2022.12.27

学校行事シリーズ

雙葉中の運動会

伝統の「花の歌」のダンス
先輩・後輩の絆を深める

森上教育研究所 所長 森上展安氏

伝統校らしい、さまざまな行事

 雙葉の行事も伝統校らしく、中三の5月に「広島宮島修学旅行」があり、他の学年は「遠足」に行く。行先は森林公園であったり鎌倉であったり、文字通り遠足だ。6月には校内球技大会が行われ、中学・高校それぞれのクラス対抗でバスケットボール、バレーボール、卓球の優勝を争う。高一が参加する国立劇場の歌舞伎鑑賞教室は昨年100回目を迎えたそうだが、雙葉は50年以上前の第1回から参加しており、伝統行事であることがわかる。7月には「夏期学校」があり、中一は軽井沢、中二は蓼科で寝食を共にする。
 8月は通いのクラブ活動が学校で行われるだけでなく、校外施設である日光高原荘などを使用したクラブ合宿も行われる。9月は日頃のクラブ活動の発表の場として雙葉祭が開催される。実行委員会の生徒が中心となって運営しているが、実際に足を運んだ受験生からは「在校生は、明るくて優しくて、元気。内容も充実している」という声が寄せられる。10月は運動会があり、中一から高三の学年対抗で、走る競技や団体競技など、日頃の練習の成果を発揮すべく皆が本気で取り組む。各学年の授業で取り組んだダンス発表もあるが、卒業を控えた高三が「花の歌」なるダンスを披露するのが、60年以上受け継がれている伝統となっている。11月に中三は理科野外実習で長瀞に行き、高二は関西修学旅行で奈良と京都を訪れる。紅葉の時期に当たり、中高最後の宿泊行事としての思い出となる。12月にある高一対象のテーブルマナーは、良家の子女の学校らしい趣がある。

雙葉生の知られざる慣習と性質

 4月の始まりは、入学式の翌日に「祈りの集い」が聖イグナチオ教会の聖堂で行われる。カトリック校ならではの行事である。OGの取材で分かったことは、運動会のダンス「花の歌」で使用した薄紙の花を、高三生が希望する下級生に渡すというならわしがあるということ。また、学年カラーがあって進級するたびに靴ひもの色が変わるのだが、自らの靴ひもを後輩に渡すというならわしもあるそう。そうした後輩を持てることが先輩の矜持でもあり、後輩の喜びでもあるのだそうで、こうした隠れた慣習もなかなか味わいがある。
 高三向けのクリスマス・ミサには、毎年多くの希望者が参加する。修道会のシスターからこの日の記念にプレゼントされるクッキーは、とても美味しいとのことである。「徳においては純真に、義務においては堅実に」という校訓からか、お堅い校風をイメージするかもしれない。しかし、同校をよく知る人々の雙葉生の共通した印象は<明るく覇気がある>というものであることを付記しておく。何しろ「覇気」というところが面白い。