横浜市立大学
基本情報
試験時間:理科2科目あわせて180分/問題数:大問3題
試験時間:理科2科目あわせて180分/問題数:大問3題
分析担当
秋田 真澄
秋田 真澄
出題内容・難易度
大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 |
---|---|---|---|
1 |
(1)酸素の同素体、オゾンと その電子式 (2)炭素の同素体の構造と、 電気伝導性の違い (3)理想気体と実在気体の体積の違い、水の水素結合が沸点に及ぼす影響 (4)燃料電池の正極・負極での反応、電流の計算 (5)触媒が活性化エネルギー、反応速度、反応熱に 与える影響 |
(1)記述 (2)選択・論述 (3)論述 (4)論述・計算 (5)論述 |
標準 |
2 |
(1)エステル結合および アミド結合を持つ有機化合物の構造決定。鏡像異性体の 立体構造。有機化合物の 官能基と溶媒への親和性 (2)脱水反応における濃硫酸の役割、加水分解反応に 強塩基が与える影響 |
(1)記述・論述 (2)記述・論述 |
標準 |
3 |
高分子化合物に関する問題 (1)高分子炭化水素の燃焼の 反応式 (2)組成式の決定 (3)単量体の決定 (4)、(5)無機化合物の 化学反応式 (6)元素分析に関する 実験手順の説明 |
(1)記述 (2)論述・計算 (3)記述 (4)記述 (5)記述 (6)論述・描図 |
標準 |
問題分析
- 理論化学に関する基本知識を問う問題。(2)では、炭素の同素体であるダイヤモンドとグラファイトで、価電子が全て共有電子として使われるか否かによって電気伝導性が変わることを説明する。(3)では、分子量の小さい実在気体では分子間力が小さく分子自身の体積の影響で理想気体よりも体積が大きく、分子量の大きい実在気体では分子間力が大きく理想気体よりも体積が小さくなることを説明する。(4)では燃料電池の両極における酸化還元反応の式を答える。
- 有機化合物の構造決定に関する問題。分子量の計算、官能基や構造に関する情報をもとに、最終産物から順に構造を決定していけるかが鍵になる。Fの構造式を、分子量が136であることとパラ二置換ベンゼンであることから、決定することは難しくないだろう。その後、Gの分子量を計算し、アミノ基とカルボキシ基を両方持つこと、不斉炭素原子を持つことから構造が決まる。FとGからDの構造が決まる。ここまでスムーズに解答できれば、残りの化合物の構造決定も難しくなかったと思われる。
- (1)~(3)は高分子に関する極めて一般的な出題。(4)および(5)は無機化学分野の基本的な化学反応式を書かせる問題。(6)は元素分析の手法について図を描かせて説明させるという問題。いずれの問題も、問われている知識は基本的なものが中心であるが、短時間でわかりやすく論述できたかどうかで差がついたと思われる。
総評
出題形式としては、大問3題で、理論化学、有機化学、無機化学からの出題であることに変わりはない。出題レベルは標準的なものであり、必要となる知識も基本的なものばかりである。論述させる問題が多く、限られた時間の中で明解な説明を書ける能力が求められている。普段の勉強時から、答えのみでなく思考過程や導出過程にも意識を置くことが重要である。