受験校の選定は、スケジュールから戦略的に考える

医学部受験では、入試日程のスケジュールをどう組むかが重要です。共通テスト後すぐに始まる私立医学部の入試では、各校の試験日程が重なってしまうこともあるため、いつ、どの医学部を受験するのかというスケジュールを戦略的に考える必要があります。例えば2/1には川崎医科大、久留米大、日本大の3校が一次試験を実施するため、どの大学を受験するかは慎重に判断する必要があります。

受験校の決め方ポイント 出題傾向や形式、問題用紙を持ち帰れるかもチェック

共通テスト(1/17・1/18)の後の1週間は自己採点の結果に落ち込む受験生も多いですが、早めに切り替えることが大切です。と言うのも、私立医学部の入試は1/20(愛知医科大)からもう始まるからです。
また、一番最初にどの大学を受験するかも重要です。スポーツと同様、最初の試験でつまずいてしまうと、その後の試験にも悪い影響が出てしまうからです。その意味では、愛知医科大は記述式の試験を行うため、共通テストに慣れていると戸惑ってしまいます。注意が必要でしょう。

さらに、1月のうちに、入試の問題用紙を持ち帰ることができる大学を受験することも重要です。受けた試験の結果を自身で反省・分析し、2月の第1志望校に向けて学力を上げていくためです。
また、異なる出題傾向の大学ばかりを受験すると、対策に時間が掛かってしまいます。この点も注意して受験校を選ぶことが大切です。

1/20愛知医科大~1/24帝京大 試験問題を持ち帰れない大学が続く

それでは、2026年度の医学部入試のスケジュールを見ていきましょう。
1/20~1/24までは、次のようなスケジュールになっています。

・1/20:愛知医科大(一般)
・1/21:岩手医科大(一般・地域枠C・地域枠D)
    国際医療福祉大(一般)
・1/22~1/24:帝京大(一般)①~③
・1/24:東北医科薬科大(一般)

このうち、問題用紙を持ち帰ることができるのは1/24の東北医科薬科大(一般)のみです。そのため、東北医科薬科大を受験し、学力の仕上がりを確認する戦略は有効です。国際医療福祉大は受験料が安く(6年間の総額1,850万円程度)、人気が高いのですが、入試問題を持ち帰れない点に注意が必要です。

1/25近畿大~1/31関西医科大……実力試しで受験も◎

1/25~1/31のスケジュールは以下のとおりです。

・1/25:近畿大(一般前期・地域)
・1/26:自治医科大(一般)
・1/28:兵庫医科大(一般A・B)
・1/31:関西医科大

これらの大学は、いずれも問題用紙は持ち帰れませんが、他大と日程が重なっていないこともあり、実力試しとして受けておく価値があります。近畿大は新キャンパス建設で注目されていること、自治医科大学は費用面で支援があること、関西圏では比較的偏差値が低めの兵庫医科大、比較的高めの関西医科大……と、それぞれ特色があることも知っておきましょう。

2/1は3校、2/2は4校が同日程! 試験を持ち帰れる日医・杏林はオススメ

2/1・2/2は以下のように、同日程の大学が多くあります。

・2/1:川崎医科大(一般・地域)
   久留米大(一般前期)
   日本大(N方式第1期・校友・地域)
・2/2:杏林大(一般)
   東海大(一般)①
   日本医科大(前期・グローバル)
   福岡大(系統別)

2/2では、強気出願の場合は難関の日本医科大、堅実に行く場合はそれ以外の大学を選ぶ、という戦略になります。この中で、日本医科大と杏林大は問題用紙を持ち帰ることができるので、本命校(たとえば東京慈恵会医科大など)へのステップに活用する方法も有効です。

2/3・2/4も4校が同日程! 順天堂・東医など人気校も登場

2/3・2/4も、次のように複数の大学の入試日程が重なり、戦略的な出願が必要です。

・2/3:金沢医科大(一般前期)①
   東海大(一般)②
   北里大(一般前期)
   順天堂大(研究医・地域・一般AB併用)
・2/4:金沢医科大(一般前期)②
   東京医科大(一般・共テ〈小論〉)
   藤田医科大(一般)

2/3は難関校である順天堂大に人気が集まると予想されますが、もともと1月が入試日だった北里大がねらい目なのではないかと思われます。2/4では東京医科大が難関で人気ですが、学費が大きく下がった藤田医科大(2026年度から6年間の総額が2,152万円程度に)も注目度が高まっています。そのため、抑えとして金沢医科大にスポットが当たることも考えられます。

2/5~2/12東京慈恵会医科大が登場 2/14・15は二次試験ラッシュに

2/5~2/12は、次のようなスケジュールになっています。

・2/5:聖マリアンナ医科大(一般前期)
・2/6:昭和医科大(一般Ⅰ期)
・2/7:東邦大(一般)
・2/8:埼玉医科大(一般前期)
   産業医科大(A・B方式)
・2/9:慶應義塾大
・2/10:大阪医科薬科大(一般前期)
・2/11:東京慈恵会医科大
    獨協医科大(一般前期)①
・2/12:獨協医科大(一般前期)②

東京慈恵会医科大を第1志望とする受験生も多いと思われますが、それまでの試験を利用して、どのように学力を上げていくのか、という戦略で併願校を考えるとよいでしょう。

また、もう一つ考慮しなければならない点として、二次試験の日程があります。 以下のように、2/14・2/15には、多くの大学の二次試験が集中しています。

【2/14】
関西医科大(一般前期)
北里大(一般前期)①
順天堂大(地域・一般A)②
聖マリアンナ医科大(一般)①
東海大(一般・共テ)①
東京医科大(一般・共テ)
藤田医科大(一般・共テ)③
福岡大(系統別・共テⅠ期)

【2/15】
近畿大(共テ前期・中期)
北里大(一般前期)②
順天堂大(地域・一般A)③
昭和医科大(一般Ⅰ期)
聖マリアンナ医科大(一般)②
埼玉医科大(一般前期)
東海大(一般・共テ)②
東邦大(一般)①

一次試験の日程だけでなく、二次試験の日程が重なっていないかも注意する必要があるでしょう。

まとめ

・医学部受験では、戦略的にスケジュールを組むことが大切。特に同日に試験を行う大学も多いため、注意が必要です。

・第1志望の試験で学力を最大限発揮できるよう、難易度や人気、入試問題を持ち帰ることができるかどうかなどを、自身の性格も加味して検討しましょう。

・二次試験の日程が重ならないように確認しましょう。