2018.04.15

夏までに固めるべき
医学部合格に必要な基礎力

2018.04.15開催 医学部入試ガイダンス in アルカディア市ヶ谷

いよいよ始まった2019年度医学部受験。現役生にとっては「ついに!」、浪人生にとっては「今年こそ!」 という希望と不安の入り混じった時期ではないでしょうか。
実のところ、医学部受験を勝ち抜くために必要なことはさほど多くありませんし、そのどれもが単純明快です。合否を分けるのは、それをやり抜けるかどうかなのです。

今回は、夏までに取り組むべきことをお伝えしたうえで、メディックTOMASでT.A.(ティーチングアシスタント)を務める3名の医学部生から受験生へのアドバイスを語ってもらいます。受験生にとって時間はとても貴重なもの。無駄のない効率的な勉強法をぜひ学びとっていただければと思います。

今回の要点は...

勝負を分けるのは、難問ではなく「基礎・基本」

さて、医学部合格に必要な学力は、このようになっています。

医学部合格に必要な学力
医学部合格に必要な学力

『①基礎(教科書レベルの典型パターンの学習)』、『②入試基礎(入試問題の中で受験生の大多数が解ける、典型的な入試問題レベル)』、『③私立大学対策』、『④国公立大2次対策』、『⑤センター試験対策』の5つのピースの中から、①+②と③~⑤の中から必要なピースを集め、その集めたピースの内容をしっかりと埋めていくことが必要です。
医学部に合格するためには「スピードと正確さ」が必要であると言われています。それらを身につけていくことができるのが「①基礎」の学習の部分です。医学部入試で合格を勝ち取れなかった受験生は、超難問での取りこぼしよりも、誰もが得点しなくてはならない基礎レベルの問題での取りこぼしが原因となっています。
中には、「基礎レベルは自信があります」という受験生と出会うことがありますが、みなさんは基礎レベルが確実に仕上がっているでしょうか?たとえば、「燃焼熱とは何か」「原子と元素の違いを説明せよ」など教科書に載っていることを確実に説明できますか?このようなことまで問われるのが医学部入試の特徴の一つと言えますので、問題集を解き終わった後に教科書でその単元を確認することはとても有効であると言えます。

7月末までの上半期にルーティンワークの確立を!

メディックTOMASにおける「ルーティンワーク」とは自習のことを言いますが、過去問や、総合的な問題を解く際に必要な基礎力や瞬発力を身につけるために行います。キーワードは「全範囲・網羅的」です。

模試の成績がぱっとしない、安定感がない…これらは「基礎の抜け漏れ」が原因だと断言できます。そして、これは予備校の授業の予習・復習だけでは絶対に埋めることはできません。時間に限りのある予備校の授業で扱えるのは、ある単元の「有名問題のひとつ」に過ぎず、その問題が実際に解けたとしてもその単元が攻略できたとは言えません。
その状態で夏以降に突入すると、武器の揃っていない状態で戦地へ向かうようなもので、結局武器を揃えるための「復習」に時間がかかり、武器の “使い方” を学ぶことができないという悪循環に陥ります。
そうならないために、夏を迎えるまでに基礎レベルのテキストを3周はしましょう。一ヵ月に1周のイメージで、数学ならチャート式、理科ならセミナーなど、まずは「基礎レベル」からスタートします。
8月以降にスムーズに入試問題演習に入るため、今は特に英語と数学に集中しましょう。その2科目が早期に磐石なものとなれば、理科やセンター対策へ割く時間が自ずと確保できるようになるのです。

