千葉大学
基本情報
試験時間:理科2科目あわせて100分/問題数:大問3題
分析担当
安部 雄太

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
2 地球の周りを周回する人工衛星の運動 記述式 標準
4 コイルの磁界中の運動 記述式
(グラフの作成を含む)
やや難
6 熱気球 記述式 やや難

問題分析

  1. 力学範囲からの出題で、宇宙における人工衛星の運動について問う問題である。典型問題であり、誘導に従えば十分完答出来る内容であった。ただし、問8だけは計算が複雑であるために時間がかかる。エネルギー保存則と面積速度一定の法則を用いれば解ける問題であり、問題そのものは標準的なレベルであるが、使用する文字など、問題文の条件に従ってミスなく解き進める必要があった。
  2. 電磁気範囲からの出題である。磁界の中にあるコイルを一定速度で動かし、その際に生じる電圧と、回路に流れる電流・ジュール熱等について問う問題であった。前半にはグラフをかく問題等もあるが、それぞれの場合について落ち着いて考えれば難しくはない。ただし、後半ではコイルの巻き数や接続する抵抗、コイル自体の抵抗など、条件を変えた場合にどうなるかを比較する内容が含まれている。これについては計算が複雑となり、やや難しい。限られた制限時間ではあるが、それぞれの場合について、計算ミスをしないように迅速に処理したい。
  3. 熱力学からの出題で、熱気球に関する問題である。前半は、状態方程式から密度の関係式をつくり、それを利用して解く典型問題であり、標準レベルの問題である。後半は、気球を浮上させた際の大気の温度・圧力が地面からの高さxの関数として与えられており、それを利用して気球が上昇する高さを求める問題であった。こちらも計算が複雑であると同時に使用する文字も多い。大問2、4の後半と同様、計算ミスと時間配分に注意して解き進めたい。

総評

例年通り、問題用紙に記載されている大問6題のうち、大問2、4、6の3題が医学部の入試問題であった。難易度は標準か、やや難というところ。昨年と比較して難易度は大きく変化はしていない。理科2科目のうち、物理以外の1科目に何分かけるかにもよるが、大問2を完答し、大問4と大問6のどちらかを完答し、残った大問1題を制限時間内に解けるところまで解くという勝負になるだろう。
千葉大学の入試問題は、問題自体は標準レベルであるが、とにかく計算量が多い。制限時間内で完答することが難しく、計算ミスをいかに防ぎ、制限時間内になるべく多く「解ける問題を解く」ということが必要となる。この傾向は、本年度も同様である。 時間をロスすることなく解き進められるようにするためには、まずはそれぞれの大問で「初手」が思い浮かぶようになるまで、基本レベルの内容を定着させることが必要である。本年度の入試問題を例に挙げれば、大問6の気球の問題で密度の関係式をすぐにつくれるかどうか、気球が上空で静止した際の関係式をどう処理するかが思い浮かぶかどうか。そのための知識は一般的な問題集にも載っているが、誘導がなくともすぐに立式できるかどうかを確認しておいてほしい。
問題集に載っている問題を、単に「解ける」だけで満足していては不十分である。「解ける」のは当然として、さらに1つひとつの問題を解く際の流れを自分で説明できるようになるまで学習を進めよう。そうすることが、模試や入試本番において、自力で問題を解けるレベルに到達するための大切なステップである。そのうえで、なるべく早い時期から過去問を制限時間内に解く練習を行い、時間配分の感覚やそれぞれの問題の解法の確認などを行っていくことが重要である。