おかあさんの参考書
年末年始、合格するために親ができることを考える

年末年始、合格するために親ができることを考える

鳥居りんこ

あっと言う間に時は流れ、早、年末です。年が明けるといよいよ中学入試の本番が始まります。
6年生のご家庭では緊張感が高まる時期。今回は「受験直前、親としての心構え」をお伝えしたいと思います。

オンとオフを上手に使い分ける

6年生にとってはクリスマスも正月もないという、過酷なスケジュールが待っているので、サンタも初詣もお預けというご家庭もあるかもしれません。
これはご家庭の方針によるので、それを否定するものではありません。ただ、様々なご家庭を見てきた立場から申し上げると、世の中が華やぐ行事を完全スルーとしなくても受験は受かるものです。
今まで勉強をしてきた蓄積があるのですから、私はほんの数時間ならば、その時間は家族行事に費やすほうがよいと思う派です。

なぜならば、受験も大切ですが、もっと大切なのは子どもと過ごす家族の時間だからです。
今は「早く受験が終わってほしい」「子育ても早く終わってほしい」と思うお母さんもいらっしゃるかもしれませんが、受験しようがしまいが、事実上の子育ては間もなく終了です。

中学生になると加速度を増すかのように自我が成長します。親とのかかわりを避けるようになることも多くなりますし、何よりも中高生活は、部活だ、友人関係だと多忙を極めるので、家族行事そのものが成り立たなくなっていきやすいのです。

家族が家族として団結できるのが中学受験の良さのひとつでもあり、さらに言えば、子どもが家族の行事にベッタリと付き合ってくれる最後の年になり得るということです。
であるならば、家族行事はなるべく実施して、家族全員で盛り上がるに限ると思う次第です。

もちろん、1日中遊ぶ、旅行に出かけるという意味ではありません。短時間で良いので、季節の行事やご家庭ならではの風習は大切にしてください。
蛇足ですが、伝統行事に関連する入試問題が出題されることもあります。その対策のためにやるのは本末転倒ですが、知っていれば難なく解けるという「生活の中からの出題」というのは意外と多いということも申し添えておきます。

年末年始は誘惑が多い時期であり、オンとオフの使い分けは大切です。
時間管理は中学受験を控える保護者の重要な仕事のひとつです。やるべきことを淡々とやっていくオンの状態と、いい意味での息抜きであるオフの時間を上手に使い分けながら、時間管理をしていく。その上でクリスマスケーキもおせち料理も楽しんでくださいね。

ここだけの話ですが、そういうちょっとした気持ちの余裕があるご家庭のほうが、受験の勝率は良いものだなというのが私の肌感覚です。

モチベーションアップに志望校を見学してみる

今頃は最終模試の結果が出そろう時期なので、偏差値が志望校に届かずに落胆している親子も少なくないでしょう。
「逆に本番でなくてよかった」「課題が見つかった」と前向きに捉えられれば、公開模試が“後悔”模試になったとしても、受けた意味は大いにあると思うのですが、「言うは易し」で、実際はなかなか立ち直れず、やる気のバロメーターが見る見るうちに下がっていく子もいます。

親は焦るばかりですが、そんな時は一呼吸を置く意味で、第1志望校を見に行きましょう。
まず学校に連絡してみてください。意外と個別訪問を受け入れてくださる学校は多いですし、無理な場合でも登下校風景は見ることができます。小学校や塾の時間などの関係でそれも難しいとなった場合は、外から校舎を見るだけでも大丈夫です。

「春になったら、この学校の門を毎日くぐるのだ」という具体的なイメージはとても大切です。
合否は最終的には1点差の勝負になりますが、その1点差をもぎ取っていく秘訣は思いの強さです。「絶対にここに入る!」と校舎に誓った子のここからの粘りにはすごいものがあるなぁと、毎年、感動するほどです。
お子さんの気持ちが落ちていたら、志望校を改めて見せてあげてください。

過去問は6割で上等、難問はスルー

「何事もきちんとやりたい。どちらかと言えば完璧主義者」という保護者の方は気を付けてください。
そもそも入試問題は満点を狙う必要がないものであって、狙うのは合格最低点以上です。そして、今は6割以上が正解していれば合格である学校がほとんどです。

