東京医科歯科大学
基本情報
試験時間:60分/問題数:大問2題
分析担当
安部 雄太

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 力学:万有引力による運動 記述式 標準~難
2 電磁気:荷電粒子の運動 記述式 標準~やや難

問題分析

  1.  地球の周りを公転する人工衛星の運動に関する出題。人工衛星の第一・第二宇宙速度の導出や、地球の周りを等速円運動している際に一部を切り離して楕円軌道に運動を変化させた場合について問う問題であった。最後の問8では、楕円運動の短軸半径を問題の条件を利用して答えさせる問題が出題された。面積速度一定の法則を用いて楕円の面積から周期を導出する必要があり、この問題は手が止まった受験生も多かったと思われる。それ以外の問1~7はすべて典型問題であったため完答したい。
  2.  電界・磁界のかかったそれぞれの領域を運動する荷電粒子に関する出題。荷電粒子が電界のかかった領域で等加速度直線運動、磁界のかかった領域で等速円運動し、各領域を行き来することで繰り返しの運動が起こる場合についての出題であった。こちらも典型問題であるため完答したい。唯一、問1(6)の磁界中へ角度θで荷電粒子を運動させた場合の荷電粒子の軌道に関する問題が初見では解きにくいと思われる。こちらは東京慈恵会医科大学で過去に類題が出題されていた。

総評

 力学・電磁気からの大問2題構成であり、昨年度と構成は変わらない。難易度は昨年度と同程度と思われる。過去の東京医科歯科大学の物理より典型問題が多く、コロナによる影響を考慮したものと考えられる。そのため、それら典型問題を時間内に正確に処理できたかが本年度の合否を分けたと思われる。
 大問1、2とともに標準レベルではあるが、60分で全ての問題を解答するにはスピードと正確性が要求される。同内容に関する問題内容を練習段階でしっかりと理解し、自分で再現できる状態になっていないと時間内に解き終えることができない。大問1(問8)のようにあまり見たことのない問題に引っ張られずに、それ以外の典型問題をしっかり完答することが大切である。
 対策としては、まず物理の基盤を作ることからである。公式の導出やグラフの作成等、各単元しっかりと基本を重視した学習を行うことで、物理の基盤が出来れば、本大学の問題を考える・解くというところまではたどり着ける。ベースとなる基本教材の問題を自力で解けるようになることを意識して、繰り返し復習していくことが最も効果的である。
 加えて、東京医科歯科大学の物理はスピードも必要となる。日頃から演習する問題について、自分で時間設定等行い、負荷をかけて練習する必要がある。年間の予定の目安としては8~9月までに全体の基盤をある程度完成させて、そこから過去問演習・弱点補強を行いたい。出題される問題すべてが難しいわけではないので、確実に得点できる部分を落とさないようにする練習と同時に、少しレベルの高いものが出題されても対応できるように量をこなしていくことが対策となる。