杏林大学
基本情報
試験時間:2科目100分/問題数:大問4題
分析担当
深石 真行

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
小問集合 マーク式
小問集合 マーク式
芳香族アミンに関する知識問題、
電気分解
マーク式
アンモニアの電離平衡 マーク式

問題分析

  1. 本大問は、理論2問、無機2問、有機2問の計6問からなる知識問題中心の小問集合であった。例年と比べると悩む選択肢が少なかったので、手早く処理して、次の問題に進みたい。問3のコバルト錯イオンの幾何異性体に関する問題は、知っている受験生と知らない受験生で差がついたと考えられる。
  2. 本大問は、全6問の計算問題を中心とした小問集合である。出題内容は、気体の正誤問題・浸透圧の計算・熱化学方程式の計算・有機化合物の推定・芳香族の配向性に関する知識問題・ペプチドの正誤問題であった。問4のC7H12の構造推定は、内容自体はやや難しい問題であったが、構造を選択肢から選ぶことができるので、それほど難しくはなかったと思われる。問5の芳香族の配向性については、ここまでしっかり対策して臨んだ受験生とそうでない受験生でやや差が付いた問題だったと予想される。
  3. 本大問は、問1が芳香族アミンについての知識問題で、問2が電気分解に関する計算問題であった、問1は、教科書レベルの平易な内容であったが、(2)のアゾ化合物は忘れていた受験生もいたと予想される。生成物であるp-ヒドロキシアゾベンゼンの構造がかける受験生は特に意識していなくても何となく選べるであろうことを考えると、普段の学習から構造式はしっかりかくようにして欲しい。問2の計算問題は、(3)のグラフ選択問題がしっかり選べたかどうか。正極と負極の質量変化を計算できれば特に難しいところはなかった。
  4. 本大問は、アンモニアの電離平衡に関する計算問題である。全ての計算問題が、標準的な問題集に登場するような平易な内容であった。弱塩基、緩衝液、加水分解と豊富なジャンルのpH計算を含んでおり、対数計算に慣れているかどうかで、解答時間に差が出やすいので、入試頻出内容であることを考えても、しっかりと練習して臨んで欲しい問題である。問3の問題は、問われている内容自体は平易だが、対数の計算を上手く工夫できるかで解答時間に差が出てしまい、最後まで計算できなかった受験生も多かったのではないだろうか。

総評

 ここ数年、本学の入試問題は教科書傍用問題集レベルを中心とした平易な問題で構成されており、昨年と同様かそれよりもやや平易な難易度であった。合格するためには最低8割以上は欲しいところ。計算問題は、試験時間に対して分量も少なく解きやすい問題が多いので、計算ミスは許されない。例年と比べると、知識問題も難しいものは少なく、高得点勝負でミスが許されない試験であったと考えられる。
 差が付くポイントとしては、大問1のコバルト錯体の異性体・大問2の芳香族の配向性などのやや応用的な知識問題や、大問4の問3の計算問題あたりかと考えられる。高得点勝負になりやすい本校の入試対策としては、やはり細かい知識はしっかりと押さえて臨むべきであると改めて感じた。
 本年度の正誤問題は、例年と比べると平易な問題が多かったが、次年度の対策としても、やはり無機有機の正誤問題対策として知識問題に対する強化が欠かせない。また、本年度の入試で問われた計算問題は、昨年同様に易しかった。ただし、年度によっては思考力を必要とする計算問題が出題されていることもあり、次年度もレベルの高い計算問題が出題されないとは限らない。そのような問題に対してもしっかりと対応できるように、併願する私大医学部の問題とともに、直近5年程度の問題はしっかりと解いておくべきであろう。