ということは、過去問で満点を取る必要は全くないのです。6割以上取れていれば、そこは「合格!」と考えればよいのです。

市販の過去問題集には、個々の問題の正答率が掲載されている場合もあるので、皆が取れているであろう問題を落としている場合は、その原因を探ってみましょう。
ケアレスミスなのか、読み間違えなのか、理解不足なのかによっても修復方法は違うので、原因と対策探しの道具として利用することをお勧めします。

もし、落としている問題の個々の正答率が不明な場合は、塾の先生に相談してみてください。
入試には捨て問題という、全員が解くことを想定していない問題が出題されるケースが多くあり、それを見極め、上手に付き合うことも戦法のひとつになります。
つまり、難問に振り回されない。この時期からは、難問はスルーするという思い切りも必要になります。

しっかり健康管理、特に睡眠時間は死守

これからは特に健康管理には気を付けたいところです。

今年はインフルエンザが大流行中。ここは家族一丸となって、受験終了後まで、うがい・手洗いなどの自宅でできることは粛々とやるに限ります。

特に大事になるのは睡眠です。
未着手の過去問をやらせようとするあまり、夜中まで寝させないなどは言語道断。睡眠が足りないと体の免疫機能は低下し、風邪のウイルスに対する抵抗力を弱め、さらに風邪をこじらせる原因になりやすいです。

やはり、健康あっての受験です。これから先は「勉強よりも健康」を優先するくらいの気持ちで、万全な体調でいられるよう、暮らしを整えてあげてください。

未来を明るく語り続ける

年明けから、受験生の親の焦りはMAXになっていきやすいものです。
その反面、子どもがいつまで経っても、受験を我が事と捉え切れていないと嘆く保護者も多いです。

しかし、いくら能天気に見えるお子さんであっても、周りも緊張していく、塾の気合いの入れ方も違ってくるという中ですから、内心では不安になったり、落ち着かなかったりするものです。

こういう時に保護者は叱咤激励をしてしまいがちですが、これから先はどちらかといえば“ソフトな激励”を優先することをお勧めします。

日本人は褒め言葉が苦手とよく言われますが、家族など親しい関係であればあるほど、直接褒めるのが照れくさいという面があるようです。

「点数がこんなに悪いのに褒められないです」と語るお母さんも多く、無理に褒める必要はありません。その代わりといってはなんですが、お母さんはできるだけ笑顔でいてください。一番よいのは、ほんわか、のほほんとしている肝っ玉母ちゃんタイプです。

「どんな結果でもドーンと来い!」というように見えるタイプのほうが、子どもが楽に本番に挑めます。
逆に、心配や不安は伝染しやすいので、その気持ちをダイレクトにお子さんにぶつけるのだけは止めてくださいね。
良いイメージで本番に臨めるように、明るい未来を想像しながら、それを口に出すことをお勧めします。その際に「大丈夫よ~! あなたなら、どこに行こうとも幸せになれるわよ~!」といったような根拠のない発言を積極的にしてみてください。

泣いても笑っても、本番は間もなくです。
悔いが残らないように、親ができること、しないほうが良いことを、冷静に判断しながら乗り切ってください。応援しています。

著者プロフィール

鳥居りんこ
鳥居りんこ
とりいりんこ

作家&教育・介護アドバイザー。2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。保護者から“中学受験のバイブル”と評された当書は、その後シリーズ化され、計6タイトルが出版された。自らの体験を基に幅広い分野から積極的に発信し、悩める女性の絶大な支持を得る。近著に『【増補改訂版】親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(双葉社)、『【増補改訂版】親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ』(同)、『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス)、企画・取材・執筆を担当した『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』(やまざきあつこ著・小学館)、『たった10秒で心をほどく 逃げヨガ』(Tadahiko著・双葉社)、『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(鹿目将至著・同)、『神社で出逢う 私だけの守り神』(浜田浩太郎著・祥伝社)、『消化器内科の名医が本音で診断 「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(石黒智也著・双葉社)など多数刊行。最新刊は、取材・執筆を担当した『黒い感情と不安沼 「消す」のではなく「いなす」方法』(やまざきあつこ著・小学館)。

ブログ:湘南オバちゃんクラブ

Facebook: 鳥居りんこ

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