日本医科大学
基本情報
試験時間:90分/問題数:3題
分析担当
渡邉 哲史

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
【語義・文法・発音・アクセント】
同義語選択10問、発音アクセント3問、文法正誤問題3問
選択 標準
【長文読解】
段落主旨把握・空所適語選択・下線部同義語選択
内容についての説明(記述解答)・内容一致文選択
動詞選択(共通選択肢・適する形に直す)
選択・記述 標準
【英作文】Ⅱの文章の論旨をふまえた意見文作成 記述

問題分析

  1. 例年通り発音・アクセント・語義を問う設問。昨年度追加された文法正誤問題が2問から3問へと増加。同義語選択はこれまで通り10問。同じ接頭辞を持つ似た単語の識別や、英文で書かれた定義に当てはまる単語の選択、基本的な文法事項を問う正誤問題などの構成であり標準的なレベルと言える。
  2. 【文章題材】Imposter Syndrome 約1850words
    自分の能力を過小評価して自信を持つことが出来ないImposter Syndromeに関して、能力以上に自信を持ってしまう逆のパターンとの対比などをアイスランドの実業家ハッラ・トーマスドッティルさんのエピソードを交えて紹介し、文章後半では自身がないことからくるメリットについても言及している。昨年度と比べて総単語数がわずかに減少、加えて段落構成が昨年度は13段落、今年度は22段落構成となった。1つの段落が100語ほどであったため、昨年度と比べて段落主旨を把握しやすい。設問構成は昨年度とほぼ同じであり、当てはまる選択肢を全て選ぶタイプ、どの段落の論旨なのかを識別するタイプが特徴的ではある。ほぼ全問が文の内容把握を基にするものであり、本文が読みやすいものであったことから、昨年度と比べると易しかったと言える。
  3. 大問Ⅱの文章をふまえ、①Imposter Syndromeに陥りやすい状況を挙げる、②本文の論旨をもとにその状況にどのようにうまく対応するか、の2点を書く意見文型の英作文問題。その他、1段落または2段落構成で書く、具体例を用いての理由説明を含む論文スタイルで書く、という注意が与えられている。昨年度は単に筆者の意見をまとめて、それに対してどう思うかという出題で、それに比べると英作文のスキルに加えて、内容を考える部分で一段上のレベルが求められており、何を書くか決めるまでが難しい。

総評

 3年連続で非常に長い文章1題を中心とする出題となった。「文章」として英文をとらえ筆者が伝えていることを把握できるか、それとも「単語」の変換作業、日本語への変換作業になってしまっているのかで感じる難しさに大きな差が出てしまう。文章の読み方をトレーニングしてきた受験生にとっては例年と比べて易しかったが、単語ベースで、直訳を作る作業で止まってしまう受験生にとっては部分的に難しい語句が出てきて難しかったという印象になったと思われる。求められていることが何なのか、そしてそれに合ったトレーニングを積み重ねることが出来たかどうかが重要である。
 基本的な語彙、文法力を早い段階で体系化し定着させ、入試本番まで日課として取り組み続ける。そして1文を正確に訳出する精読力を、英文に目を通せば自然と無意識レベルで文構造や文法ポイントが分かっている状態へと鍛えていく。そのうえで、段落単位で主旨を分析する練習へと移行していく。文章の読み方そのものを技術的に把握し習得していく。「読む」=「訳す」になってしまっていて、直訳を作ることは出来ていても、筆者が伝えようとしていることが分かっていないのでは不十分。単語・文法を中心とする知識習得型学習から、論理的思考力・分析力重視の読解型へと、普段の学習を発展させていくことが必要である。