2021.12.23

第 12 回

市川 VS 東邦大東邦

千葉御三家として
人気の両校
渋幕に次ぐのはどちら?
広大な環境での
先進的教育と
確かな合格実績が魅力

森上教育研究所 所長 森上展安氏

渋幕だけじゃない! 人気の「千葉御三家」

 今回は千葉御三家と言われる難関校のうち、渋幕を除く2校に焦点を当てます。
 例年中学入試は東京・神奈川の2月1日の入試解禁日がピークですが、千葉では1月20日から22日までに主要な入試が行われます。20日が市川、21日が東邦大東邦、22日に渋幕と、3校は重ならない日程になっています。
 このうち、市川は2003年に共学化し、東邦大東邦は2017年から帰国生を除いて高校募集を停止しています。

東大に強い市川、医歯薬系に強い東邦大東邦

 大学進学実績では、両校はほぼ互角ながら進学校の市川が東大実績などでリードし、東邦大学の付属校である東邦大東邦は医歯薬系進学が14%を占めるなどの特色があります。特に後者は高校募集停止の効果が出始めた20・21年入試において早慶上理・MARCHなど私大実績が向上しています。
 ちなみに21年実績で卒業生に占める私大のべ合格者数の割合でいえば、早慶上理では市川が104%、東邦大東邦は98.5%、MARCHでは市川34.7%、東邦大東邦39.7%となっており、全国立大では市川34.7%、東邦大東邦39.1%です。市川は渋幕と同じく高校でも募集し、高入生が100名いますから(高3で合流)、卒業生数が約100名違って母数が多いという違いがあります。
 男女比では、市川が男子校由来もあってほぼ2対1(男:女以下同じ)で、東邦大東邦は女子医専の伝統もあってか、4:3から5:3または3:2など年により変動はありながら、女子の比率が若干市川より高い状況になっています。

千葉私学の魅力

 両校とも教育の新しい流れに積極的で、とりわけ市川はアクティブラーニングやリベラルアーツ教育に取り組んでいます。東邦大東邦は大学付属校という資産を生かして、東邦大学講師による学問体験講座などを開講しています。特筆すべきは同大医療センターにおける医学部志望者への外科実習体験――通称『ブラック・ジャックセミナー』などを開講している点。医師の卵を養成しています。
 両校とも都内には見られない広大な敷地に十分な施設を展開しており、のびのびとした環境は千葉にあってこそといえます。
 千葉私学の大きな魅力として、授業料などの納付金が都内私立より割合安く済むことが挙げられます。いずれも授業料は月3万円台となっており、寄付金もないか少額ですし、特待生制度もあります。
 渋幕も含めて21年中学入試では、コロナ感染を恐れて遠隔地からの受験生が減少し、特に男子は2.1倍(両校とも)に緩和しました。上位校の中では、男子は入り易い倍率という点も注目しておきたいところです。