順天堂大学
基本情報
試験時間:理科2科目あわせて120分/問題数:大問5題
分析担当
坂元 亮

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 1 小問集合 マーク
形式
やや易
2 COD マーク
形式
標準
3 アルケンの構造決定、芳香族化合物の構造決定、糖類 マーク
形式
標準
2 中和滴定と逆滴定、希薄溶液の性質 記述式 やや難

問題分析

    1. 例年通り計算問題が並ぶ小問集合であった。昨年と比べて小問数が増えているが、計算量は以前の本学入試問題と比べると少なくなり、やや易化した。問7では格子エネルギーを問う問題が出題されたが、典型問題であるため、ミスなく解きたい。第1問にいかに時間を割き、正確に速く計算できるかどうかが合否の分かれ目になったのではないだろうか。
    2. 医学部入試で頻出のCODの出題であった。小問6問の構成で内容は標準レベル。CODのポイントは試料水中の有機物の分解に要した過マンガン酸カリウムを酸素の量に換算することである。また、試料水に硝酸銀水溶液を加える意味や、試料水の代わりに純水を利用して実験をする意味など、よく問われる典型問題であるので、知識をしっかりおさえておいたかどうかで差のつきやすい問題だったのではないだろうか。問6のCOD値に影響を与えない操作を考える問題は思考力を要する問題で、沈殿生成の知識や酸化剤と還元剤の知識、物質の反応性を総合的に考えることが必要で、やや難しい問題であった。
    3. はじめのアルケンの分子式を求め、異性体の個数を求める問題と途中の芳香族化合物の推定と分離は、計算量が少なく、知識も平易なものが問われていた。最後の糖類では、アセチルセルロースの生成によって質量増加分とアセチル化されたOH基の割合を求める問題が出題された。この問題は頻出で、本学を志望している受験生でも、類題を解いていると誤答が見受けられる。標準レベルの問題であるが、ここでの正答率は合否を分ける要素になると考えられる。
  1. 問1と問2に分かれている、理論化学から出題された問題。問1の中和滴定の計算問題では酸の出す水素イオンの物質量と塩基の出す水酸化物イオンの物質量について立式することがポイント。逆滴定の実験操作も加わっているが、標準レベルの問題であると言える。問2の最後の小問では、溶液の蒸気圧降下による溶媒の移動に関する問題が出題された。問2の計算は煩雑で時間がかかる。試験時間を考えると問2の解答はやや難しいのではないだろうか。

総評

例年マークシート式の問題Ⅰと記述式の問題Ⅱから構成されている。本年度の問題Ⅰは大問3題で昨年と比べると大問数が1つ減り、若干計算量も少なくなったと思われる。例年、各大問には5~10問の小問が含まれており、大問数こそ減ったが全体の小問数は合計で33問と例年通りの小問数であった。
問題分析でも触れた通り、理論化学の計算問題中心の出題は本年度も変わらず、そのほとんどが頻出の問題であった。全体的に易化しつつあるが、本学受験生のレベルを考えると頻出問題の解法をしっかり身につけ、かつ素早く計算することのできる受験生が合格点を取ることには変わりないであろう。