2021.10.15

第 11 回

浅野 VS サレジオ

神奈川男子の人気校
浅野とサレジオの
埋められない差
神奈川男子の
微妙なヒエラルキー

森上教育研究所 所長 森上展安氏

どちらも神奈川男子の名門校だが……

 四谷大塚偏差値で浅野64、サレジオ60、サピックス偏差値で浅野58、サレジオ52と、両校とも最上位レベルです。
 しかし、男子進学校として、浅野とサレジオは同格ではなく、浅野がワンランク上という印象があります。東大合格者実績の推移をみるとサレジオは二桁に届いたり届かなかったりですが、浅野はここのところ39~48名で、今年は栄光より1名多い48名もの合格者を出しました。このレベルで偏差値が5ポイント程度違うと、文字通りワンランクの違いがあります。
 それは入試日の設定にも表れていて、浅野は不動の2月3日。栄光、聖光は2月2日入試ですから(聖光第2回は4日)、浅野の入試は両校不合格者組の最後の砦です。
 対するサレジオは1日と4日で、まさにこの御三家を避けており、併願もできます。

都内にも近い浅野か、神奈川北部のサレジオか

 この違いを生んでいるのは、やはり立地が大きいと思います。サレジオは北山田駅が近く、神奈川北部に位置しています。もともとは東京にあり、「目黒サレジオ」と称していました。それから田園都市線の鷺沼に移り「川崎サレジオ」時代を経て、現在地に移転しました。神奈川に多いカトリック男子校の一角を担っています。
 一方の浅野は創立以来、神奈川区子安台にあり、京浜地帯に立地。いわば東京隣接域の学校。
 当然、浅野は東京の御三家、準御三家などの併願校にもなります。しかし、神奈川北部のサレジオはさすがに東京の受験生には少々遠くなります。浅野は東京・神奈川のメインストリームに立地する学校ですが、サレジオは神奈川北部の奥まったところに位置するカトリック校なのです。自ずからスタンスは違ってきますね。

競い合う校風の浅野か、丁寧に育ててくれるサレジオか

 規模も対照的です。浅野は1学年270人、サレジオは160人でほぼ100人違います。
 浅野の出願倍率は7倍前後、サレジオはここのところ3倍半ばです。また、浅野の受験者数は1500名で1回。サレジオは各400名前後で2回。
 こうした外形からも予想がつくように、カトリック男子校のサレジオは、信仰を基盤に置く学校文化で、実業家が創立した浅野は、人材育成が眼目になります。かなり対照的な校風が想像できます。
 男子を育てる中等教育機関にあって、浅野のようにそれなりの人数で揉んで育てるか、こぢんまりとした学校で丁寧に育てるか、そうした方針の違いで選ぶ保護者もおられるかもしれません。
 現状はサレジオがカトリック校である栄光の併願校、浅野が麻布の併願校というのがトップレベルの神奈川の受験生の流れになっていると思います。