杏林大学
基本情報
試験時間:60分/問題数:大問3題
分析担当
小嶋 有紀

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
確率、数列 マーク式 標準
ベクトル マーク式
空間図形、軌跡、積分 マーク式 やや難

問題分析

  1. (1) 赤玉1つ、黒玉2つが入っている袋の中から1つ取り出し、取り出した玉と同じ色、取り出した玉を袋へ戻す試行の繰り返し。(1)は2回目、3回目に赤玉を取り出す確率を求める問題。各回までの試行の推移を書いて正解したい問題。
    (2) 赤玉3つ、黒玉2つが入っている袋の中から1つ取り出し、赤玉1つ、黒玉1つを袋へ戻す試行の繰り返し。
    n回目の試行開始時点での袋に入っている玉の個数や袋に入っていると期待される赤玉の個数など、丁寧な誘導からn回目の試行で赤玉が取り出される確率の漸化式を導く問題である。2項間漸化式の項の係数にnがあるため解けなかった受験生もいたと思う。冷静に見るとその下の数式から解くヒントが得られ、解けるチャンスはあったはず。
  2. (a,b) 内積の成分計算、重心のベクトル、内分点などを考える基本的な問題。
    (c) 点Sが平面α上に存在するための条件を求める問題。このテーマは暗記している受験生もいると思うが、しっかり導けるようにしておいて欲しい。
  3. (1) xy平面の原点を中心とする半径1の円周上を点Pが点Aから点Bまで動くときの直角二等辺三角形PQRの周および内部が通過してできる立体について考える問題。まず、線分PRが通過してできる曲面の展開図を考えるのだが、「横軸に弧APの長さ、縦軸に線分PRの長さをとったグラフ」の意味が掴めず、∠POA=θと初期設定できなかった受験生もいたのではないだろうか。逆にこれができれば、設問エまでは解けると思われる。線分MH が通過する領域は、y軸を含みxy平面となす角が45°の平面上での点Hの軌跡を考えればよい。誘導はされているが、経験がないと正解に辿りつくのは難しいだろう。
    (2) (1)にあまり関係ない放物線。標準的な問題。

総評

 この3、4年非常に易しかったため、この傾向が続くと思われたが、今年は難しくなっており本来の杏林らしい問題となった。難しいには色々な要素があるが、今回は文章量が多く、あまり経験したことのない問題の状況下で、意味を理解しなければいけなかったことだと思う。また、問題の質も高く、図形も漸化式も一捻りされており、より深い理解力が求められていたように思う。
 医学部全体に言えることだが、早い段階で基礎を仕上げ、それを基にして経験をどれだけ積み思考力を高めることができるかがとても大切になってくると思う。