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T.A.による「合格へのアプローチ」

ここからは、メディックTOMASでT.A.(ティーチングアシスタント)を務める3名の医学生から、受験生に向けてのアドバイスを語ってもらいます。

【登壇者】
Aさん
浪人⇒慶應大学医学部
Hさん
浪人⇒東京医科大学
Kさん
現役⇒慶應大学医学部

まずは夏までの勉強法について、アドバイスをお願いします。

Aさん: 基礎の部分を体系的に勉強しましょう。浪人生に多いのが、この時期からいわゆる「難問」とされるものばかりに取り組んでいるケースです。早く難問を攻略したいという気持ちはわかるのですが、肝心な難しいポイントにたどりつく前に、立式ができていなかったり、そもそも題意を把握できていなかったりすることも。この時期はとにかく「基礎」に専念することが、もっとも近道だと思います。
Kさん: やはり、基礎を固めることが一番大切だと思います。というのも、入試で出題される応用問題は結局、 “基礎的な内容が複合して難しい問題になっている” ことが多いので。その中で大切なことは、特定の問題集を自分のものにすることと、いつまでにこうなっていたいからいつまでに問題集を何周しようなどの計画を立てて行うことです。

「基礎を固める」とは具体的にどういう勉強がよいでしょうか?

Aさん: 自分が現状7割くらい正答できる部分を「基礎」と考え、それを10割に持っていくことをめざすのがよいと思います。私は、同じ問題集を何回も繰り返し、出てくる解法パターンを全部覚えました。たとえば図形の問題を見たとき、ベクトルを使うのか、座標を使うのか、それとも幾何的な性質を使うのか、とパターンを頭の中に思い浮かべられるように仕上げました。
Hさん: 自分の場合、浪人で時間に制限がなかったため、基礎的なものを何冊か、3周ずつやりました。すべてスムーズに解けるようになったら完成と判断して、夏からは次のステップへ進みました。
Kさん: 基礎問題集を、「ここからはこれ以上学ぶものがない」と思えるところまで仕上げればよいと思います。
私はこの時期、「4STEP」のような基礎的な問題集を繰り返し解き、最終的には問題を見た瞬間に答えがわかるところまで仕上げました。「4STEP」は基礎問題集の中でも特に基礎のみまとめられた問題集ですが、スピードをつけることと、こういう問いかけをされたらこう解くんだ、というパターンを頭に入れるのにはちょうどよい問題集でした。夏までに基礎を固めたおかげで、夏からはスムーズに「大学への数学」や先生のオリジナルプリントに入っていくことができました。

受験では、時間の使い方が非常に大切ですよね。何か工夫したことがあれば教えてください。

Hさん: 私は浪人生ですが、やはり貴重な時間をうやむやに使ってしまわないよう、事前に一週間のスケジュールを考えていました。そのとき、なるべく科目に偏りが出ないよう計画しました。
また、私は計算ミスが多かったので、7時半からの朝の時間を使って計算特訓をしました。実は現役の頃は、計算ミスをあまり気にしていませんでした。けれど、数字が1個違うだけで全部ばつになってしまう恐ろしさに気づき、きちんと時間を割くようになりました。
Kさん: 私は現役生で、高3の5月まで週3~4回の部活動に参加していました。並行して勉強を進めるのは大変でしたが、医学部受験においては(自分よりも長く勉強をしている)浪人生と戦わなくてはならないため、いかに短時間で勝つかを考えていました。そこで、毎週日曜日に一週間の予定を立てて、「月曜日はこの問題集を何ページ終わらせる」というふうに具体的に課題を設定し、可能な範囲で実行していきました。また、「夏までに4STEP(数学の問題集)を3周する」「現役生は化学・生物が弱いので、後回しにせず夏までに一周する」などの中期的な計画も立てていました。
あとは電車の移動時間で英単語を覚えるなど、隙間時間も活用しました。

ほかに、受験において大切なことはありますか?

