2022.7.21

第 18 回

雙葉 VS 白百合

合格実績、偏差値、受験者数⏤データから見える両校の類似点とは
鉄板の併願とも言える両校の関係性

森上教育研究所 所長 森上展安氏

カトリック校の特徴

 雙葉と白百合は、女子カトリック難関校のいわば双璧です。同じキリスト教主義教育校でも、女子学院や神奈川のフェリスなどのプロテスタント校とはやはりムードが違います。カトリック校は修道会が運営しているため必ず隣地に修道女が住む寮があり、そこに神に捧げて人生を送ることを決めた女性たちの信念が息づいているのではないかと思います。

大学合格実績を比較してみると……

 そうした形而上的な面だけではなく、いきなり俗っぽくなって恐縮ですが、大学合格実績においても実に競い合うように同型の出口になっていることも大きな観点です。具体的に言えば、雙葉対白百合の合格実績数を以下に示す(カッコ内は昨年実績)と、東大9:9(8:7)、 難関国立大(東大を含まず)10:7 (15:3)、早稲田大51:50 (50:36)、慶應義塾大65:58 (47:31)、東京理科大43:15 (32:17)、上智大34:58 (23:45)となります。卒業生の人数は雙葉が175名に対して白百合が164名となり、雙葉が10名多いだけです。ほとんど変わりませんね。

大きな違いは理工系実績

 雙葉と白百合の大きな違い、それは東京理科大の合格実績です。つまり、雙葉に理工系が多いということです。しかし、医学科実績に注目をしますと69:62 (59:119)となり、年によっては白百合のほうが多くなります。また、上智大学の合格実績にも少し違いありますね。実績を見ると、白百合のほうがカトリック大学つまり上智大学に進む割合がやや高い様子がわかります。それにしても出口はよく似ていますね。いずれも系列の小学校からの生徒がいますし、また2月1日の雙葉の入試偏差値が67、 2月2日の白百合の入試偏差値が64ですから、これもほとんど変わりません。

連動する受験者数

 受験者数で見ると、雙葉の受験者数は411 → 357 → 346と年々微減しています。ただし、そもそもこの2年は3倍を超える倍率で、受験者数微減の原因はこの高倍率が嫌われたからだと思われます。一方、2月2日の白百合は312 → 292 → 294とこの2年は安定しています(とはいえ倍率は2.8倍→ 2.4倍と高めです)。そして、お気づきのように2月2日の白百合の入試は、2月1日の雙葉の8割ほどの受験者数で推移しています。両校はどちらもカトリック校であり、同じような出口実績、まして前記した通りの併願しやすい難度差となっており、この併願はいわば鉄板の併願と言えるのです。

創立の背景と学校文化

 両校はいずれも17世紀のフランスの修道会が創立した学園ですから、出自もほぼ同じと言えるでしょう。その中で両校の特徴をやや現実に即して言うならば、雙葉は闊達、白百合は静かな挙措が似合う学校文化です。まさに学校文化と言う言葉が相応しい伝統校ともいえます。ちなみに、雙葉と全く同じフランスの「幼きイエスの会」という修道会が創立したのは横浜市にある横浜雙葉です。こちらも2月1日に入試がありますから雙葉同士の併願は物理的に難しいですね。しかし、もし横浜雙葉が2月5日に2回目の入試をしてくれたら、カトリックファンとしてはきっと受けたくなることでしょう。現実的には以前からプロテスタントの頌栄が2回目の入試をやっており、難関校を受験する女子の定番の併願校になっています。

*大学合格実績は、『AERA MOOK「偏差値だけにたよらない 中高一貫校選び」』2022版および2023版から引用。