慶應義塾大学
基本情報
試験時間:理科2科目あわせて120分/問題数:大問3題
分析担当
匿名希望

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 ニューロンとその興奮 記述・論述・
計算
標準
2 生殖・性決定 記述・論述・
描図
標準
3 物質輸送とタンパク質 記述・論述・
計算
標準

問題分析

  1. ニューロンとその興奮に関する問題である。問1・2・4は基本問題。問3ではリークチャネルを不活性化させると膜電位が上昇することを答えさせている。静止電位や活動電位の発生の仕組みを理解していれば解答は難しくない。近年同様の問題が数校で見られる。問5から複数のグラフを読ませるなど、一見目新しい問題に見えるが、問いの内容は神経系でよく問われる内容ばかりである。実験の説明やグラフから基本内容が読み取ることができれば、十分に得点できたであろう。
  2. Aは性染色体に関する基本問題と、ボネリムシの性決定に関する実験考察問題。問の2に関しては実際にどのようになっているのかではなく、考えられることを書くしかない。さまざまな答えが想定される。問4では4-1で仮説を立て、それを4-2で観察結果から反証をあげる。リード文とグラフを照らし合わせて読めれば、さほど難しくはない。Bはフトアゴヒゲトカゲの性決定に関する問題。孵化温度と雌の比率のグラフを描かせる問題がある。文章から読み取れた内容をもとに、素直に答えればよい。性決定と温度の関係から、地球温暖化の影響へと結ぶおもしろい問題。
  3. Aはタンパク質のフォールディングに関する問題。アンフィンゼンのドグマは、私立医学部の問題としては目新しくはない。昭和大学や藤田医科大で同様の問題が出題されている。問5の計算はS-S結合の位置は組の区別がつかないものとして考えればよい。Bはフォールディングとシャペロンに関する問題。シャペロンについてもフォールディング病についても知っておくべき内容。問9と問10はタンパク質の変性のメカニズムと同様の問いである。疎水性領域はタンパク質の内側に入り込んでいるが、それが変性やミスフォールディングで表面に出ると、その部分で結合し凝集してしまう。

総評

基本知識を問う問題も多いので、教科書レベルの内容はしっかりと理解して覚えておきたい。そして、教科書などにはないグラフの読解や考察を要求する問題も多くみられ、仮説を立てる問題、またその検証を行う問題もよく出題される。難易度は高いように思われるが、最終的に答えるべきことはさほど高度な内容ではない。膨大な量をただ暗記しているだけでは太刀打ちできないが、普段の学習で基本問題であっても、なぜそうなっているのか理由や原理を考えて、理解を伴う勉強をしていると十分に勝負になる可能性がある。記述量が多いので、時間内に解答できるように過去問で十分練習しておくことも重要である。