昭和大学
基本情報
試験時間:2科目140分/問題数:大問4題
分析担当
深石 真行

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 アミノ酸の総合問題 記述式 やや難
2 フェノールの製法およびその誘導体 記述式
3 ポリエステル、ビニロン 記述式 標準
4 小問集合 記述式 標準

問題分析

  1. 大問1は、昨年同様に天然高分子からの出題で、アミノ酸に関する総合問題。問1は教科書傍用問題集に載っているような普通の穴埋め問題、問2は酸性アミノ酸と塩基性アミノ酸の等電点およびペプチドの異性体の数え上げであった。問2の等電点の問題は、教科書および一般の問題集にはあまり載っていないタイプの問題であり、私国立の上位校を狙うような受験生にとっては易しかったと思うが、学習状況で差がついたのではないだろうか。ペプチドの異性体数え上げ問題については、内容は難しくないが、ミスなく数えるのは困難であったと予想される。
  2. フェノールの製法およびその誘導体に関する出題。問1はフェノールの製法、問2はフェノールの遊離反応に関する計算問題、問3はフェノール誘導体であった。いずれの問題も学校の定期テストに出題されるような易しい問題であり、ここは是が非でも完答したい。
  3. A問題とB問題に分かれており、前半はポリエステル、後半はビニロンに関する出題。A問題は、問1が穴埋め、問2が化学反応式の記述、問3がポリエチレンテレフタラートのけん化に関する計算問題であった。問3の計算問題は、両端がエチレングリコールであることを読み取れるかがポイントで、差が付いた問題であったと考えられる。B問題は、問1が化学反応式の記述、問2がアセタール化に関する計算問題であった。どちらも教科書傍用問題集に載っているような問題であった。
  4. この数年同様に、計算問題に関する小問集合。問1は浸透圧、問2、問3は混合気体の平均分子量、問3は気体の計算、問4は硫酸銅(II)五水和物の析出についての計算問題である。内容的にはここ数年大きな変化はなく、どれも教科書傍用問題集に載っているような問題である。特に問1、問4、問5は、過去2年に出題された問題の過去問と同内容であった。

総評

 2017年から2020年までは、大問1・2では高校の教科書に載っていないような生化学の知見に関する内容をテーマとした、文章読解力と思考力を問う問題が出題されていたが、昨年同様に、本年もそのような問題は出題されなかった。問題のセットとしては、昨年と似たような構成になっており、大問1は天然高分子、大問2は芳香族、大問3は合成高分子を中心とする出題で、大問4は小問集合形式の計算問題となっていた。
 大問1の酸性アミノ酸および塩基性アミノ酸の等電点に関する問題は、教科書に記述も少なく、問題集にもあまり掲載されていない問題なので、受験生の学習進度で差が付いたことが予想される。やはり本校を狙うような受験生であれば、国立・私立の上位校の過去問にもしっかりと取り組んでおく必要がある。
 有機化学や高分子化学に偏った出題をする本校の対策としては、出題比率が高い天然有機化学や芳香族についての対策に加え、本年度出題された合成高分子についても十分な対策が必要であると感じた。
 小問集合を含めて、計算問題全体については、計算量は比較的多いことも特徴である。試験時間は70分あるが、制限時間内に解くにはやや分量が多く、正確に速く計算する練習は十分に積んでおかなければならない。例年似たような問題の計算が続いており、本校を第一志望とする受験生は、できれば前期・後期分含めて5年分ぐらいの過去問を解いておきたい。