2023.4.21

学校行事シリーズ

駒東の奈良・京都研究旅行

研究テーマを設定し
グループごとに3泊4日の実地調査

森上教育研究所 所長 森上展安氏

生徒主体の宿泊行事

 宿泊行事は中1の霧ヶ峰、中2の志賀高原、中3の奈良・京都と毎年あるが、中3の奈良・京都は「研究旅行」と銘打っているだけあって、事前に見学場所と研究目的を明確にし、担当教員のチェックが通らなければ行程の再検討という大変真面目なものだ。グループごとに行動するが、スケジュール管理もしっかり計画に反映させる必要がある。大学の卒論のように、担当教員の指導のもと、生徒は自分の研究テーマを設定し、事前の文献調査・現地調査を経て、研究の成果を論文にまとめる。
 高2の修学旅行では、企画委員がグループに分かれて目的地や予定を示しつつ、なぜそこが修学旅行にふさわしいのか生徒全員の前でプレゼンする。そのうえで多数決によって旅行先を決定するという。

運動会にも文化祭にも注力

 開成の運動会、麻布の文化祭といわれているが、駒東は運動会も文化祭もきちんとやり、その模範生ぶりが駒東らしいところ。体育祭の売りは独自競技だそうで、なかでも「大井川渡し」はWEB上にスナップがあり、これが評判らしい。文化祭は前夜祭も後夜祭もあって盛り上がる。後夜祭では校舎中庭にある特設ステージで、ダンスやバンド演奏などのさまざまなパフォーマンスが繰り広げられる。

さまざまなクラブ活動

 クラブ活動については、かなりの生徒が兼部しており、人数が多いクラブといえば、運動部ではサッカー、テニス、バドミントンなどが挙げられる。また、理科系のクラブに所属している生徒も多く、生物部、物理部、化学部、地学部、天文部など、それぞれが部として活動している。文化祭では、鉄道研究部のジオラマ、アーチェリー部の「カルロス一家」というお化け屋敷、水泳部はウォーターボーイズを披露する。

駒東の「3F精神」とは

 今では駒東は別名「ママ東」といわれるほど母親に人気があるが、創立は1957年(昭和32年)、都立日比谷高校の校長・菊地龍道が、当時の東邦大学理事長・額田豊の招きに応じて初代校長に就任した。菊地校長は、公立校で果たせなかった自身の夢を実現すべく、この新設校の経営を引き受けたとのことである。立地としては、西側に東邦大学医療センター大橋病院、近隣には東大駒場キャンパス、東京大学先端科学技術研究センター、その他4つの学校があり、誠に文教の地といえる条件が整っている。
 戦後生まれの難関校だけあってFighting spirit(ファイティングスピリット)・Fair play(フェアプレイ)・Friendship(フレンドシップ)と「3F精神」が標語となっており、御三家の開成・麻布・武蔵のような旧制と違い、戦後の新生中学らしさが感じられる。戦後、自治体によって無料の公立中学が続々と創設されるなか、有料の新制・私立中学として創立された。戦後生まれの難関校は、カトリック男子校の栄光や聖光などあるが、東京の男子校でここまでの難関校は駒場東邦以外にはないだろう。