杏林大学
基本情報
試験時間:50分/問題数:大問4題
分析担当
安部 雄太

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
小問集合
力学:円運動
熱力学:気体の分子運動
波動:干渉
マーク式 易しい
小問集合
電磁気:直流回路(コンデンサー)
原子:崩壊
マーク式 易しい
力学
力の分解と合成・剛体のつり合い
マーク式 標準~やや難
電磁気
荷電粒子の運動
マーク式 易しい

問題分析

  1. 力学・熱力学・波動からなる小問集合。円運動の問題では、MKS単位に変換して公式を用いることに注意したい。 すべて基本的な内容となっており、完答したい。
  2. 大問Ⅰと同様、小問集合となっている。大問Ⅱは、電磁気・原子の基本的な内容からの出題であり、大問Ⅰ・Ⅱは全範囲からの基本的な内容の出題となっている。こちらも完答したい。
  3. 力学からの出題。3つの小球とそれを接続する軽い棒で出来ている剛体に関する力のつり合い、モーメントに関する出題であった。3つの小球とそれらを接続する棒を1つの剛体としてまとめ、重心をすべての質量が集まった質点として考える誘導に従って解き進める必要があった。剛体に関する問題では、力の分解・合成を用いずに解ける問題が多く、手薄になりがちな部分であるため、難易度は標準~やや難とした。大問3が本年度の物理では合否を分けた問題であったと考えられる。
  4. 電磁気からの出題。加速された荷電粒子に磁界を加えることで、電荷の大きさや荷電粒子の質量を測定する問題であった。こちらも大問1・2と同様、典型問題ではあるが使用する文字が多いため、計算ミス等に注意したい。

総評

 杏林大学の物理は、例年易~標準レベルの出題であり、各単元の基本内容が定着していれば十分合格点には届く。本年度も全体として基本的な内容であり、ミスが許されない作りとなっていた。試験時間が50分と少ないことを考慮しても、合格点としては8割後半から9割程度であると考えられる。各大問の出題範囲と問題構成も昨年とほとんど同じであり、原子を含む全範囲から基本的な問題が出題されている。加えて、難易度が他の問題よりも高い大問3で「力学」が出題される傾向も3年連続で見られた。短い試験時間の中で基本問題を正確にミスなく処理できるか、途中にある多少難易度の高い問題にも対処できるかが試される。
 本大学の物理で合格点以上をとるには、日頃から問題をただ解けるようにするだけでなく、各単元の基本内容に穴がないように学習を進めること、速く正確に解くことを意識して学習を進めること、そして使用教材の繰り返しの学習を徹底することが重要である。
 なるべく早く物理の範囲を進めつつも、並行して復習を繰り返し行い、基本~標準レベルまでの問題でミスなく得点出来るようにしたい。また、類似の問題は他の私大医学部でも出題されているため、夏以降は過去問演習で全体を通しての演習も行っていく必要がある。