2022.3.17

第 15 回

渋幕 VS 渋渋

御三家併願先として
人気の渋谷教育学園
入試データからわかる
それぞれの特徴とは
共通の設立理念をもつ
2校の違い

森上教育研究所 所長 森上展安氏

男子多勢の渋幕、女子多勢の渋渋

 どちらも渋谷教育学園の2校ですから、設立の理念は同じ。渋幕は千葉なので1月入試(2月に第2回)、渋渋は東京なので2月1日、2日、5日の入試となっており、併願も可能です。大きな違いは渋幕が1クラスに女子が10名程と男子優位の比率に対して、渋渋は女子が多勢を占めるという点。反対に共通しているのは、東京の男女御三家の併願先としてトップないし、トップクラスの併願者数の学校であるという点でしょうか。つまり言い換えれば、第一志望が男子、女子の最難関校で渋渋の受験生の上位層は必ずしも「共学」を優先して受験しているわけではない、という入試状況です。実際、渋幕の東大合格者数はこのところ70名程にのぼっていて、合格者の絶対数では必ず上位にくるのですから、男女御三家の併願校としてふさわしいと言えるでしょう。他方、渋渋の東大合格者数はこの2年は30名程です。これまでは女子難関校の併願が多かったわけですが、さすがに今年あたりは男子御三家とりわけ開成の併願先として有力校となっている、と某塾が分析しています。そうした傾向が強まっているのでしょう。

帰国生にも人気の両校。その理由とは

 進学先として両校に共通しているのは、模擬国連などの活動を両校のクラブで協力してやっているという点です。同じ学校法人ですから、米国有名大学のアドミッションオフィスが同じように対応してくれていることもあるでしょう。米大有力校に毎年学校として最大数を送り出していることは、両校の突出した魅力です。また、両校とも帰国生に開かれた学校としても屈指の人気校です。この点、渋幕もさることながら、渋渋は東京にあるため、より需要が高いと言えます。そして、もう一つ共通しているのが創立校長の田村哲夫先生の存在です。校長講話を通じて、両校の生徒にとって精神的支柱になっています。しかしご高齢のため、渋幕も渋渋も既に副校長が実務を担っており、今後は両副校長の個性がより強まると考えられます。

入試から見る2校の違い

 異なる点を挙げるとすれば、入試が違います。概して渋渋の入試は塾関係者に評判がよく、渋幕はそれほどでもありません。もう一点の違いは、高校募集のある渋幕と一貫生のみの渋渋、という違い。両校とも共学の進学トップ校として認められていますが、先生方同士の交流はないようですから、別個の学校と考えた方がよいでしょう。