2017.12.17

入試開始まで1カ月!
直前期“詰め”の勉強法

2017.12.17開催 医学部入試ガイダンス in アルカディア市ヶ谷

推薦入試が終了し、いよいよ一般入試が迫ってきました。この時期、自分の殻を破れていない生徒が散見されます。「自分の身を投げ打って受験勉強やりきれているかな?」と自問自答してください。
医学部入試に偏差値はまったく関係ありません。慶應大学医学部に受かった生徒が、ほかの大学すべてに合格しているかというとそんなことはない。要は最後までわからないということ。最後に合格を決めるのは「熱意」ということもあります。ご家族もぜひお子さんを盛りたててください。

今回の要点は...

合格する生徒の共通点とは

合格する生徒には共通点があります。それは、「目線が高い」ということ。彼らは、「この大学だったら、だいたいこのくらい得点できれば合格ラインに届くな」という目安を知っています。

たとえば、昭和大(医)であれば7割くらい、聖マリアンナ医大であれば6割をちょっと欠けるくらいが目安でしょう。東京医科大や女子医科大、北里大(医)、東邦大(医)は、満点を狙わなくてはなりません。

目線が高い生徒は、満点を狙うべき大学できちんと満点を狙いにいっています。当然ですが、満点を狙っている受験生と、だいたい7~8割とれれば御の字かなと思っている受験生では、解き方が全然違います。根こそぎ得点するぞという気概があって初めてとれる点数があるのです。よく「解ける問題から解いていくぞ」と言っている生徒がいますが、満点を狙うべき大学においてはそのようなことを言っている場合ではありません。

勉強しているのに成績が伸びないという生徒にありがちなのは、自分の目線が低いために、難問に出くわしたときに心のどこかで諦めてしまっているということ。私立の医大の問題はくせがあるので、しっかりかじりつけば糸口が見えることも少なくありません。「満点取ってくる気はあるかい?」と質問されたら、「はい」と言える精神力を持ってほしいと思います。

T.A.が語る「直前期の勉強法」

ここからは、メディックTOMAS T.A.(ティーチングアシスタント)のKさんとYさんによる「直前期の勉強法」を、Q&A形式でお届けします。

【T.A.紹介】
Kさん
東京医科歯科大学現役合格
Yさん
東京慈恵会医科大学現役合格

直前期は何をしていましたか?

Kさん:僕はセンター試験を受けたので、この時期はひたすらセンター対策をしていました。まずは過去問。通称「青パック」を5~6年分やって、それ以外にも大手が出しているセンター模試のようなものを活用していました。また自分は都立高校だったので、センター試験を受ける人が多く、授業でも対策が多かったです
Yさん:僕は高2までほとんど何も受験勉強をしておらず、高3の段階で英語がかなり遅れをとっていました。この時期もひたすら、英語の対策に追われていたのを覚えています。過去問を中心にセンター試験の勉強をして、わからなかった問題や文法など一つひとつについて、まさに勉強のし直しでした。10年分解くことを目標にしていましたが、結局6年分しか解けませんでした

本番で力を出すにはどうしたらよいでしょうか?

Kさん:緊張していることを自覚すること。しっかり集中して、それをむしろプラスに働かせるよう意識してみました
Yさん:本番を意識して本番と同じように演習していたのが役に立ったと思います

受験生へ、どんな勉強をするべきかアドバイスをお願いします。

Kさん:問題を解くときに、問題の本質がどこにあるかを考えながら解いてほしいと思います。解説を読んで納得して、『この問題はもう大丈夫』と考えてしまう生徒がいますが、『なぜその解き方に至ったのか』というところまで理解できているでしょうか? 問題が解けないときには、思考のプロセスで何かしらの問題があったはずです。そこを改善しようとするマインドをぜひ持ってください。
また、僕は生物を教えることが多いので、生物のコツもお伝えします。生物に関しては、実験問題や考察問題が苦手という生徒が多いです。実験の文章を読むのにすごく時間かかってしまったり、記述が思うように書けなかったりという声を聞きますが、いずれにせよ生物で大事なのは国語力です。
まず実験問題では、一文一文を丁寧に読むことももちろん大事ですが、そのなかにも大事な文章とそうでもない文章があるということを念頭におきましょう。まずは大枠を掴んで、その後大事な文章をしっかり読むようにしてください。
考察問題の記述に関しては、うまく書けない人は論理が立っていないことがほとんどです。どの要素をどの順序でどれだけの分量を書くか。そこに根拠と論理が必要です。闇雲に書いていないか見直してください。
最後に、計算ミスが多い人へアドバイスです。ミスを減らすには自分のミスがどういうところからきているのか分析することが第一だと思います。たとえば、化学なら何をミスしやすいのか。符号か? 小数点か? ほったらかしにせず、きちんと分析しましょう。また、自分はひとつの大問に対して『完璧な答案を作ろう』という意識を持つようにしていました。意識次第でミスは必ず減ります

今の時期に成績が伸びている生徒に共通する点はありますか?

