2023.1.23

学校行事シリーズ

渋幕中の文化祭

「槐祭」という名の文化祭
「槐」は「たくましく」という願い

森上教育研究所 所長 森上展安氏

日本文化と平和を学ぶ、さまざまな行事

 渋幕の行事は、同校のスローガンともいえる「渋幕的自由」が貫かれており、新入生は4月の「新入生歓迎会」からその校風を体感することになる。 渋幕を代表する行事のひとつが、学年300人の大所帯で移動する宿泊型の研修だ。中1が野田 (上花輪歴史博物館) ・南房総、中2が鎌倉・東北、中3が奈良・ニュージーランド、高1が広島、高2が九州または中国 (西安・北京) に行き、5年かけて日本文化のルーツを探す。身近な場所から理解を深め、震災の被害を受けた地域を目の当たりにし、日本文化にも触れ、平和について考える5年間が用意されている。また、研修が現地集合・現地解散 (海外を除く) で行われるのも同校ならではだ。

クラス一丸となる体育祭と文化祭

 体育祭にあたる「スポーツフェスティバル」は、中学9クラスと高校10クラスを赤・青・黄の3色に分けてのクラス対抗だ。文化祭にあたる「槐祭」(えんじゅさい) は、クラスの出し物が相対的に多いようだが、あるOBの印象に残った出し物は水泳部のシンクロナイズドスイミングだったそう。男子が多いので、さながらウォーターボーイズ風であったらしい。ところで、槐の木は、渋谷教育学園の校樹で渋幕・渋渋の両校で多用される。その槐には「たくましく育て」との願いが込められていると、在校生に伝わっている。

充実した海外研修

 高1 (高2でも可) では希望者を対象に8月のアメリカ研修、12月のベトナム研修・北京研修、3月のイギリス研修・シンガポール研修と実に多くの海外研修が用意されている。各20人という少人数グループのため、同行の仲間との親密度は深まるだろう。ちなみにアメリカ研修には、オレゴン州での「キャンププログラム」と、ハーバード大学で学ぶ「ハーバードプログラム」の2種類がある。

渋幕生の個性とは

 前出のOBいわく、渋幕には教師も生徒も面白い人が多いのだそうだ。そして、その面白さは行事もさることながら、普段の学校生活でも十分発揮されているとのこと。その辺は麻布OBであり、また理事として麻布の経営にも携わってきた創立者・田村哲夫理事長の思いが形になっているのかもしれない。再び前出のOBに「渋幕的個性を一言でいえば」と聞くと、「尖っている人」という表現が返ってきた。とはいえ、それは決して協調できないということではなさそうだ。そもそも、そういう彼も極めてコミュニカティブなのだから。