Aさん: 記憶の定着を図ることです。以前にやったことのある問題を繰り返し間違えていては、いつまで経っても合格ラインには達しません。もちろん、一度で完璧に覚えることは難しいと思いますが、少なくとも覚える努力は必要です。私の場合は、問題を解いていて間違えた際に、どこで間違えたのか、勘違いしていたところはどこかをノートに書き、翌日に見直していました。すぐに復習することで定着率はぐっと上がるので、タイムスケジュールに見直しの時間を組み込んでおくことをおすすめします。
また、計算ミスを減らすためにも同様の方法が使えます。というのも、実は計算ミスにも自分が陥りやすいパターンがあるのです。たとえば符号の向きを間違えやすいとか、計算の途中でマイナスを抜かして書いてしまいがちというように。自分の「ミスしやすい状況」を分析してストックしておくことで、先回りしてミスを減らすことができます。
Hさん: 「今解いている問題のポイントは何か?」を意識することです。類題が出たときに、「あの問題と同じポイントだ!」と気づけるようになれば、解ける問題も格段に増えます。
Kさん: 暗記をおろそかにしないことです。生物や化学に限らず、数学でも「こういう問題がきたらこの解法」というふうに覚えておくべきことは多いです。私は生物が苦手で、暗記にも苦しみましたが、その分重点的に演習を重ねたり、間違えたときは図説に戻って再確認したりと対策していました。
また、現役生はどうしても理科が後回しになりがちなので、意識的に遅れを取らないよう計画を立てることが大事だと思います。

自習をするのに望ましい環境とはどのようなものだと思いますか?

Aさん: 私はわざと、人の目があるところで勉強していました。お昼どきに眠くなってしまっても、まわりの目を意識できていると緊張感を持って勉強を継続できました。
Hさん: 一人でやるとどうしても限界があるので、ライバルがいるとよいと思います。自分は7時半にきて22時に帰るような熱心な人たちと同じ空間で勉強していたのですが、頭の中で勝手にライバル認定して、「少なくとも勉強時間だけは負けないぞ!」というライバル心で勉強していました。実際、それで捗る部分は大きかったです。
Kさん: 私も集団自習室で勉強していました。「他の人が何をしていようが、自分は誰よりも長く勉強時間を確保するぞ!」という気持ちで最前列真ん中の席に座っていました。

最後に、受験生へのメッセージをお願いします。

Aさん: 繰り返しになりますが、今の時期は基礎固めがもっとも大切です。計算ミスも減らしましょう。受験するのは自分自身なので、いかに自分に厳しくいくかが大事です。浪人すると基礎はもういいやと思いがちですが、「多分解けると思うけど、本当に大丈夫かな?」と謙虚に自問自答しながら、丁寧に勉強していってください。
Hさん: 自分もそうだったのですが、基礎ばかりやっていると、「本当にこんなことやっていていいのか?」と不安になってくるかもしれません。ですがその気持ちをぐっと抑えて、夏休みまでは基礎を一つひとつ固めていきましょう。すべての科目で、一段一段階段をのぼっていくイメージです。
あとは、ペースを整えることを心がけるとよいと思います。「昨日は朝から勉強できたけど、今日は寝坊してしまった」というふうにその場その場のスケジュールで過ごすのではなく、ある程度一定のペースを作ってそれをこなしていくことが、安定した勉強量につながります。
Kさん: とにかく、後悔してほしくないと思います。この一年間をどう過ごすかは、すべて自分次第。自分の計画次第で合否が決まるのです。たとえば、「このままいくと第一志望に落ちて後悔するんじゃないか」という思いがあるならば、勉強の方法を変えたり家族や先生に相談したりするべきです。現役生は時間もないので、自分のできることを確実にやってほしいです」

合格するのに必要な(十分な)5つの条件

医学部合格に必要な条件は、端的に言うと以下の5つに集約されます。

  • 13時間/日の勉強時間
  • 勉強に打ち込める自習環境(人の目があり、切磋琢磨できる環境が望ましい)
  • 模試の受験(定期的に学力を客観視)
  • 情報(受験は情報戦。当ガイダンスなどで収集)
  • 世の中や医療界への興味関心(二次試験で問われる)

当ガイダンスなどで「今やるべきこと」を知り、一日13時間の勉強時間を確保し、妥協せず一年間走りきれば、必ず志望校合格の夢を果たすことができます。

受験生生活は厳しく、心が折れそうになることもあるかもしれません。けれど、あくまで受験は目的ではなく手段だということを忘れてはなりません。「医学部合格」のために勉強するのではなく、「30歳や40歳になったときに、医師として活躍・貢献する」ために勉強するのです。目先のことに振り回されず、長期的なビジョンを持って走りぬいてほしいと思います。

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