杏林大学
基本情報
試験時間:2科目100分/問題数:大問3題
分析担当
深石 真行

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
小問集合 マーク式
陰イオンの推定、糖類 マーク式
化学平衡、理想気体と実在気体 マーク式

問題分析

  1. 本大問は、理論6題、無機1題、有機2題の計9題からなる知識問題中心の小問集合であった。昨年同様に、悩む選択肢が少なかったので、あまり差はつかなかったであろう。本学の合格を目指す受験生であれば、手早く処理していきたい。問8はグラフを利用するやや難易度の高い問題であった。グラフが見にくいこともあり、解答に時間を要する。思い切って捨てる選択が取れたかが全体の出来を左右したであろう。
  2. 本大問は、陰イオンの推定から5題と糖類から9題の計14題で構成されている。無機の問題には一部、難しい問題も含まれていた。特に硫化物イオンとアルミニウムイオンによる白色沈殿については、多くの教科書で欄外に補足説明されている程度であり、知らない生徒が多かったことが予想される。このようなレベルの知識問題は、演習を十分に積めた受験生とそうでない受験生で差がついたのではないだろうか。糖類に関する問題は、教科書傍用問題集レベルの平易な問題であり、ほとんど差がつかなかっただろう。
  3. 本大問は、化学平衡の移動3題と理想気体と実在気体の混合気体に関する計算4題の計7題から構成されている。化学平衡の移動に関する問題は、教科書傍用問題集レベルの平易な問題であり、ほとんど差がつかなかっただろう。理想気体と実在気体の混合気体に関する計算問題は、苦手としている受験生も多く、やや難易度の高い問題である。実在気体の液化条件を理解しているか、グラフをどのように活用するかを理解しているかで、差のつく問題であった。

総評

 例年通り、教科書傍用問題集レベルの平易な問題が中心であった。計算問題については、数は少ないものの、グラフを利用したやや難易度の高い問題が出題されていた。大問Ⅰの問8や大問Ⅲの問2は、グラフを使って解く問題を苦手とする受験生には厳しかったと思われる。一方で、知識問題は例年通り、教科書傍用問題集レベルの平易な問題が中心であり、高得点での勝負になったと予想される。
 例年と比べると難易度の高い問題と平易な問題に差があったので、難易度の高い問題をしっかりと見極め、平易な知識問題でしっかりと得点を稼ぐということを徹底できた受験生が高得点を取れたのではないだろうか。
 次年度に向けての対策としては、やはり無機や有機、高分子の知識問題を確実に押さえていきたい。やや難しい知識問題も出題されていたが、知識問題は初見かどうかで差がつきやすいので、とにかく数多くの演習問題に取り組むことが大事である。また、難易度の高い計算問題も出題されていたので、そのような問題に対してもしっかりと演習を積んでおきたい。対策としては、ワンランク上の計算問題が出題される大学の過去問についても取り組んでおくと、焦らず対処できるようになるだろう。併願する私大医学部の問題とともに、直近5年程度の問題はしっかりと解いて、試験本番に臨んでほしい。