2022.4.11

第 16 回

筑駒 VS 開成

言わずと知れた
男子最難関の2校
東大合格実績から見える
それぞれの特徴とは
合格率の筑駒、
合格者数の開成

森上教育研究所 所長 森上展安氏

駒場に近い筑駒、本郷に近い開成

 筑駒と開成は、どちらも言わずと知れた男子最難関校であるわけですが、現役の東大合格率では筑駒に軍配が上がります。一方開成は東大合格者数では他を寄せ付けない多さを誇ります。筑駒は場所柄東大とは駅を挟んで距離が近く、お隣の駒場東邦とともに東大駒場に最も近い男子校です。一方の開成も東大本郷に程近く、御三家といわれる私立最難関の中では最も赤門近くにあります。やはり立地は大切で、大学の近くにあればその教員の住まいも近くにあり、当然ながらそうしたご家庭から東大に進学することも実際多いというのは(確かなデータがあるわけではありませんが)実情としてさもありなんと思われるのではないでしょうか。

東大合格における両校の卓越性

 さて、上記の現役合格率の高さと合格者数の多さの比較は、その定員数の然らしめるところで、筑駒は卒業生170人の小規模校、開成は卒業生400人の大規模校ですから、一方はその率を追求し、一方はその数を誇るというわけです。ちなみに数は力で、一般的に200人規模の小規模校では、東大合格者数ランキングで上位に残るのは現実的には難しいのです。その意味では、筑駒はこれだけ小規模ながら上位にランクインしていることが学校の卓越性になるのであり、開成は400人規模の学校は数ある中で東大に半数近い合格者を出し続けられることがその卓越性ということになります。つまり両校は東大合格において日本屈指の特性をもった2校ということになり、言い換えればかなり特異な学校とも言えるでしょう。卓越性を示す最たるものは、やはり生徒の抜群の優秀さ。極めて優秀な男子を引き寄せているというそのこと自体が、東大合格最高率もしくは最大数であることにつながるのです。

共通する生存戦略、異なる文化

 両校がもつ卓越性の背景には、筆者がよく使う言葉である「エントツ効果」があります。なんだかトートロジーのような話で恐縮ですが、言わんとしていることは出口戦略に沿って合理的な組織運営がなされているということです。この2つの学校の生存戦略は、ずばり東大合格。そのためシンプルに東大の入試に沿った指導、およびカリキュラムになっています。あえて両校の文化の違いを言えば、筑駒はヨコの連帯が強く、開成はタテの連帯が強いという面はあります。行事の華が片や演劇(筑駒)、片や体育祭(開成)というところにも、その文化が垣間見えます。