2022.10.25

学校行事シリーズ

女子学院の修養会

泊まり込みのグループ討議
めざすは教養の身体化

森上教育研究所 所長 森上展安氏

伝統校らしい多彩な行事

 女子学院の行事は、ホームページの「女子学院の1年」の案内にあるように、4月には高三の修学旅行や全校生による体育祭がある。5月には中三の「東北旅行」や中一・中二の「春の遠足」があり、6月には中一の「オリエンテーション・キャンプ」や全校生による球技会が催される。7月には高一の「ひろしまの旅」・中二の「ごてんば教室」などがあり、この「ごてんば教室」は女子学院の御殿場寮で行われる宿泊行事でもある。

泊まり込みで討議する修養会

 最も注目すべき行事は、おそらく高三の修養会であろう。御殿場寮を使用して行われるが、昨年はコロナによって学校で実施された模様だ。この「最も注目」と述べたのは、8から9のテーマに対して、テーマごとにグループで討議するのが修養会であるからだ。それは泊まり込みで議論を詰めていくというもので、その議論ぶりは内輪だけであれ、徹底しているようだ。ちなみに修養という言葉は、興味深いボキャブラリーで、キリスト教主義学校で多く用いられてきた経緯がある。教養の身体化といったニュアンスを含むといえようか。
 また講堂礼拝は、高校は月・水・金に、中学は火・木に行われる。コロナ禍における遠隔学習の際も、この講堂礼拝で動画がスタートする。そんなところが学校文化の有り様として、改めて注目され話題にもなった。

キリスト教主義に基づく開かれた文化

 他校との比較でいえば、やはり修養会の存在が光るが、文化祭(マグノリア祭)は受験生・保護者に開かれていて、学校文化の違いを肌で感じる良い機会であろう。
 また、女子学院の志望者にとって幸いなのは、学校案内動画をHPにアクセスすれば誰でもみられること。卒業生による動画だけあって、卒業生自身の声でテンポよく展開されていく。コロナ禍で学校見学の機会を得難い中で、まさにタイムリーなアイテムだ。女子学院は、もともと取材に協力的な学校だが、その文化がこうしたところにもよく表れていると思う。

のびのびとした校風を体現するハロウィン

 ホームページに一切掲載されていないが、女子学院生にとって、とても楽しい行事があるそうだ。それは10月のハロウィン。なんと生徒がさまざまに仮装してキャンパスを埋め尽くすという。前記の学校案内動画でも、このハロウィンは登場しない。全くの非公式行事らしく、今回の取材で筆者も初めて知ることになった。こういうところが、女子学院らしい、のびのびとした校風というべきであろう。