2023.2.28

学校行事シリーズ

栄光中の中間体操

創立からの伝統受け継ぐ
男子約1000人のラジオ体操

森上教育研究所 所長 森上展安氏

伝統の「中間体操」、その理由とは

 栄光の名物行事といえば、これはもう「中間体操」で、2時間目と3時間目の間 (夏は10時20分から10時35分、冬は10時40分から10時55分の15分間) に、全校生徒がグランドに出てラジオ体操をする。数年前までは上半身裸を原則としていたが、今は1枚肌着を着てもよいということになっている。他方、授業の始まりと終わりにある「瞑目」の方は、それほど知られていないかもしれない。これは始業と終業の「礼」にあたるもので、約1分間目を閉じることが習わしになっている。
 以上の2つから分かるように、カトリック校といえども宗教的行事ではなく、よい習慣をつけさせようという教育の一環だ。アメリカの相当数の学校では毎朝、運動を短く行うところがあって、その理由は学業がそれによって伸びるという脳科学の知見を生かしたものだそうだ。さしずめ栄光の「中間体操」なども、イエズス会の学校運営のノウハウの1つなのかもしれない。

「栄光祭」・「歩く大会」など、さまざまな学校行事

 大きな学校行事は、5月の「栄光祭」 (学園祭) と9月の「体育祭」、そして10月の「歩く大会」。このうち「歩く大会」は必ずしも早く歩く必要はなく、江ノ島から小田原城址まで約30キロの行程を歩き通せばよい。全学年を4クラス縦割りで対抗戦にする体育祭とは別に、体力差を考慮して中1と中2、中3と高1、高2と高3の2学年ずつに分かれて競技をするスポーツ大会が、7月と12月に各1回実施される。
 また、中3は京都・奈良の学年旅行、高2は沖縄の修学旅行があり、これ以外には学年全体で行う宿泊行事はないが、毎年希望者を募って有志を連れていくような旅行や、担任や教科主導のさまざまな学年企画 (日帰り) などが実施される。経営母体であるイエズス会のボストンカレッジでの夏季研修は、高校生の希望者30名を対象に実施され、MITやハーバートなどボストンの名門大学で教鞭をとっているOBなどと懇親ができるという。

自主的に運営される部活動

 1学年180人の小規模校で、クラブ活動は週2日・17時までと制限されていることもあって、クラブの数は文化部が8、運動部が10と、大規模校に比べると少数である。とはいえ、部活動がない日でも、自主練として通常の下校時刻の16時までなら活動してもよいそうで、その辺はまさに自主的に運営されているようだ。
 また、2017年に完成した新校舎は、あの有名なOBの建築家・隈研吾氏が設計監修をつとめている。壁もなく扉もなく、自由に行き来できる職員室は大変めずらしく、生徒たちにも人気だという。栄光学園の広い敷地には裏山もあり、一部の栄光生にはその裏山に入るという密かな楽しみがあるのだそうだ。瞑想を好む生徒に向いているかもしれない。