2022.8.26

学校行事シリーズ

桜蔭中の文化祭

桜蔭の行事の花は文化祭
出色は「サイエンス・ストリート」

森上教育研究所 所長 森上展安氏

さすがは桜蔭会、「昭和」を感じる行事ぶり

 桜蔭の行事はその校風そのもので、「勤勉、温雅、聡明であれ」との校訓をよく体現していると思う。校外行事は、中1と高1の浅間山荘2泊3日(8月)。中3と高2の修学旅行(中3は東北旅行3泊4日、高2は京都奈良で4泊5日/10月)。ただし、コロナ禍の昨年、一昨年は中止で横浜・八景島シーパラダイスに変更となった。
 校内での全校行事は5月の体育大会(タテ割りのクラス対抗)、9月末の文化祭(受験生保護者に公開)。
 一読しておわかりの通り、近年のトレンドの海外研修などどこ吹く風、まさに「昭和」を感じる行事ぶりで、きちんと実行している。さすがに女子高等師範の同窓会「桜蔭会」の運営になる学校だ。

著名なコーチが招聘される水泳大会

 少し面白いと思うのは、桜蔭のあの狭い校地で運動会はむずかしいから「ひばりが丘」に運動場があって、なぜか中2だけはそこで球技大会があって、また、さらにこれも中2だけ校内プールで水泳大会があること。この水泳大会にはかなり著名なコーチが指導者に招聘されているようだ。なぜか運動は中2に集中している感があって興味深い。なんとなく国立大学付属風の質素感が漂う学校ぶりにあって、この「温水プール」がある点はかすかに「私立」を感じさせる。

働き方改革を先取り!? する部活動

 桜蔭にあって行事の花は文化祭。クラブの出し物があって、桜蔭の文化部は「合唱」と「管弦楽」が所帯が大きい。全体の講演は講堂で行い、アンサンブルなどを小講堂で行うといった形で活躍できる。
 次いで部員の多い演劇部も講堂をいっぱいにするという。ちなみに運動部はバスケ、バレー、ダンスが大所帯らしい。
 これらの大所帯の部は桜蔭の部活動分類でいう「2」類で、課外活動として朝練、昼練、夕方チョイ練などがある。ちなみに「1」類は「課内クラブ」で授業時間内で行う。このあたり学校の部活動の在り方として働き方改革を先取りしているかもしれない。
 そんなに夕方5時までに下校を急ぐ理由は学校としては「そういうもの」であるかもしれないが、医学部志望の多い同校の生徒にとってはその足で予備校に直行できるジャストフィットしたあり様と言える。

理系女子の面目躍如「サイエンス・ストリート」

 行事というテーマから逸れるが、桜蔭では中1から高2まで5年間本館和室を使用しての「礼法」の授業がある。今は住宅ではお目にかかることが少ない畳敷きの部屋で正座してお茶の飲み方の挙動動作などを学ぶ。どこまでも優等生ばかりの学校らしいという他ない。
 ところで、文化祭の出し物の練習をする浅間山荘での夏の合宿は、桜蔭生、なかでも講堂でお披露目する演目をもつ部の生徒にとっては思い出深いものであるようだ。
 尚、文化祭の出し物で桜蔭らしい出色のものは、物理部、生物部、化学部による「サイエンス・ストリート」だという。理系女子の面目躍如だろう。