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麻布中学校・高等学校
※この記事はTOMAS主催 麻布中学校・高等学校 学校見学説明会(2025年10月19日(日)開催)での講演内容をもとに作成しています。
今年も盛況の麻布説明会
10月19日(日)、TOMASが主催する麻布中学校・高等学校説明会が渋谷で開催されました。日曜ということで、麻布中を目指す受験生も数多く来場し、校長の平先生のお話に聞き入っていらっしゃいました。
説明会の内容
1. はじめに~人生の土台をつくる中学・高校時代~
出生数が70万人を割るという社会状況(少子高齢化、国力の衰退)を踏まえ、これからの中等教育のあり方について考えたい。最近特に「人材」という言葉で青少年が語られることが多いが、私は樹木を木材、動植物を食材と呼ぶように、青少年を「材料」として扱うことに違和感がある。麻布学園のウェブサイトには「青年即未来」という言葉が掲げられている。「青年というのは未来そのものである」という意味で、この理念こそ、中学・高校時代を「人生の土台を作る」時期と位置づける本校の教育の根幹。そして、私立学校の根幹には必ず創立者の「建学の精神」がある。
2. 教育理念:「青年即未来」と創立者・江原素六先生
幕末から大正を生き、幕臣、軍人、事業家、政治家、そして教育者と、多様な顔を持つ江原素六(えばらそろく)先生の精神は、100年以上経った今もなお、校歌の歌詞などを通じて学園に深く根付いている。
教育の根底にあるもの:「愛と誠」
- 真理を愛する心:物事の本質を見極め、権威に媚びず、常識を疑い、徹底的に自分の頭で考える力を養う。
- 人類、社会に貢献する志:上記の力を、社会のために役立てることを目指す。
- 環境としての「自由」:明文化された校則はなく、「自由闊達・自主自立」の校風が特徴。しかし、それは何でも許される自由ではなく、自分の中に確固たる基準を打ち立てる「自律」に支えられた「内面的な自由」を追求するもの。「個の確立」と「人格の陶冶(とうや)」が本校教育の理想。
3. 教育の本質は「授業」
学校説明会で何を最も大事にすべきかと考えたとき、学校案内の豪華さや施設の紹介よりも、教育の本質は「授業」だということ。授業を成り立たせるのは、「真摯に学ぶ生徒」と「情熱と使命感を持って教える教師」。
麻布の授業の特色は以下の通り。テーマにしているのは、「生徒にいかに刺激を与え続けられるか」ということ。
人類が獲得してきた知識を受け継ぐ:
基礎力の徹底をはかる。レポートや添削指導を実施。
実技科目の重視:
中1では週の半分が実技教科で構成され、知識の詰め込みではなく、手を動かし、感性を磨くことを重視。高校での芸術科目は文部科学省の指定は2単位だが、本校は3単位としている。情報の授業は全員がコンピューターの端末を使って実施。英語も「実技科目」と位置づけ、中学2、3年ではクラスを二つに分けた分割授業で実践的な運用能力を養う。理科の実験・観察レポートや、技術・家庭科(たとえば近隣幼稚園での実習を取り入れるなど)も充実している。
「徹底的に自分の頭で考える」教育の実践:
【国語】 中3で「竹取物語」を1年かけて読み解くなど、一つのテーマを深く掘り下げる。
【記述・論文】 全教科において「書くこと」で表現する教育が徹底されており、論文執筆では優秀作品が『論集』や『社会科基礎課程修了論文』に掲載される。
多様性を育む独自教育:
他校にはない独自科目がある。
【中1社会「世界」】 世界地理と現代史を同時に学び、複合的な視点を養う。
【教養総合(高1・高2対象)】 大学の教養課程のように、多様なテーマで外部講師も招き、生徒に知的な刺激を与え続ける。
国際交流:
カナダ、韓国、中国、イタリアなど、多様な国との交流プログラムが用意されている。
4. 生徒主体の学校生活
立地:
1900年、現在の地に移転。周辺には各国大使館が立ち並んでいる。近隣の有栖川宮記念公園周辺の施設は本校生徒もよく利用している。1932年に建築された普通教室棟は今も現役。大変頑丈なつくりで、震災の折にもびくともしなかった。内部はエアコンやプロジェクター、高性能なスピーカーを備えた近代的なものになっている。1935年にはプール落成。野球場2面分の広さがある多摩川グラウンドでは野球部などが活動している。
二大行事(文化祭・運動会):
教員はサポートに徹し、企画・運営はすべて生徒の実行委員会が担う。学園紛争の再現劇(文化祭)や、ユニークな競技(運動会)など、麻布らしい企画が数多く見られる。
クラブ活動:
参加・兼部は自由。物理部や化学部などの科学系クラブや、囲碁、将棋といった知的ゲーム系のクラブが全国レベルで活躍している。
教員の体制:
専任93名(女性13名)。教員は教科会と学年会に所属し、両輪で学校運営をしている。平均年齢は近年若返っている。
5. 校長からのメッセージ
チャレンジャーよ、来たれ。麻布の教育の目的は、人類・社会に貢献する青年を育てること。「青年即未来(青年こそが未来の扉を開く担い手であり、未来そのものである)」
6. 質疑応答
Q.麻布の入試では記述問題がたくさん出題されますが、記述対策に取り組むうえでのアドバイスをいただけますか?
A.【共通する心構え】 テストは「バツをもらうため」にあり、間違いから「なぜ?」と振り返ることができる子が伸びる。拙くても「本質」を衝いていれば評価される。模範解答通りの完璧な答えは求められていない。入試は満点を取る必要はない。みんなができる問題で取りこぼさないように。みんなができない問題でどこまでできるかが勝負。
【算数】 答えだけでなく、考えたプロセスが相手に伝わるように書くことが何よりも大切。「答えだけでは0点」。
【国語】 自分の考えを自由に書くのではなく、文章から登場人物の気持ちを正確に読み取り、採点者に伝わるように丁寧に記述する能力を求めている。
Q.江原素六先生をどのように思っていますか。
A.幕末~大正の激動の時代の中、戦争で生死の境をさまよいながらも生き延びた奇跡の人。教育者としてお手本のような人。
Q.入学後の生徒の勉強の様子を教えてください。
A.小学校のトップ層が集まるため、入学後に初めて「自分は一番ではない」と知る生徒も多く、劣等感を抱くこともある。しかし、そこからクラブ活動や得意なことを見つけ、自分の居場所を確立していく過程が重要。(特に中学校低学年のうちは)塾に行かせず、学校生活に没頭してほしい。学校と塾の両立が中途半端になることが懸念される。まずは麻布の教育にどっぷり浸かってほしい。最初のうちはのびのびと羽を伸ばしてほしい。学校としては、高2の夏以降から大学進学へ力を入れていく。