれている。特に、問題1のwhat have you「など、等々」、問題5の否定文中でsomeを使う問題、問題15のfair enough「なるほどね」は難しい。特に問題5のsomeは文脈の検討を要する問題で、空欄の直後で「ほぼ半数は全く聞いたことがない本だ」と述べられているので、「何冊かはわからなかった」としなければならない。anyやanythingを入れると「全てわからなかった」という意味になってしまい、文脈に合わない。配点比率は30%ほどであろう。
- 「科学的理論と経験的証拠との関係」という科学方法論に関する論稿で、約650語。問題構成は、整序英作文1題(11語)、前置詞の空所補充1題(枝問4題)、語句や文の空所補充1題(枝問5題)、下線部説明(80字以内)1題となっている。特に本稿で引き合いに出されているKarl PopperやThomas Kuhnの科学方法論に関する読解問題は、医学部に限っても、広島(2012)、京都府立医科(2011)、浜松医科(2005)、千葉(2002)、岩手医科(2013)で出題されている。なお、本稿では触れられていないが、Popperの「反証可能性(falsifiability)」は、上記の各大学でキーワードとして出された概念なので、今回の出題を切掛に確認しておくとよい。配点比率は35%ほどであろう。
- 「ニューロンが言葉を認識する仕組み」に関する論稿で、約750語。問題構成は、文挿入1題、語の空所補充2題(記述)、文法の誤り指摘1題、下線部説明1題、論旨要約1題(110字以内)となっている。人間の脳が発話の前に言葉を形成する仕組みを能の神経細胞であるニューロンの働きを通じて明らかにし、もって言語障害の治療法として、合成音声のための<能―コンピュータインターフェース>の開発に繋がる可能性を提唱している。ニューロンの働きは頻出で、名古屋市立(2021)、金沢医科(2021)、藤田医科(2019)、自治医科(2017)、愛媛(2016)、大阪市立(2013)、群馬(2011)などで出題されている。配点比率は35%ほどだろう。
総評
「文法・語彙・会話文」一題と「読解」二題という設問構成は昨年度までの形式を踏襲している。肯定的に評価すれば、文法と読解とでバランスが取れた構成と言える。しかし、文法に少し高い比重を置いていることに多少の違和感を持たざるを得ない。なぜなら、旧設医科大上位校の入試英語の主潮流が読解や英作文の分野が中心で、特に記述問題に重点を置いている時代の流れに必ずしも沿っているとは思われないからである。およそ旧設医科大学で文法固有の問題を出しているのは、関東圏の私立医学部では本学を除いて東医と東邦しかない。慶應、慈恵、日医、順天、大阪医科薬科など名だたる私立の旧設医学部だけでなく、共通テストでさえ文法問題を出題しなくなっている状況で、旧来の硬化した知識問題に拘り続ける積極的な理由が見当たらない。今後は、時代が求める4技能重視という視点から、readingやwritingに特化した設問構成を期待したい。特に、英作文は、本学のレベルからしても、和文英訳なり自由英作文が入っていても良いだろう。確かに、本学も整序英作文を入れているが、それでは文法知識に束縛された英語力しか評価出来ない。英語の運用能力をより積極的に評価する方法として、記述英作文は必須である。また、今年度は和訳問題もなかった。とは言え、説明問題という形で記述問題が出されていることは評価できる。特に、80字や110字以内という指定字数で書かせるのは、日本語の言語運用能力を問うものとして積極的な評価に値する。今後はさらに記述力を重視することで、豊かで柔軟な思考力を評価する試験となることを期待したい。
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