Kさん:生物に手をつけるのが遅かった生徒がいて、はじめは実験の問題を読むのも非常に遅くて、記述も何を書いたらいいのかわからないという状態だったのですが、とにかくたくさん演習していて、最近かなり伸びてきています。ただ演習をこなすだけでなく、字数を増やすためにはどうすればいいのかとか、論理的に内容を精査できているかなど、何が大事なのかを念頭において演習してきたことがよかったのだと思います。
また別の受験生で、数学が苦手という生徒がいるのですが、彼は自分の苦手ととことん向き合ってきた結果、最近とても伸びています。苦手な分野は、心のどこかで『やりたくないなあ』という気持ちになることが多いと思うのですが、彼は苦手から目をそらさず、いつも全力で取り組んでいます。しっかり苦手と向き合う意識があるのだなと

医学部入試ガイダンス 申し込みはこちら

T.A.が分析する
「合格校の入試傾向」
【東京医科歯科大】
【慈恵会医科】

ここからは2人に、通っている大学の入試を振り返ってもらいます。

[ 東京医科歯科大学(Kさん)

東京医科歯科大学はとにかく英語が特殊で、個別に対策する必要があります。非常に長文で、1000~1500wordほどを読んだ上で、それを400字程度に日本語で要約しなくてはなりません。自分は、長文を読み切る体力作りを中心にやっていました。学校の先生にアドバイスを受け、薄い洋書をひたすら読みました。ときには7~8時間かけて読み切ることも。コツとしては、たまに意味を知らない英単語が出てきても、いちいち調べずにとにかく読み切ること。これだけの長文になると、一つ一つ調べていたら読み通せないんです。
要約の対策に関しては、1500wordもある長文を400字に要約するので、筆者の言いたいことをしっかり把握することが大事です。作文の能力が必要とされるので、メディックTOMASの先生に指導していただきながら練習しました。要約の手法自体はいろいろありますが、概論で言えば、全体を俯瞰する意識を持っておくことがもっとも大事だと思います。
理科は、基本的な問題が多かったかなあと思います。生物に関しては、短い記述問題がたくさん出るので、さまざまな記述を1行におさめて書く練習をしていました。
化学は、理論・無機・有機と分かれているのではなく複合的な問題なので、それに慣れておく必要があります。
数学は一番差が出る教科です。僕は5~6割の得点でしたが、同期の人で117/120点取れたという人もいます。誘導はあるのですが、それに乗るのが大変という印象です。ただ、ひとたび誘導に乗れてしまえば丸々得点できるので、この問いが次の問題にどう生きるのだろうという視点を持つことが大事です

[ 東京慈恵会医科大学(Yさん)

数学はくせがある問題ばかりです。僕のときは、三次方程式を無理やり解かないといけない問題が出ました。やはり得点の差が激しく、8割や9割を取っている人もいれば、2、3割の得点で合格する人もいます。正直、解けない問題に関しては割り切るしかないと思います。
英語も難しいです。自分は2、3割しか解けませんでした。帰国生がたくさんいて、そういう人たちは8割や9割とっていました。赤本を見ると平均点は60前後が書かれていますが、実態は40点くらいの人と80点くらいの人に二極化していると思います。
理科はとても大事です。400点中200点が理科2科目です。物理のくせが強くて、ぱっと見た感じでは、全部とばしたくなるような問題ばかりでした。でもよくよく見てみると、見たことある問題と同じだなと気付けます。落ち着いてよく読んでください。化学もくせが強く、計算量が多いのが特徴です。解き方がわかっても、計算でミスしてしまうと解き方がわからなくなってしまうので注意しましょう。
全体に言えることですが、初見で見たときにどの単元での出題なのかわからないケースがたくさんあります。気力がそがれるのですが、今までやってきた問題に脳内でつなげていく処理をすることが大事です

センター試験への「詰めの一手」

私立医大専願なら攻めの気持ちで!

私立大学のセンター利用入試において、英語・数学・理科2科目以下で受験できる大学は、杏林大(医)、獨協医科大、帝京大(医)、東海大(医)があります。予想ボーダーは、杏林大(医)で89~91%、獨協医科大で87%前後。帝京大(医)と東海大(医)の方がむしろ高く、91~92%くらいになるのではないかと踏んでいます。私立の医大専願でセンター試験を利用するのであれば、満点を取る前提で取り組まなくてはなりません。攻めの気持ち100パーセントで向かっていくことがマストです。

国公立医大を目指す場合においては、83%くらいから合格者が発生しますから、むしろ堅実に点数を取りにいってください。アベレージで83~85%とれているのであれば、今から無理に90%を目指す必要はありません。

センター試験に大切なのは「聞く力」

現在の得点力に関係なく、全センター試験受験生のうち、90%の得点率に達するポテンシャルを持った生徒は1割程度と考えています。なぜなら、センター試験に必要な独特のスキルに「人の話を聞く力」があるからです。センター試験では、問1の流れをふまえて問2が展開されたり、逆に問1と問2が対立関係になっていたり、問1の話をふまえて問3が展開されたりします。焦っていたり緊張していたりするときも、それらを毎回、先入観なく解けるかどうか。それが「人の話を聞く力」に通じているのです。

得点率を決めるのは「100%に対するこだわり」

また、100%へのこだわりがあるかどうかも重要な要素です。特に、数学と理科に関しては100%にこだわる必要があります。たとえば、過去問10年分を、10連続で100点を取れるまで何度でも繰り返してください。『一度100点を取った回はもう解かなくていい』と考えずに、徹底的に100%にこだわるストイックさが必要になってくるのです。

次に必要なのはスピードです。たとえば、1問を全力疾走で解くのに10秒かかるとします。これを本当に10秒で解いていたら、必ずミスが出てきます。だとするならば、1問を5秒で解けるスピードにまで上げて、それを10秒で解くようにしなくてはなりません。

さらに、100%にこだわるのであれば、言葉の定義もしっかり見直さなくてはなりません。たとえば、蒸発と沸騰の違いを正確に説明できるでしょうか。うやむやなまま放置した知識が、最終的には詰めの甘さとして失点につながってしまうことを忘れないでください。

医学部入試ガイダンス 申し込みはこちら