横浜市立大学
基本情報
試験時間:理科2科目あわせて180分/問題数:大問3題
分析担当
須藤 信夫

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 トランスジェニック作出と
プラスミドに関する問題
植物のホメオスティック
遺伝子におけるABC
記述、
論述
標準
2 自律神経と内分泌、膜電位 記述、
論述論述
標準
3 窒素代謝、窒素循環 記述、
論述
標準

問題分析

  1. 問題文1と問題文2とで分かれた構成。(1)はPCRおよびPCRに用いるDNAポリメラーゼの特性に関する問題。高校生物履修者にとっては常識となっている。(4)は国公立私立問わず、近年頻出している問題である。(5)は問題文からの読解が必要。この遺伝子Xは各組織で発現することがわかる。後半の(8)はメンデル遺伝(9)は独立遺伝と連鎖に関する基本問題。
  2. (1)は基本的な穴埋め問題。(3)は刺激の強さの伝わり方に関する論述。100字なので書きやすいと思われる。(4)はフィードバック調節に関する問題。正と負の意味を理解していない人が多いため、差がつく問題。(5)について、脳下垂体後葉ホルモンは生産される部位と分泌される部位が異なるので要注意。(7)の(ア)はインスリン分泌に関する分泌経路だが、2系統あることに注意。(イ)は、グラフから糖尿病の原因の違いを読みとる問題。少々手ごわいが、身につけてきた知識に基づいて、グラフの正確な読み取りをしてもらいたい。
  3. (1)~(5)は基本的な知識問題である。(6)はかなり書きにくいと思われる論述。硝酸還元は硝化作用が起こり、硝酸塩が生じやすいところで起こりやすいということに気づけば書けるだろう。

総評

例年通り、大問3題構成。問題のレベルは国公立大学としては標準的で、特に答えにくい問題はなかった。教科書や図説の知識を身につけたうえで、質のよい標準的な問題集だけで対応できるレベルである。ただし、大問1のようなプラスミドなど、近年増加しているタイプの問題が増えてくる可能性がある。その場合、普通の問題集では取り扱われていないことが多いので、経験豊富な講師による指導が必要となる。
また、本学の特徴として、論述問題において実験考察系のものはなく、ほぼすべてが知識系のものなので、過去問や問題集の練習で間に合うと思われる。さらに、さまざまな事象に関して常日頃から自分で文章にまとめて説明できるようにしておけばよいだろう。