東京慈恵会医科大学
基本情報
試験時間:60分/問題数:大問3題
分析担当
渡邉 哲史

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 【長文読解】空所適語選択・内容一致文選択 選択 標準
2 【長文読解】空所適語選択・
内容一致文選択・文補充(英作文)
選択・記述 標準
3 【長文読解】空所適語句・適文選択・
本文をふまえての意見文作成
選択・記述 やや難

問題分析

  1. 〔文章題材〕頭を使うことで脳が疲弊し判断力を鈍らせてしまう 約735words
    昨年度と同様に、下線部との同義語を選択する設問が無く、空所適語選択と内容一致文選択の2種類の設問構成。設問数は昨年度の12問から9問に減少。実験の話を中心とする近年頻出の文章パターンであったが、第1段落で全体テーマが紹介されておりその後の文章はその詳しい説明になっている。実験は仮説の証明であり、どのような結果になるか方向性が分かっている状態で読み進めることが出来た文章だった。適語選択問題も基本的には内容理解を問うものであり、論旨が分かっていれば解きやすい問題が多かった。
  2. 〔文章題材〕正しい情報をとらえていく方法 約695words
    空所適語選択5問、内容一致文選択4問に、文中の空所に入れるのに適切な英文を書く記述問題1問という構成。大問1と同様に実験・調査を紹介していく文章であり、冒頭部分で紹介されている〈主張〉を把握し、それをもとに読み進めるというアプローチ法を実践出来たかどうかがポイントになる。設問内容は、その〈主張〉を問うものばかりであり、また、適語句選択では文法要素を問うものも含まれており標準レベルと言える。
  3. 〔文章題材〕医療ミスを防ぐためにどうするべきか 約570words
    昨年度と同様に、本文内容をふまえての意見文作成(英作文)問題が出題されている。要求されているのはAまたはBのどちらが良いか選び、その理由を示す典型的なパターンである。十分に解答時間を確保することが出来たかどうかが勝負どころであろう。それ以外の設問は、文中空所に入る適語句・適文を選択する問題であり、昨年度は大問2で出題されていたパターンである。これは、文内容はもちろんとして、空所に入りうる形・構造かどうかを判断する視点も求められている。内容面だけで判断しようとすると難しい。

総評

 例年通り、適語句選択、内容一致文選択、英作文から成る長文読解3題構成である。昨年度よりも総単語数が約200語増加、設問総数は2問減少となった。特徴的だったのは実験・調査を紹介する文章が多く、何のための実験なのか、何を証明するために調査しているのかを把握しながら読むことが出来ないと苦戦してしまう。〈主張〉と〈サポート文〉とのメリハリをつけること、各文の論展開上の役割を把握することがいつも以上に求められた。訳す作業から、分析することへと文章読解をレベルアップさせなければならない。単に直訳していくだけの読み方になっていると苦戦してしまう。文章の読み方、分析の仕方を習得することが重要となる。一方で、選択肢の文章が、本文で用いられている語句を含み紛らわしく作られており、選択肢の文を単語ベースで分析してしまうとダミー選択肢に引っかかりやすい。似ている選択肢が複数残ったときに、相対的な違いや特徴を明確にする視点を持つことも重要である。本文の主旨把握が出来たはずなのに、得点をのばせなかった受験生も多いと思われる。1文を正確にとらえる精読力と、段落の主旨・文章全体の主旨をとらえる読み方の両方を高いレベルに仕上げていく必要がある。「訳す」ことは手段であり、「分析する」「把握する」ことを目的として英文や設問と向き合うことが重要である。