2022.10.5

学校行事シリーズ

麻布中の文化祭

麻布の行事は文化祭に尽きる
校風を体現した一大行事

森上教育研究所 所長 森上展安氏

色とりどりの頭髪がお決まりの文化祭

 麻布の行事は、文化祭に尽きるようだ。さながらかぼちゃ畑のようだと言われる茶髪金髪緑髪など色とりどりの頭髪が一面に広がる様は壮観で、それは文化祭のいわばお決まりのようなもの。平日は黒髪に戻るという。OBの一人から「近年の人気の出し物はサバイバルゲーム」という声があがったが、多くの生徒は自らが参加する出し物にかかりっきりで、他の催しを見て回る余裕はないそうだ。そのためサバイバルゲームが1番人気だということは定かではなく、風聞に属することかもしれない。

運動会の目玉は中高合同のクラス対抗リレー

 開成名物の運動会と違って、麻布は狭い校地もあって午前と午後に中学と高校と分けて運動会は実施される。クラス別に色分けしたクラス対抗リレーだけは全学でやり、盛り上がるとのこと。おそらく中学と高校とを分けるとどうしても中学がおとなしくなり、ダイナミックさに欠ける面が生じてしまうのかもしれない。

自然に身につく「寛容の精神」

 タテの関係はやはり麻布でもクラブの所属で自然に形成される。御三家のクラブは同好の士が楽しむスタイルなので、よく見ると登山部などという大学では絶滅の危機に瀕するクラブがあるのは誠に喜ばしい。
 麻布のOBにインタビューして学校の雰囲気を聞いたところ、「寛容」という言葉が返ってきた。少し意外な感じもしないではないが、たしかに各自わが道を行くという生き方からすれば、寛容の精神が自然に身につくのかもしれない。ホームページにはファミリーコンサートの募集もあってなかなか和やかだ。
 また、よく話題となるのが修学旅行の現地集合現地解散スタイルで、生徒たち自身が企画し一定の制約を守れば行き先は問われない。同行する先生の数だけグループ分けが可能だという。

かつてなく充実した教育の力量

 男子の常で勉強が本気モードになるのは高2から。それまではモラトリアムである。そのことは長らく麻布の伝統のようになっており、家族は寛容の精神で接するべしと言うべきか。先生は40代50代が中心の二人担任制で、学園としての教育の力量はかつてなく充実している。東大合格者数も一定数出しており面目躍如だが、難関校では珍しく医学部進学者が過度に多くなく、そもそも理系進学者が55%位なので、まさにひと味違う進学校であると言える。