東京慈恵会医科大学
基本情報
試験時間:60分/問題数:大問4題
分析担当
渡邉 哲史

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 長文読解 
[動詞補充、挿入文選択]
選択、記述
(動詞語形変化)
標準
2 長文読解 
[同義語選択、指示語抜き出し、指示語選択、内容一致]
選択、記述
(指示語抜き出し)
標準
3 長文読解 
[空所適語選択、内容一致、和訳、誤文訂正]
選択、記述
(和訳)
やや難
4 和文英訳 記述式

問題分析

  1. ストレスが心臓疾患を引き起こしうることを述べた長文が題材。問1の文中空所4か所に選択肢から選んだ動詞を適切な形に直して挿入する問題では、難しい語が含まれているものの、共通選択肢であるがゆえに消去法で解答可能。問2、3はパラグラフ主旨を把握できれば比較的容易に答えをしぼることが出来る。
  2. DNAが要因ではない身体の変化に関する文章が題材。問1の同義語選択は本文の問われている単語が難しくても、文脈がわかっていれば正答を選択出来る。問2、3はそれぞれ、代名詞が指しているものを判断する問題であり簡単である。問4は内容一致文選択。いわゆる表題を考えるものだが、本文にて具体例として挙げられていたものが書かれているというダミー選択肢が多く、消去法で正答が容易に決まる。
  3. 問1、問2は文中空所に入る適語句選択。選択肢の語彙レベルは易しく、文の内容を正確に把握できているかを問うものである。本文自体が大問1、2と比べると難しいため、主旨把握に苦戦した受験生はここで失点を重ねてしまったと思われる。問3の和訳は対応箇所の文が語彙、文構造ともに平易であり取り組みやすい。問4は昨年も出題された誤文訂正。本来あるべきitが抜けてしまっている箇所を本文から見つけるものである。名詞が抜けているという文構造不備が生じているため、見つけてしまえば簡単。時間をかけずに処理できるように、本文を読み始める前に設問を確認すべきである。
  4. 例年と比べると1行分と文量が少なく、和文和訳を要する難しい箇所も少なかった。I realized that S+V ~という中心構造に「苦手である」be poor at doing、「自分にはよくわからない話」では関係詞を用いて後置修飾。受験生のほとんどが同じような答案を作成することが出来たものと思われる。指導要領の変更、新入試制度を見据え、翻訳型の難しいものから、基礎がしっかり身についていれば対応できるものに意図的に移行した可能性もある。

総評

昨年度に、従来の問題構成から長文読解中心のものへと大きく変化したが、本年度はその流れをそのまま踏襲。筆者が伝えようとしていることを正確に把握できるようにするという「コミュニケーション英語」のテーマを反映させた出題であった。
変化初年度の昨年と比べると、語彙レベル、文章レベルは高くなっており、単に目を通していく、訳出していくだけになってしまうと主旨把握に苦戦する。部分的に解釈が難しいところがあっても段落主旨や文章全体のトピックを理解することができれば正答を選ぶことが出来る出題であることに注目したい。普段から、語彙レベルや専門性の高い難しい文章に触れ、正確に訳出したうえで、結局のところ何を言いたいのか、パラグラフ単位で主張をまとめていく、論展開を整理していく練習を重ねていくことが必要。
英作文は、本年度は平易なものであったが、例年は難しい日本語表現の英訳が求められる翻訳型である。語彙、文法の知識土台を万全にしたうえで、基本語の本質的意味、語法を習得し、英語らしい英語、自然な英語が書けるようにする練習を重ねる必要がある。文法や文構造ベースでの基本例文の作成から始めて、次第に文章レベルを上げて、和文和訳をしていく際の考え方、着眼ポイントを習得していこう。